事業再生は誰に相談するべき?【事実:人選ミスは命取り!】

事業再生に取組むことにしたのだが、誰に相談するべきかがよくわからない。

ネットでググってみても、会計士、弁護士、税理士が事業再生の相談に乗りますと書いているのだが、各々専門性が違うし、誰にお願いするのが一番いいのだろう。

誰に相談するべきかなんて、ググっても誰も書いててくれないから、しっかりと教えてほしい。

こんなお悩みをお持ちの経営者の方は多いでしょうね。
何しろ事業再生に取り組むのも初めてで、誰に相談するべきかなんてわからないでしょうから。

そこでこの記事では、御社の再生に取り組むにあたって誰に相談するべきかについてお話しますね。

この記事を読むことで、誰に相談するべきかが理解できるようになり、適切な専門家に依頼することによって、御社の再生が成功する確率を大きく高めることができます。

本記事は20年以上に渡って事業再生に取組んで、200社以上の中堅・中小企業の事業再生に関与し、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生に導いてきた事業再生のプロである公認会計士が書きました。

事業再構築補助金に採択される方法については、下記の記事を参考にされてください。

事業再生は誰に相談するべき?

事業再生は誰に相談するべき?

結論から申し上げれば、当社を選んでいただくのがベストですが、それ以外でしたら、再生案件に取り組んだ経験を持つ公認会計士に相談するべきです。
そして、調査の段階で中小企業診断士の中でも、「マーケティングのわかる中小企業診断士」に補完的に相談先として加わってもらうことをお勧めします。

このように「再生案件に取り組んだ経験を持つ公認会計士」+「マーケティングのわかる中小企業診断士」に相談するのが一番いいのです。
ここでいうマーケティングには、ウェブ・マーケティングを含みます。

事業再生の経験が豊富な公認会計士であれば、いつも再生案件をご一緒されている倒産専門の弁護士がいらっしゃるはずですので、再生の実務を進めるにあたって必要な法的な課題については、会計士の先生から弁護士の先生をご紹介いただいてご協力する手はずになっているはずですのでご安心ください。

では、なぜこのような組み合わせがベストかということを以下で説明していきましょう。

各種専門家の知識とスキル

各種専門家のスキルの比較相談先としては様々な専門家が考えられます。
以下の記事に各々の専門家の持つ基本的知識とスキルを書いていますので、詳細については各記事をご覧ください。

税理士については、下記の記事を参考になさってください。

会計士については、下記の記事を参考になさってください。

中小企業診断士については、下記の記事を参考になさってください。

弁護士については、下記の記事を参考になさってください。

事業再生士については、下記の記事を参考になさってください。

また、事業再生に取組むこととなった経営者の相談相手となるべき専門家が身に付けておくべき知識とスキルについては、下の記事をご参照ください。

ここでは、それらをまとめる形で、相談先としての各々の専門家の知識とスキルの比較を行い、相談先として最もふさわしいのは誰かを明らかにしますね。

上記の記事をまとめる形で下記の比較表を作りました。

公認会計士 税理士 弁護士 中小企業診断士 事業再生士 その他コンサルタント

(注2)

当社(公認会計士)
財務会計
管理会計
戦略論
マーケティング
ウェブマーケティング
ブランディング
オペレーション
統計学
会社法・倒産法等
税法(注3)
金融検査マニュアル(注4)
総合力

(注1)〇、△、×の意味は下記に記載のとおり。

〇:相談先として必要な知識・スキルを身に付けている者が大半である。
△:相談先として必要な知識・スキルを身に付けている者もいるが、身に付けていない者もいる。
×:相談先として必要な知識・スキルを大半の者が身に付けていない。

(注2):その他のコンサル(ここに列挙した資格を保有しないコンサル)は、各分野についてレベルの高い者と低い者が混在するので、明らかに知識・スキルに欠けると思われるもの以外は△とした。

(注3)税理士に〇をつけているが、税法は範囲が広く全てをカバーできている税理士は少ない。
法人税、所得税、相続税、贈与税等を基本に組織再編税まで含めると全分野に精通した税理士は少なくなることには注意。
公認会計士は、会社法をバックグランドとして組織再編スキームを描けるが、税法は税理士に劣るので△とした。

