ダイレクト・レスポンス広告を制作する上で検討するべき課題

ダイレクト・レスポンス広告を制作する際に気を付けるべき課題にはどのような事項があるのだろう。

課題が理解できていれば、レスポンスがしっかり獲得できる広告を作ることができるだろうな。

こんなお悩みをお持ちの経営者は実はとても多いのではないかと思います。

なぜならば、私が関与した事業再生の案件の中でも、ダイレクト・レスポンス広告の制作上の課題をしっかりと理解している経営者やスタッフは皆無であったからです。

この記事を読むことで、ダイレクト・マーケティングで使うダイレクト・レスポンス広告の制作上の課題が明確になり、今後に広告を打つ時に参考になるだけでなく、広告の効果を検証する際に検討するべき事項が明確になります。

本記事は、中堅・中小企業の事業再生に取り組んで20年以上、200社超の会社の事業再生に関与して、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生に導いてきた事業再生のプロフェッショナルである公認会計士が書きました。

ダイレクト・レスポンス広告を制作する上で検討するべき課題

ダイレクト・レスポンス広告を制作する上で検討するべき課題結論から申し上げますと、事業再生のフェーズに落ち込んでいる中堅・中小企業が行っているダイレクト・マーケティングは、課題だらけです。

そのあるべき全体像から照らし合わせても、また、そのコミュニケーション手法であるダイレクト・レスポンス広告にだけフォーカスしてみても、様々なポイントに穴が開いた状態であるので、効果がないのも推して知るべしといったところです。

ダイレクト・レスポンス広告を制作するにあたって、何も考えずになんとなくのフィーリングで制作しているような事例は、事業再生の実務の中では、事欠かないといっても過言ではありません。

見た目がかっこいいから、コピーがブランド・イメージを掻き立てるなどの様々な理由で、どう見ても、ダイレクト・レスポンス広告としては、まったくイケてない広告を制作して悦に入っている経営者やスタッフを本当にたくさん見てきました。

そういった実務の中で、ダイレクト・レスポンス広告の制作時に検討するべきであると思われる課題をピックアップして、各々説明を加えていきたいと思います。

中小企業のダイレクト・レスポンス広告あるある

中小企業のダイレクト・レスポンス広告あるある私がこれまで実務の中で見てきたダイレクト・レスポンス広告の事例を要約すると、以下のような共通点がありました。

ブランド広告と勘違いしている

ダイレクト・レスポンス広告とブランド広告の区別を知らないために、積極的な売りの意識を押し出すアプローチや、“ベタなコピー”は格好が悪い、長くて説明的な冗長な表現は広告ではNGだと勘違いして、多くの大企業が展開しているような“カッコイイ広告”を目指してしまうというケースは非常に多いです。

テレビや雑誌のブランド広告から受けている影響が随分と大きいのだなと感じざるを得ない場面にはたびたび出くわしてきました。

自社の商品・サービスの優位性を信じて疑わない

客観的に見れば、どこにでも売っているような類似品がいくらでもあるありきたりな商品なのに、不思議なことに、自社製品こそが最も素晴らしいのだと信じて疑わず、販売の現場においては、必ず競合品と比較されるという事実に気づかないまま、存在しない商品力を前提にUSP(=Unique Selling Point)を考えて広告を作ってしまうことも、とても多いですね。

特に、中小企業でも老舗といわれる会社に多く、老舗の自社ブランドがくっついている商品なんだから、お客様が喜ばないわけがないとか、高くても買ってくれるはずなのだ、という強い思い込みが経営者にある場合には、その思い込みを剝がすのは簡単にできることではありません。(中には、私と付き合って10年たっても剥がせない経営者もいます()。)

ターゲットが商品を買う気満々でいると勘違いしている

昔の好景気の時代の成功体験の影を追いかけ続けて、現代の成熟化した日本の市場の状況を知らないままに、昔のようにターゲットが商品を渇望していると勘違いし、電話番号やURLを記載すれば簡単に注文が取れると思っている経営者もいまだに目にします。

