1.サービスの内容
本サービスは、新たな融資を受けることを目的としたり、その他の金融支援(債務免除、DES、DDSなど)を受けることを目的とするなど、取引銀行に対してリスケ以外の何らからの支援を依頼する目的で経営改善計画書を作成するサービスになります。
本サービスで検討する大きな課題は、企業が提供する商品やサービスの提供価値が経営環境等の変化を受けて生活者ニーズから乖離してしまったことを原因とするなどして売上が減少している企業に、抜本的な戦略の見直しを行うこと等によって企業の業績を回復させることです。
リスケ以外の金融支援を銀行に依頼する場合には、貴社のビジネスを詳細に理解して、売上の拡大策等を入念に検討する必要がありますので、リスケを目的とする「経営改善計画書作成サービス」とはサービス内容が全く異なります。
また、そういった金融支援の必要性は当面感じていないけれども、低迷する自社のビジネスを再生させたいとお考えの経営者の方も、この「事業再生プログラム」を選択して頂ければよろしいかと思います。
銀行の支援を仰ぐことなくビジネスに再生の道筋を付けることができる場合もありますし、ビジネスの再生には何らかの投資が必要となって新規融資などの銀行の支援が必要となる場合もあります。
もちろん、目先の資金繰りが逼迫していて、まずリスケを行って目先の資金流出を止める必要性が高い場合には、一旦リスケ用の経営改善計画書を策定してリスケを実現させます。
そしてその後で、本格的な財務調査と事業調査を実施して、場合によっては抜本的に事業構造を変革して売上をいかに伸ばしていくかにフォーカスした経営改善計画書を作成することになります。
経営改善計画書を作成した後には、債権者である銀行へ報告するためのバンク・ミーティングを開催しますが、その会議にも同席させて頂くことで、目的がスムーズに達成できるようにサポートを行います。
リスケだけを目的とする経営改善計画書の作成サービスについてはこちら。
2.事業再生を検討するにあたっての大切な2つのポイント
このページにたどり着いたあなたは、きっと事業再生の必要性を感じていらっしゃることと思います。
事業再生に取り組む必要性を感じたならば、今すぐに行動を起こすべきです。
具体的には、
- 事業再生の専門家に早急に相談すること。
- 事業再生の専門家の選択には時間をかけること。
まったく相反することを言っているように聞こえるかもしれませんが、事業再生を成功させる確率を高めるためには、この2つのポイントがとても大事なのです。
事業再生の専門家に早急に相談すること。
経営者の方が事業再生の必要性を感じていらっしゃる場合とは、売上の低迷、もしくは売上の低迷を原因とする資金繰りの悪化のいずれかだと思います。この2つが事業再生を想起させる大きなきっかけになっています。
事業再生の黎明期にはこれ以外にも不動産等の投資の失敗による過剰債務を原因とする資金繰りの悪化が多くありましたが、現在ではこういったタイプの再生案件は大方処理が終わっていて、現在では我々が再生関連でご一緒させて頂く案件のほぼすべてが売上低迷のタイプです。
売上の低迷は放っておいても回復することはまずありません。
リーマン・ショックやコロナ・ショックのように外的要因で一時的に売上が低迷した場合には、景気回復後には売上は回復に向かいますが、構造的な原因による売上の低迷は、外部の事業再生の専門家の知見を活用しながら何らかの具体的な対策を施さないと回復することはありません。
ここで対策とは、今までやってきたことを繰り返すことではなく、問題の本質的な原因にアプローチできるこれまで実施していない新しい取り組みのことをいいます。
そうやって悩んでいる間にも事業はどんどん劣化していきます。
そして、そうして失われた利益は永遠に回復することはできません。
適切な専門家による事業再生のアプローチによって、できるだけ早く劣化を止めて、事業の再構築を図り、収益性の回復を必要があります。
なので、早急に事業再生の専門家に相談して、その知見を活用しながら、何らかの対策を早急に起こさないといけないのです。
事業再生の専門家の選択には時間をかけること。
事業再生の専門家の選択には時間をかけるべきというのは、「事業再生の専門家」のスキルのバラつきがとても大きいからです。
もし、スキルの低い事業再生の専門家にコンサルティングを依頼してしまった場合、事業の再構築に関するアドバイスをしてもらえることはありません。
