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中小企業に最も欠けているものは何だと思いますか?

中小企業に最も欠けているものはマーケティング思考です。

私はこれまで事業再生案件を中心としながらも、好業績な企業のコンサルティングも手掛けてきましたが、業績のいかんにかかわらず、中堅・中小企業すべてに存在しなかったものがマーケティング思考でした。
好業績の企業であってもマーケティング思考はなく、ただ強いセールス部隊が存在しているだけでした。セールスは販売部隊そのものを指す概念で、マーケティング機能の後工程に位置する部門になります。

中小企業が中小企業である理由、もしくは、中小企業が中小企業を脱することができない理由の多くはマーケティング思考の欠如だと私は思っています。

マーケティングの4つのステップ

 

マーケティングコンセプトを作りましょう。マーケティングは大きく分けると下記の4つのステップからなっています。

市場の定義

市場の定義は自社の事業をどこまでとするかという事業の定義の部分と、定義された事業の中でどの顧客に対してコミュニケーションを取っていくかという顧客の定義からなります。

定義した事業分野の全てのお客さんに買ってもらったほうがいいから、顧客の定義など必要ないよと言う経営者の方もいらっしゃいますが、様々な経営資源に乏しい中小企業の場合、すべての顧客にコミュニケーションを取れるだけの資金力はまずありませんので、まずは顧客を絞って伝えることをするべきでしょう。

この時に活躍するのがSTP(S=Segmentation,T=Targeting,P=positioning)というフレームワークです。STPはもう古いよと言う方も多くなってきましたが、まだまだ使えるフレームワークだと思います。
ただ、教科書通りにS→T→Pの順番で考える必要もなく、Tから始めてもいいし、Pから始めることだってあり得ます。縦横無尽にこの3つの概念を行ったり来たりできることがとても大切です。

価値の定義

誰に対して価値を伝えていくのかが決まったら次は、その伝えるべき価値そのものを定義するステップになります。ここでは、コンセプトづくりを行うことになります。
コンセプトづくりとは、誰にどんな価値を提供するかを決めることです。

この価値は、前のフェーズ1で検討したターゲット顧客の頭の中にどんなポジションを構築するかと深く関わってくるフェーズです。
ポジショニングは2つの軸で表現されるポジショニング・マップ(知覚マップともいいます)で可視化が可能ですが、コンセプトを検討しながらこの軸をひっくり返して新たなポジショニングを築けないかを検討したりもします。
ここでも前のフェーズ1と行ったり来たりしながら価値づくりを進めます。

価値の具体化

前のフェーズ2でコンセプトを決めて、誰にどんな価値を提供するのかが決まったら、このフェーズでは実際にその価値を商品やサービスの形で具体化していきます。
コンセプトがきっちり固まっていると、具体的な商品化やサービス化で大きく悩むことはありません。
技術的な問題で実現が不可能な場合には、もう一度コンセプトを見直したりすることもあり得ます。
コンセプトと具体化の間を何度も行ったり来たりすることもよくある光景です。

価値の伝達

実際に商品やサービスが出来上がったら、これをフェーズ1で決めたターゲットにどのように伝えるかを決めなくてはなりません。
伝えることのステップは海外では、Know me,Love me,Buy meという3段階の言葉が有名ですが、日本では5つのステップに分解して定義していることが多いようです。

  • 知ってもらう
  • 覚えてもらう
  • 好きになってもらう
  • 深く知ってもらう
  • 背中を押して買ってもらう

各々のステップを簡単に説明しておきますね。

知ってもらう

どんなに素晴らしい商品やサービスが出来上がったとしても、それがこの世に誕生して実際に存在していることを世の中の人にまずは知ってもらわないことには、買いたくても買ってもらえません。日本の多くの中小企業の作る商品やサービスは素晴らしいものが多いと思いますが、多くの素晴らしい商品はその存在を世の中に認知してもらっていません。

従って売れませんということになります。とてもシンプルな話ですが、良い商品だから売れるはずだ、良いサービスだから使ってもらったらその良さがわかると自信満々でいらっしゃる中小企業がとても多いのですが、まずは世の中の人たちに知ってもらわなくては売れるわけがないのです、これを「認知の壁」と言います。
まずはこの「認知の壁」を超えることを考えることから始めないといけません。

中小企業の場合、大手企業のように広告予算をふんだんに取れるわけではないので、というか多くの中小企業は広告予算などないに等しいので、テレビCMや雑誌広告を使うことはできません。そういった中でいかに認知を広げていくかを考えなくてはならないのです。

覚えてもらう

大手企業の場合だと、テレビCMをバンバン打って、有名女優などをたくさん使うことも可能です。そうすることでテレビ視聴者の記憶に残りやすくなります。
生活者が店頭に立った時に、「あ、この商品、女優の〇〇がCMやってたな。」と思い出してもらえれば、他の競合商品よりも選んでもらう競争に一歩先んじることができます。
なので、覚えてもらって思い出してもらうというプロセスは購買行動に至る前のステップとしてとても大事なわけです。