広告は誰もが読むものと勘違いしている

ダイレクト・レスポンス広告に接触する、ただの通行人に過ぎないターゲットに、実店舗の来店客と同じモチベーションを期待してしまい、商品の優位性、価格、スペックをとにかく記載しておけば、売場と同じようにターゲットが自分から見つけて、読んで、理解してくれるはずだと勘違いしている方も、多くいらっしゃいます。

私の経験から言うと、中堅・中小企業のダイレクト・レスポンス広告(主にチラシ、DM)が失敗する原因は、上記の原因のいくつかが合わさった複合要因であることが多いのです。

ダイレクト・レスポンス広告のステップ

ダイレクト・レスポンス広告のステップまず、ダイレクト・レスポンス広告を制作するにあたって、世の中の生活者は、日々仕事や家事や育児に追われており、基本的に、多忙であり、短期であり、わがままであり、そして怠惰であるということを忘れてはなりません。
広告を制作する側からすると、ついつい生活者は、時間を持て余して、気長で、優しくて、勤勉であると思ってしまいがちですが、現実は正反対であることは肝に銘じておきましょう。

なので、広告メッセージや商品自体が自分に関係があり、自分にとって具体的なメリットがあると思わない限り、広告なんかに目もくれずにスルーするのが基本なのです。
関心のない、自分ゴト化できない情報はスルーする、これが情報過剰時代の生活者の情報に接する基本的態度なのです。

そして、生活者が接触した広告を漠然とした風景ではなく、自分にとってメリットがある情報として見るかどうかを決定する時間はわずか0.1秒と言われており、その判断は、広告の「一瞬の印象」だけで決まってしまいます。

したがって、広告を見て「う~ん」と考えさせる広告や、「そもそも・・・」的な知性を必要としたり、センスに訴求する広告は、確実に圧倒的に不利なのです。

ところが、先ほども書いたように、多くの中堅・中小企業が作るダイレクト・レシポンス広告は、余白の多い、抽象的な言葉で彩られたものになってしまっているので、そもそも一瞬でスルーされてしまっているのです。

「一瞬の印象」が良くて、めでたく足切り試験をパスしても、次に待ち構えているのは、約10秒の広告の斜め読みに耐えるという2次試験を突破する必要があります。

たった10秒間ではありますが、この斜め読みで広告の概略がしっかりと伝えることができたなら、ターゲットは、もはや実店舗の中に足を踏み入れてもらったことと同じ状態になり、単なる通行人が、買う可能性のある見込客へ格上げされた状態になります。
実店舗に足を踏み入れた状態とは、商品を手に取って自分のための商品なのかを最終確認している状態ですね。

そして、いよいよそれが自分のための商品であって、購入することで得られるメリットに納得したならば、一気に注文へ進んでくれますが、単なる通行人に過ぎなかったターゲットがここまで到達してくれるのは、1,000人に1人程度の確率なのです。

最後の注文まで連れてくるには、0.1秒の「一瞬の印象」の足切り試験を通過し、約10秒間の斜め読みという2次試験にもクリアする必要があり、これらのステップを確実に通過してもらうための仕掛けが必要なのですが、大方の広告は、こういったステップの仕掛けを無視して、最初から注文してもらうことを考えてしまっているので、成果が上がらないということになるのです。

ダイレクト・マーケティングの定義、特徴等については、下記の記事を参考にされてください。

ダイレクト・マーケティングの戦略策定フレームワークについては、下記の記事を参考にされてください。

レスポンス広告を制作する上で検討するべき具体的な課題

レスポンス広告を制作する上で検討するべき具体的な課題前項で説明したように、自社の商品やサービスに対して何の興味・関心のない、いわば、通行人に過ぎない広告接触者に、0.1秒の「真実の瞬間」によって、わざわざ広告の前で立ち止まってもらって、その後の斜め読み、本文の精読を通じて、最終的に商品やサービスを買ってもらわなくてはなりません。

そのプロセスは、単なる通行人の中から見込み客を集客し、その後に説得を行って自分のための商品であることを理解してもらうという、「集客と説得」の2つのフェーズに分解することができます。