経営改善計画を策定して、金融機関と交渉をしてリスケ等を実施してもらうことや、計画書で新たな資金を調達することで、資金繰りの改善を行うことを事業再生と謳っている専門家は、残念ながらまだまだ日本にはとても多いのですが、その理由は彼らがビジネスそのものを再構築することに関する思考スキルを持ち合わせてはいないからなのです。
ここで、「ビジネスそのものの再構築にまでアプローチできるだけの思考スキルを有しているかどうか。」をどのように判断すればよいのかという問題が残りますが、それを判断するモノサシは、「現代的なマーケティングの知見が豊かであるかどうか。」なのです。
経営とはマーケティングそのものですから、事業を再生させるということに対しては、少なくともマーケティングの知識の必須ということになります。
財務の再生は比較的難易度は高くなくて、多くの事業再生の専門家はこの部分に特化していますが、事業=ビジネスの再生は難易度が高いので、そこに注力できる事業再生の専門家は極めて少ないのです。
こういった視点で事業再生の専門家の見極めを行わないと、リスケに応じてもらって足元の資金繰りは確かに良くなったのだけれども良くなったのだけれども、売上や利益が一向に増えていかない結果に終わって、早晩資金繰りは再び悪化することになって再度リスケのお願いに上がるという悪循環に陥ってしまいます。
3.事業再生と経営改善
事業再生と経営改善は似たような言葉ですが、その本質は全く異なります。
経営改善の「改善」の意味するところは、現状の事業構造や戦略の中で悪い点を見つけてより良くすることを言います。
つまり、事業構造や戦略というビジネスの大枠は所与のものと考えて、その枠内で悪い点を見つけてそこを改善することを意味します。
一方、事業再生は英語で「Turn Around=ターン・アラウンド」というように、「方向転換」することを意味します。
つまり現在の戦略を大きく変更したり、市場でのポジショニングを大きく変化させたりというようなビジネスの構造そのものの変革も伴うことを指します。
昔はある程度儲かっていたのに、現在では売上が減少している、その結果、赤字すれすれである、もしくは赤字であるということは、市場のお客様のニーズとあなたがビジネスで提供している価値(=コンセプト)との間に大きなずれが生じてしまっていることを意味します。
その昔儲かっていたのは、お客様のニーズとあなたの提供する商品やサービスの価値(=コンセプト)が一致していたからに他なりません。
そういったコンセプトと市場のニーズがズレたまま商売をやっていても一向に業況は上を向くことはありません。
そういった時には、経営改善のコンサルティングで悪い点を見つけ出して、そこを徹底的に改善することを実施しても、改善の範囲内で利益は増加することはあるでしょうが、抜本的に赤字体質から抜け出すことは難しいのです。
そのような時には経営改善ではなくて、大きな方向転換、つまりは事業再生が必要となり、事業再生に長けたプロフェッショナルの知見が必要になります。
経営改善を目的とするケースでは、オペレーションが見るべき対象となりますので、ビジネスのあるべきフローを理解して、ボトル・ネックとなっている個所を見つけて、その箇所を徹底的に活用する、もしくは必要に応じてキャパシティを向上させるといった方法で改善は進むことになります。
工場の生産性が低いので生産性をあげるとか、営業効率が悪いので営業マンの行動を見える化して、営業マンの訪問先を見直すといったようなことは経営改善コのケースになります。
こういった類の改善は難易度は高くありません。
なぜならば、悪い箇所はモノの流れや情報が詰まっている箇所なので見つけやすいし直しやすいのです。
こういった場合には経営改善のコンサルティング・サービスを受ければよいし、社内だけで実行することも十分に可能でしょう。
ところが事業再生が必要となるケースになると、ビジネスで提供している価値は何で、その価値に対する市場の顕在的なニーズもしくは潜在的なニーズは何なのかを検討し、そのズレを埋めるためには単なるコミュニケーション・コンセプトの変更でいいのか、抜本的に商品やサービスそのものを再検討するべきなのか、商品やサービスはそのままで、市場におけるポジショニングの変更を、KBF(Key Buying Factor=購買決定要因 )の再検討を通じて変化させることは可能なのか等々、多くの事項を検討することが必要になります。