(注4)金融検査マニュアルについては、再生の実務に関わる者であれば理解しているものとして全ての専門家に〇をつけた。(実際に金融機関の破たん処理等に関わっている公認会計士、税理士、弁護士は深く理解しているが、一般の多くの税理士他はこういった場を経験していないので、理解の程度はばらつくのが実際である。)

このように見ると、事業再生の本丸である「事業」の「再生」に対応できて、相談相手としてふさわしい専門家がほとんどいないことがわかります。
もちろん、これら専門家の中には、バックグラウンドとなる資格とは別の能力をお持ちで、相談先としてふさわしい方もいらっしゃると思いますが、私の経験から言わせてもらうと、そのような専門家は極めて少ないです。

下の記事でも書きましたが、日本の事業再生の歴史を振り返ると、それが金融機関主導で実施され、財務リストラ(B/Sの再生)のみをもって事業再生と呼んできた歴史があり、そのことが再生実務に関わる専門家の能力を規定してしまったものと考えられます。

日本の事業再生の抱える問題点については、下記の記事を参考になさってください。

相談相手は公認会計士がベスト

事業再生の相談相手は公認会計士がベスト

誰に相談するべきか?

では、失敗しない事業再生のためには、入り口の段階で誰に相談すればいいでしょうか。

先程の表を見ていただければ一目瞭然で、当社を選んでもらうのがベストですが、それ以外でしたら、相談するべき専門家は事業再生の案件に取り組んだ経験を持つ公認会計士です。
そして、調査の段階で「マーケティングのわかる中小企業診断士」に補完的に加わってもらうことです。

このように「再生案件に取り組んだ経験を持つ公認会計士」+「マーケティングのわかる中小企業診断士」に相談することを強くお勧めします。

相談する公認会計士は、できれば大手監査法人(BIG4)で3年以上の実務経験を有する方がいいと思います。
大手監査法人で徹底的に鍛えられた監査実務を通じて企業の調査能力には優れていますから、いろいろな観点から問題点を指摘してもらえるはずです。

ただ、公認会計士は基本的に事業の再生に必要な戦略論および戦略立案に関する知識とスキル、マーケティングおよびウェブ・マーケティングに関する知識とスキルには欠けますので、事業デユ―デリを遂行するだけの知識とスキルは残念ながら持ち合わせていません。

したがって、公認会計士に相談するにしても事業そのものに関する適切なアドバイスは期待しないでください。
ここを補完する意味で、「マーケティングのわかる中小企業診断士」に調査段階で依頼するのがよいのです。

また、相談すべき中小企業診断士の中でも「マーケティングに精通した中小企業診断士」はなかなかいないと思いますが、その場合には「実績のある事業再生士もしくは、実績のあるその他のコンサルタント」を探してください。

マーケティング思考については、下記の記事を参考になさってください。

事業再生におけるマーケティングの重要性については、下記の記事をご参考になさってください。

公認会計士を相談相手にすべき理由

私は、事業再生の相談先として最も優れた価値を提供できるのは公認会計士だと思っています。

なぜなら、財務デユ―デリジェンスや事業デユ―デリジェンスに必要な管理会計に精通していて、経営改善計画書の数値部分である財務諸表を完全に使いこなせるのは公認会計士だけなので、金融機関の審査部の審査に耐えうる、行内稟議に耐えうる経営改善計画書を作れるのは公認会計士しかいないからです。

また、事業再生は金融機関の協力を得ながら進める必要がありますが、金融機関の方々が理解しやすく数値計画を中心に経営改善計画の内容を説明できるのも公認会計士だけであり、他の有資格者に比べて交渉する力は高いですし、金融機関サイドも間違いのない数値計画等の基礎資料を求めていますので、結果、金融機関の協力が円滑に進むからです。

さらに、公認会計士は経営学を学んでいる者が大半なので、ある程度の経営に関する知見も有していますので、そういったメタな視点からビジネスの相談に乗ることもでき、戦略構築まではいかなくても、目先の改善を指導する方法くらいは身に付けていると思われるからです。

このようなことから、事業再生の相談は、総合的に判断して公認会計士にするべきです。

ただ何度も書きますが、公認会計士は基本的に再生実務に必要な戦略論および戦略立案に関する知識とスキル、マーケティングおよびウェブ・マーケティングに関する知識とスキルには欠けますので、具体的なビジネスの相談にまでは乗れない先生が多いことにはご注意ください。

弁護士に相談してはいけないのか?