各々のフェーズで十分に検討しないといけない、ダイレクト・レスポンス広告の課題について、見ていきましょう。

集客のための課題

まずは、集客のための課題を検討していきます。

魅力的なキャッチコピーの開発

「キャッチコピーは漫才である。」というようなメタファーが成立するくらい、ダイレクト・レスポンス広告のキャッチコピーの果たす役割は極めて大きいものがあります。
すなわち、最初に目にするキャッチコピーで広告接触者のハートをがっちりつかむことがとても大事だということです。

たった0.1秒しかない一瞬の最初の一撃で、ターゲットにレレバンシーを感じさせ、自分に関係があり価値のある情報だということに気づかせなければならないわけです。

オファーの重要性

広告を作る時に、当社は今年で創業120年の老舗だから、当社の歴史をストーリー仕立てで、訴求してみようとか、私が10年の歳月をかけて磨き上げてきた品質へのこだわりを記事にして広告を作ろうなどと意気込んで広告の制作に取り組む経営者を多く目にしてきました。

ブランド広告であれば、そのような情報はとても貴重で、ブランディングのためには必須の情報であることは間違いありません。

しかし、ダイレクト・レスポンス広告の場合、集客のために必要なのは、そのような歴史や開発秘話などではなく、無料サンプルであったり、初回限定割引きであったり、景品のプレゼントであったりと、人間の欲望を刺激したり、恐怖に訴えかけることなのです。

お金のプレゼント(商品購入の代金に充当してもらう)、0円や無料、無料プレゼントなど、ベタではありますが、こういった人間の欲望を直接刺激するオファーがとても重要な枠割を果たすのです。

商品のルックスが良いこと

商品のルックスが良いとは、商品のデザインがクールだというような意味合いではなく、ターゲットが広告上の商品を見た瞬間に、レスポンスすることによって得られる結果や効果、成果といったベネフィットをターゲットに具体的にイメージできることをいいます。

実店舗であれば、実際に店舗へ行って商品を手に取ってその良しあしを確認することができますが、ダイレクト・レスポンス広告はそれ自体が店舗なので、そこに掲載されている商品が自分のとってメリットがありそうに見えるということが極めて重要になるのです。

ブランド依存型の広告にしない

中堅・中小企業でも、特に老舗といわれる企業の出稿するダイレクト・レスポンス広告は、余白の多い、抽象的な言葉で彩られたものであることが多いのですが、その広告には、会社のブランド名が掲載されているだけで、おおよそその場で購買できるだけの、インタラクションな会話が成立するような多くの情報が掲載されていることはとても少ないと思います。

自社は老舗だから、老舗の会社名を記載しておけば、ターゲットは買ってくれるはずだという妄想を抱いていても、ビジネスはうまくいくわけがないのです。

たとえ老舗で相応のブランド力があることが客観的にも認知できる企業であったとしても、ダイレクト・レスポンス広告では、ブランドに依存することは極力控えて、課題を押さえた広告を作るべきなのです。

ターゲットを絞り込むこと

広告の接触する時に、最初に目にするキャッチコピーは、ターゲットを絞り込んだメッセージのほうがレレバンシーは高まり、自分のための商品であるという認識が生じて、結果的にレスポンスにも良い影響を与えることになります。

また、ターゲット層がデモグラフィックやサイコグラフィックで同じであったとしても、商品の購入からの距離の遠近で、ターゲットの関心の程度は変わります。
つまり、ニーズもウォンツも顕在化しているターゲットと、そのどちらも顕在化していないターゲットでは、抱えている悩みも問題意識も違うはずなので、ターゲットとしては区別して扱う必要があるのです。

恐怖訴求の遣い方

集客のポイントは欲望を刺激することですが、ターゲット自身が経験したことがないことやまだ一般化されていないことについては、ターゲットのイメージが欲望にまで及んでいないので、欲望を刺激する方法ではレスポンスをとることはできません。

たとえば、ガンにかかったことのない人にとって、ガンになることの重大性は認識できるわけがなく、ガンに対するリスクも正しく理解できていないので、がん保険という商品に対する欲望を刺激しても火がつくレベルに達するのはまず困難でしょう。