好きになってもらう

テレビCMや雑誌広告を見て、好きな俳優が出演していたりすると、その商品もよく見えて好きになってしまうこともあろうかと思います。
こうなると記憶の定着は強いものとなりますから、店頭での購買につながる可能性はとても高くなります。
こういった状況、つまり好きになってもらう状況を何とか作り出すために、テレビのCMの製作サイドは頭を使うわけですね。

さて、この②覚えてもらう、③好きになってもらうのフェーズも中小企業の場合には①知ったもらうための広告が使えませんから、広告予算がない中でいかに覚えてもらって、好きになってもらうかを考えなくてはならないということになります。

深く知ってもらう

たとえば、自動車を買う場合を考えてみましょう。テレビCMで福山雅治がプリウスに乗っていたのを見た時に、「福山、かっけー。オレもプリウスが好きになっちゃったから、明日プリウスを買いに行くべ。」となったとします。福山の大ファンならありうるかもですね。

でも、翌日ディーラーへ行ったら、同価格帯の競合メーカーの車のスペックの比較表を見せられると、悩み始めます。うーん、どれがいいかな・・・燃費だと圧倒的にプリウスだけど、価格が他の車種より10%程度高いんだよな。馬力を比べてみると・・・みたいな感じで悩み始めます。

こういった車などの高額商品になると、好きになるだけでは買ってもらえないことが往々にして起こるわけです。
日清のカップヌードルに新味が出て、新垣結衣ちゃんが美味しそうにCMの中で食べていたら、それだけでファミマ言ってすぐに買ってしまうのとはえらい違いです。
高額商品の場合には深く知ってもらって合理的に考えてもらうための情報を与えることもすごく大事なわけです。

では、逆に深く知ってもらえば好きになってもらう必要もないんではないかと考えるかもしれませんが、好きになってもらっていたほうがよりもっと知りたいと思ってもらえるという意味で、やはり高額商品の場合でも好きになってもらうまでの3つのステップは大切だということになります。

背中を押して買ってもらう

④までのステップで買う一歩手前まで来ているわけですが、ここまで来ても人間は悩むものなのです。そこで立ち現れてくるのが買って失敗したらどうしようという悩みです。
人間は失敗することを極端に嫌う生き物なので、最後の最後に失敗を恐れて買うことに躊躇します。そこで最後に背中を押してあげることが必要になります。
それは、今買っとかないと後悔しますよと言う恐怖訴求であったり、今ならおまけが付いてきますよというようなおまけ作戦であったり、今なら10万円値引きしますというようなオファーであったりするわけです。

これでようやくお買い上げいただくことになりました。お買い上げいただいてそれど終わりかというとそんなことはなくて、1回買って頂いたならば、次は2回目買って頂くにはどうしたらいいかを考えないといけないですし、何回もリピートして買って頂くためにはどうすればいいかを考えないといけないし、自社の製品や自社自体のファンになってもらうにはどうしたらいいかをも考えなくてはなりません。なので、価値の伝達のフェーズはここでは終わらず、ファン化してロイヤル顧客を育成するまでずっと続くものなのです。

すべての中小企業にマーケティング思考を

すべての中小企業にマーケティング思考を。

中小企業の多くが素晴らしい商品やサービスをお持ちなのに、なかなか売上が上がらない事例をたくさん見てきました。なぜそんなに素晴らしい商品やサービスが売れないのか?
一番大きな原因は、世の中に知られていないことです。先ほども書きましたが、「認知の壁」を超えられないでいるのです。どれだけ素晴らしい画期的な商品やサービスを開発したって、まずそれを知らないことにはお客様だって買うことはできないのです。

こういった「認知の壁」を超えることを考えるのもマーケティングの役目ですし、そもそもそういった素晴らしい商品やサービスを開発することもマーケティングの大きな役割なのです。

上手く稼げていない多くの中小企業はすべて、この4つのマーケティングのフェーズのどこかに穴が開いています。
その穴は通常、1つや2つではありません。その穴を見つけてふさいであげないことには、ずっと儲けそこなったままだということになります。

一朝一夕でマーケティングの思考を社内に根付かせることは容易ではなく、時間とコストがかかります。しかし、中小企業にマーケティング思考を根付かせることができたら、中小企業を脱却してよりステージの高い企業へと発展する可能性を秘めることができますし、そうなればかかった時間とコストなどは早期に回収できることになります。

当社では、貴社のビジネスの実情に合わせて、具体的なマーケティング施策をご提案します。

マーケティング思考を全社に浸透させるのには確かにしばらく時間がかかります。しかし、ほとんどの中小企業にマーケティング思考は存在しませんから、社内にマーケティング思考を根付かせることは大きな優位性をもつ資産となるものです。

なんとなくの経営から、マーケティング思考に基づく根拠のある経営へ転換しませんか?

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