誰に相談するべきか迷った時に、弁護士を選ぶのはお勧めしません。
弁護士は法律の専門家であって、ビジネスそのものに関する知見はほぼないからです。

法律的な問題が大きなテーマであれば、たとえば、事業の棄損の程度が強いと自分でわかっていて民事再生を申し立てる以外に術はないと判断出来ているような場合には、弁護士に相談するべきですが、そこまで緊急性を要しない場合のほうが通常は多いはずです。

また、再生専門の弁護士以外に相談してしまうと、十分再生できる案件であるにも関わらず、破産等の手続きを選択させて会社を閉じる方向へ持っていく弁護士もまだまだ存在しているようですので、十分に再生できる会社を破産させてしまうリスクも存在しますので、最初の相手として弁護士はふさわしくないでしょう。

どうしても弁護士に最初に相談したいのであれば、東京か大阪の大手弁護士法人の再生専門の弁護士を選びましょう。

大手弁護士法人は敷居が高いとお思いかもしれませんが、全くそのようなことはなく、法律相談の一環で本当に親身に相談に応じて頂けます。

税理士に相談してはいけないのか?

誰に相談するべきか迷った時に、間違っても税理士を選ぶのは止めましょう。
税理士は税務の専門家であって、ビジネスそのものに関する知見はほぼないからです。

世間では公認会計士も税理士も会計の専門家であり、会計士は大きい会社を担当し、税理士は中小企業を担当するといった大きな誤解があります。
税理士は「税法という法律の専門家」であり、公認会計士のように「財務会計の専門家」でも「管理会計の専門家」でもありません。
公認会計士と税理士は全く違う職種なのです。

また、公認会計士も税理士もともに「経営の専門家」であるという誤った誤解もあります。
先ほど見たように税理士は「経営の専門家」などでは全くありません。
このことから、税理士にアドバイザーをお願いしても基本的に何ら具体的に事業を再生することは全くできません。

経営改善計画書の作成の経験がある税理士の方は多いと思いますが、経営改善計画書の作成をもって事業再生の実績多数などと事務所の案内に記載している税理士はとても多いのです。
本当の意味で事業再生のできる税理士はほぼ皆無です。(私自身お会いしたことがありません。)

以上から、税理士に相談をすることは避けるようにしましょう。

税理士が広く進めている管理会計の実態については、下記の記事を参考になさってください。

人選ミスは命取り!

事業再生の成否を決めるのは相談相手中小企業が事業再生に取り組むきっかけとなるのは、メイン銀行からの紹介によって中小企業再生支援協議会の再生支援スキームを通じてであることが多いと思います。
この場合には、認定支援機関(経営革新等支援機関)に登録している有資格者である専門家に相談することを勧められます。

ここに登録している専門家のほとんどは公認会計士、税理士、弁護士等の有資格者であり、その大半は先ほども書いたように、再生の実務に必要な戦略論および戦略立案に関する知識とスキル、マーケティングおよびウェブ・マーケティングに関する知識とスキルには欠けるので、その多くが相談先としては適切ではありません。

そして、そこで相談した専門家によって作成される経営改善計画書は、「事業の再構築」に関わる戦略と具体的な対策案に欠けた、中身のない「返済のリスケ、もしくは新規の融資に関する銀行の行内稟議を通すためだけの計画書」になりがちです。

このような計画書で債権者から返済のリスケを受けて、もしくは新規の融資を受けて一時的に資金繰りがよくなっても、事業そのものに関する具体的なアドバイスが皆無なので、「事業の立て直しには全く役に立たない計画書」が世の中にあふれることになるのです。

事業再生の本丸である「事業の再構築」に関する記載の抜け落ちた、役に立たない計画書を生み出さないためにも、最初の入り口で誰に相談するべきかについては、時間をかけて考えたほうが賢明なのです。

銀行から認定支援機関の専門家を紹介されても、事業そのものを見直して再構築したいとお考えであれば、そのまま受け入れずに、誰に相談するべきかはよく考えるべきでしょう。
探すことが難しい場合には、先程も書きましたが、再生案件に関与した経験のある公認会計士+マーケティングに精通した中小企業診断士にご相談ください。

認定支援機関に関する詳細は、下記の記事を参考になさってください。

事業再生アドバイザーに関する詳細は、下記の記事を参考になさってください。

事業再生コンサルティングのご相談は下記のページをご覧ください。相談は無料です。