そこで、啓蒙するという手法もないわけではありませんが、遠回り過ぎて非常に効率が悪いので、「がんになると収入が減りますよ!」という恐怖に訴えかけた恐怖訴求が有効となるのです。

つまりは、恐怖訴求は、まだ経験したことがないので自分ゴト化できず、商品やサービスに対する欲望に火がつかない状況で使われる訴求方法であるといえます。

製品ラインアップよりも単品販売を

製品ラインアップを見せて紹介する広告は、一度に複数の製品を掲載することでターゲットの幅を広げ、広告が失敗する可能性を低くしたかったり、1人のターゲットに単品ではなくクロスセルをしたかったりする場合に行われがちです。

一度の広告で製品ラインアップを紹介できて、販売できる可能性を秘めているので、一見すると合理的に見える広告であるのですが、実は、レスポンス広告としての効果は低くなります。

ブランド広告であれば、色々な製品があるということを知らせることは、ブランドの信頼性につながるので良いですが、ダイレクト・レスポンス広告には不向きなのです。

複数の製品の中から自分に相応しい1品を見つけ出して買ってくれる生活者、あるいはさらに2つ、3つと発見し合わせて買ってくれる生活者の人数よりも、情報が多すぎてどれを買ってよいのかわからなくなり、結果的に注文を先送りにしてしまう生活者のほうが多くなってしまうことのほうが多いのです。

単品を使ったレスポンス広告で見込み客を見つけ出し、新規顧客化した上で、顧客維持政策によって順番にクロスセル、アップセルを実現するほうがより確実に、より大きな成果を達成できるものなのです。

二兎を追ってしまう

たとえば、1枚の広告の中で、無料サンプルの提供と、本品の販売という2つの目的を持たせてしまうことは、非常に良くない結果をもたらします。

レスポンス広告の最悪のシナリオは、ターゲットを迷わせることによってターゲットのレスポンスを失うことです。

前項で説明した複数商品のラインアップ広告もそうですが、無料のサンプル品か正価販売の本品かどちらにするべきか迷わせること(A or B)は、レスポンス広告の望ましい型であるYes or No型になっていないので、反応はすこぶる悪くなります。

オファーの分量は適切か?

たとえば、化粧品の無料サンプルを申込者に配布するようなケースでは、スターター・キット(1週間試用)で価値が実感できなければ、広告やスターター・キットが無駄になるだけでなく、それ自体が製品のマイナス・イメージのプロモーションになってしまうので、注意が必要です。

また、効果が実感できるまで1か月かかるということであれば、1か月分の無料サンプルの経費はバカにならなくなるので、そういった場合には無料サンプルの提供はやめて、本商品の割引き販売等に切り替えたほうが無難です。

意図的に異なる広告を数パターン用意する

たとえば、新築マンションの販売期間は3カ月前後と非常に短いため、そもそもイメージの蓄積による効果が最初から期待できないカテゴリーの商品です。
これら新築マンションのチラシの目的は、「今週末のモデルルームへの誘因すること」に限定されているので、毎回違う物件に見えた方が、ターゲットの幅を広くとることができます。

こういったクリエイティブの多様性を持つ広告戦略のほうが、結果的にターゲット層を広げ、モデルルームへの来場者数を増やす効果があることになります。

説得のための課題

次に、説得のフェーズでの課題を見ていきましょう。
広告に目を止め、足を止めて、広告に集客された通行人は、その商品を“一瞬買ってもよいと思った層”ということができます。
そんな彼らをできるだけ取りこぼすことなく、一人でも多く購買決定まで誘導することを「説得」と呼びます。

レスポンス広告における「説得」とは、ターゲット顧客がまさに今、発しようとしている言葉を慮って先読みし、「〇〇ではないでしょうか?」のようなメッセージに変えて、事前に広告の中に埋め込んで準備しておくことに他なりません。

効果の高いレスポンス広告は、最初の一言だけでなく、その後のお客様の反応も先読みして、さらにそれに応える次の言葉、またさらに次の言葉を投げかける準備をしておくものなのです。