モノの価値はその置かれている環境、状況、文脈に応じて変化します。
我々現代人は、経営環境が大きく変化している真っ只中を我々は生きているわけですが、その経営環境の変化に合わせて世の中の生活者の気持ち(インサイト)も大きく変化しています。
そのインサイトが大きく変化していることでニーズが変わり、提供する商品の価値(=コンセプト)との間に大きなズレが生じてしまっていることが原因で売上が減少するというケースが現代の中小企業のビジネスにはとても多く見受けられるのです。
こういった分析を通じて、企業の向かうべき基本的な方向と事業コンセプトを言語化し、戦略を具体的な活動のロジックとして組み立てる必要があります。
そして、新しい商品コンセプトやサービスコンセプトを再設計した上で、それを具体的な商品開発やサービス開発につなげ、出来上がった具体的な商品やサービスをターゲット顧客に向けて伝えなければなりません。
伝えるチャネルは何にするべきなのか、どういった広告コピーで伝えるべきなのか、それをウェブを通じて伝えていくためにはウェブ・コンテンツはどうするべきなのか、ウェブ・コンテンツを作る時のキーワードの調査はどのように行えばいいのか、ウェブへの流入経路としてSNSはどのように使えばいいのか、SNSに投稿するコンテンツはどうするべきなのか、広告費がない中で戦略的にPRを使うにはどうするべきなのか等々、考えなくてはならないことが山ほどあります。
こういった作業が、事業再生コンサルティングの大きな中身になりますが、こういったサービスが提供できるためには、マーケティング施策の立案や戦略の立案の方法を学んで、実務で試行錯誤しながら実践した経験が不可欠になります。
このように、経営改善と事業再生は全く違う言葉であるにも関わらず、経営改善を持って事業再生と称している事業再生の専門家は残念ながらまだまだとても多いのです。
経営改善のコンサルティングだけで収益性がアップするケースは勿論あります。
それは先ほども書いたように、商品・サービスのコンセプトがインサイトを基礎に置く生活者のニーズとの間にズレが生じていない場合です。
たまたま、そういったケースであれば、収益性は上がりますが、本当の意味での事業再生が必要なケースであった場合、いくら経営改善のコンサルティングを受けても、収益性の向上はほぼ見られないことになります。
現代の多くの事業再生を必要とする企業の多くは、このズレが存在しているケースがとても多いのですが、そのズレは目に見えるものではないので経営者も見えていないということが往々にしてあるのです。
このようなことから、事業再生に取り組もうと思い立って、事業再生の専門家をお願いする時には、上で書いたような事項に注意をして、事業再生の専門家を慎重に選ばれることをお勧めします。
4.事業再生と認定支援機関
事業再生に取り組む決心をなさった中小企業の経営者の方は、売上の減少やそれに伴う資金繰りの悪化、もしくは、そのような状況の中でメイン銀行の助言を受けたことがきっかけだと思いますが、その銀行からは認定支援機関(=経営革新等支援機関)の外部専門家を紹介され、コンサルティング・サービスを受けるように促されることが多いかと思います。
ここで注意して欲しいのが、認定支援機関の多くは税理士や会計士ですが、各々税法の専門家、会計と監査の専門家であってビジネス(事業)の専門家ではないということです。
事業再生の本丸である事業=ビジネスの再生に不可欠なマーケティング・スキルがあるかどうかをよく見極めてから依頼することが、事業再生を失敗に終わらせないためにも非常に大事なチェック・ポイントになります。
そういったスキルに欠ける専門家を、銀行が紹介する認定支援機関だからと安心して受け入れてしまうと、費用と時間をかけて作成される経営改善計画書が、単なる「リスケや新規融資のための依頼資料」でしかないことになってしまいます。
5.当社のサービスの特徴
当社の提供する事業再生プログラムの大きな特徴は、財務の再生だけではなく、事業=ビジネスの再生に真正面から取り組むことにあります。
これまで多くの再生フェーズに落ち込んだ会社を従来レベルの収益性のある会社に再生させるだけでなく、その後もずっと関与させて頂いている企業の中には、今やエクセレント・カンパニーとなって銀行から借りてくださいと頼まれるくらいにまで成長した素晴らしい会社も多くあります。