ターゲットは、あなたと現実に会話をしているわけではなく、広告上のコピーを読んだり、写真や図を目で追っているだけに過ぎないのにも関わらず、まるで実際の店頭で販売員とリアルに会話をし、実際に商品を手に取りながらその説明を受けているように感じるものなのです。
このように、完成度の高いレスポンス広告では、バーチャルではありますが、インタラクションなコミュニケーションが広告上で繰り広げられるということなのです。

そういったインタラクションな会話の中で、欲望を刺激されたり、恐怖に脅されたりしながら、ターゲットは次第に購買へと説得されていくことになるのですが、そういった感情的な要因だけで人間は行動へと駆り立てられるわけではなく、理性という人間にしか許されなかった高次な機能を持って、行動のバランスを保っているものです。

つまり、広告によって欲望を刺激されたからといってすぐに行動を起こすという単純な話ではなく、理性=思考による再検討のフェーズを超える必要があるのです。

たとえば、この商品は本当に自分に必要なものなのだろうか?品質に問題はないのだろうか?信頼できる会社なのだろうか?価格は妥当なのだろうか?保証は十分だろうか?気付いてないほかの有利な選択肢は?などという、理性的な選択の要件が次々と顔を出して、欲望や恐怖などの感情に任せた意思決定に歯止めをかけてくるのです。

つまり、説得とは、「感情だけによって行動しようとする人間を、理性的な思考で再吟味させるという働き」、いわば、行動阻害要因を排除したり、解決したりすることに他なりません。
したがって、こうした理性的な側面からも、最終的に行動へと駆り立てる情報を準備しておくことは、とても重要なわけです。

限られた広告スペースの中で冗長に説得することもできないので、理性的な説得を効果的に行うポイントは以下に示す6つになります。

数値データによる説得

数値という客観的な指標を準備することで、商品・サービスが具体的にイメージできやすくなって自分ゴト化しやすくなります。

たとえば、自動車損害保険などは、金額そのものがその商品の価値を代替するものなので、現在加入している保険商品との比較がしやすくなりますし、自社で実施した顧客アンケート調査の結果をもとに、「顧客満足度98%」という情報を掲載すれば、その品質等が可視化されて、理性的な判断がしやすくなります。

権威づけによる説得

数値化による説得は効果が高いのですが、商品やサービスのスペックを数値化できないような場合、または、数値化することが相応しくない商品やサービスの場合には、ターゲットに安心してもらって、納得してレスポンスへと進んでもらうための説得方法として「第3者による権威付や保証」が有効です。

たとえば、ベッドであれば、「三ッ星ホテル〇〇〇で採用されている〇〇〇のベッドです。」、健康器具であれば、「〇〇国立病院のリハビリセンターで利用されている〇〇〇です。」などであり、権威のある機関や専門家が選んだという信頼感が、ターゲットの行動阻害要因を除去してくれるのです。

芸能人等の有名人を使うことも権威付けの一種ですが、コスト的な面から中小企業にはハードルは高いものと思われます。

テスティモ二アル・証言による説得

テスティモ二アル(Testimonial)とは、「証明書」を意味し、広告にその道の権威である専門家や、実際に商品を使用している経験者が登場して、その商品の特性・便益を説得的に説明するタイプの広告表現を指します。これは、別名、推奨型広告とも言われるものです。

たとえば、ソニー損保のテレビCMで、様々な属性のお客様が登場して、実際に事故にあった時の体験談を、ソニー損保の対応を含めてお話ししていますが、実際の利用者であるだけに説得力は極めて高くなります。

ターゲットに応じて説得の仕方を変える

無印良品に、「オーガニック日焼け止め」という商品がありますが、この商品をダイレクト・レスポンス広告で販売しようと思った時には、ターゲットに誰を設定するかで訴求のポイントは大きく変わることになります。

品質を重視して身体に良いものを使いたい主婦がターゲットならば、「お子様にも安心、お肌に優しいオーガニック素材で作った日焼け止めです」となるでしょうし、毎日多忙な女性をターゲットとするならば、「化粧下地にも使えて、洗い流しも簡単です」とするべきでしょう。