それは、ひとえに事業=ビジネスそのものの拡大を実現するためには、どのような戦略の下でどのような具体策を実施すればよいかをマーケティングの視点で考え抜いてきた結果だと思っています。
事業再生のフェーズに至った多くの中小企業では、先程も書いたように、商品やサービスのコンセプトと生活者ニーズのとズレが原因となって売上の停滞や減少を招いていますが、多くの経営者はそのことに気付けないままでいます。
このような状況にある場合には、商品やサービスのコンセプトと生活者ニーズとのズレを修正する必要がありますが、多くの事業再生の現場でも、この様なズレに気付けないまま、結局取られる具体的な対策が短期的に利益を確実に生む固定費のカットになってしまうことも多いのです。
こんなことをすると、生産キャパシティを縮小させる結果にしかならないことが多く、さらに状況を悪化させることに繋がりかねません。
再生フェーズに陥った現代の多くの中小企業の事業再生は、このようなコンセプトの再発明なしでは進まないことが多いのです。
商品やサービスを取り巻く文脈(経営環境、状況など)を把握し、商品やサービスのコンセプトと生活者のニーズの乖離の有無を理解し、そのズレがある場合には、そのズレをいかに修正するかの検討と課題を設定し、そのずれがない場合には、オペレーションの改善による収益力のアップを目指すことが必要になります。
また、商品やサービスのコンセプトをいかに世の中に認知させていくかマーケティング・コミュニケーション施策の検討も、大きな広告費予算がない中小企業の大きな経営課題と言えるでしょうし、そのような制約条件の多い中で再生を目指すことになります。
6.真の事業再生を
事業再生は、会社の再生に留まるものではありません。
事業再生は、人生の再生です。
経営者の人生の再生であり、従業員の人生の再生であり、経営者も含めた彼らのご家族の再生なのです。
経営者の方は背負っているものがあまりにも多い。
再生のフェーズに落ち込んだ会社では、経営者は自分のみならず、背負っている者に精神的にのみならず、経済的にも負担を与えてしまっているかも知れません。
こういった負担は早く取り除いて差し上げたいですよね。
真の事業再生とは、会社の再生にとどまらず、人生そのものの再生なのです。
では、人生の再生につなげるためには、会社の再生はどうあるべきでしょうか。
会社の事業再生には2つのフェーズがあると言われます。
1つが財務の再生、すなわち傷んだ貸借対照表をどのように再生させていくのかというフェーズ、言い換えれば実質債務超過をどれだけ早期に回復させるのかというフェーズです。
他方が、事業=ビジネスの再生であり、すなわち損益計算書をいかに再生させていくのかというフェーズ、言い換えれば売上をいかに回復させていくのかというフェーズです。
世の中で広く行われている「事業再生」は、資金繰りの改善や貸借対照表の改善と呼ばれる財務の再生でしかなく、事業そのものの再構築にまで及ぶものはとても少ないように思います。
そのような表面的な事業再生で作られた「経営改善計画書」によって、リスケが実行されたり、新たな借入金が実行され、一時的に資金繰りがよくなっても、ビジネス上の根本原因が解消されていない結果、再び資金繰りが逼迫する事態が早晩訪れる確率はかなり高いのです。
このような状況では、経営者を取り巻く人々の人生の再生には繋がりません。
つまり、会社の事業=ビジネスの再生を行わずして、人生の再生には繋がらないのです。
せっかく、時間とコストをかけて事業再生に取り組むのであれば、ビジネス(事業)そのものをどうやって立て直すのか、時流に合わせてビジネス(事業)をどのように再構築するのかということを検討して実践していく良い機会にするべきであり、その結果を自分たちの人生の再生につなげるべきです。
そういった知識、スキル、経験を持った事業再生の専門家の知見を活用しながら「真の事業再生」に取り組むべきでしょう。
少しでもビジネス(事業)そのものを環境や文脈との関係で客観的に診てもらって、新しい視点で事業=ビジネスをリニューアルし、お客様にさらに喜んでもらえる仕組みを作りたいとお考えの経営者の方は、アドバイザーとしての事業再生の専門家の選択は慎重に行って、「真の事業再生」を目指してください。
当社は、「真の事業再生」を推し進める企業の良きパートナーとなれますことを切に願っております。