効果のある説得ポイントは何度も繰り返す

商品やブランドに対する良いイメージの記憶を醸成することを目的にするブランド広告では、同じ言葉を何度も繰り返して用いることは原則的にしません。
繰り返すことでその言葉の持つ情報の価値が低下すると考えられているからです。

一方で、レスポンス広告の目的は、その場で買ってもらうことなので、そこに繋がるのであれば、効果のある説得のポイントは、しつこいくらいに何度でも繰り返して使うべきです。

昔の大塚家具だと、接客を希望すれば、販売員が横につきっきりで商品の説明をしてくれましたが、その時も各々の商品のUSP(=Unique Selling Proposition)は何度も口にされていたことを思い出します。

このように、店頭販売員やセールスマンなら、当たり前のように何度も繰り返すのと同じで、ダイレクト・レスポンス広告では、効果のある説得ポイントは何度も繰り返して語り掛けるべきなのです。
ダイレクト・レスポンス広告において重要なのは、広告がクールなイメージに見えることではなく、今、買うのか買わないのかの結論を出してもらうことなのですから。

別のサービスにより説得する

健康食品や化粧品などのダイレクト・レスポンス広告に、「全額返金保証」という言葉を添えているものを目にしたことはあると思います。

化粧品やスキンケア商品などは、薬事法の規制によって効果効能を広告に表現することは許されていません。
これは、健康食品やサプリメントも同じです。

初めて買おうかどうか悩んでいる生活者からすれば、購入前にはそれが本当に効くかどうかわからないのですから、効果がなければ返金保証しますという売り方は、非常に納得のいくものになります。

また、生活者の注文に対する不安が大きく減るだけでなく、そんなに自信があるのならばきっと良い商品に違いないという期待感が増すので、説得の効果は極めて高くなります。

また、健康食品やサプリメントの場合には、オファーとして「無料サンプル」を提供しようとしても、3日分や1週間分の「無料サンプル」では、効果を実感することができず、「無料サンプル」を請求に応じて送付したとしても、本品購入につながることはありません。
毎日飲み続けてようやく3か月後くらいに効果が実感できる商品も少なくないでしょう。

そのような場合にも、「全額返金保証」という売り方はとても説得力が高くなります。

特に中小企業の場合は、「全額返金」や「返品保証」をつけた本商品の販売広告は多いように思います。
サントリーのセサミンのように1か月分の無料サンプルを送るようなコスト負担に耐えられないというのも大きな理由なのでしょう。

2ステップ・マーケティングについては、下記の記事を参考にされてください。

ダイレクト・レスポンス広告の基本的な考え方については、下記の記事を参考にされてください。

事業再生におけるダイレクト・レスポンス広告の課題

事業再生におけるダイレクト・レスポンス広告の課題事業再生のフェーズに落ち込んでしまった中堅・中小企業が、ダイレクト・マーケティングを使いこなし、優れたダイレクト・レスポンス広告を制作してコミュニケーションに使っているということはまずありません。

ダイレクトっぽい施策を繰り出してはいるけれども、これまでに解説してきた課題のどこかに、もしくはその課題の複数ポイントに大きな穴が開いてしまっているような企業ばかりです。

多くの中堅・中小企業がダイレクトっぽい施策を取っているとはどういうことかというと、ダイレクト・レスポンス広告でとにかく売ることばかり考えて、買ってもらうという最終のステージまでお客様をどのように導いていくかという広告上で展開されるインタラクティブなコミュニケーション設計が全く抜け落ちているということです。

中堅・中小企業のダイレクト・レスポンス広告あるあるでもお話ししたように、雑誌やテレビCMの影響を大きく受けて、なんとなくかっこいいじゃんみたいな、ダイレクト・レスポンス広告としては全く役に立たない広告を作ってしまうことも集客できない大きな原因の一つです。

この記事で書いたような、ダイレクト・レスポンス広告の制作上の課題を1つ1つ検討してもらえれば、ダイレクト・マーケティングの前半のフェーズである「集客→説得」を経て、新規顧客の獲得はスムーズにいくものと思われます。

事業再生を相談するべき専門家の選び方については、下記の記事を参考にされてください。

事業再生コンサルティングの依頼は、下記の記事よりどうぞ。