コロナ禍で事業再生をどうする?【本業以外を育てましょう!】

コロナの影響を受けてお客様の数が減って売上が激減。
すぐにでも事業再生に取り組まないといけないのだけれど、コロナが猛威を振るう中で事業再生ってどうやればいいのだろう。

資金繰りが破綻して、無利息の制度融資で凌いでいるけれど、無利息って言っても借金は借金だからいずれは返済しないといけないわけで。

こんなお悩みを抱えながら、コロナが収束する気配もない中で、懸命に日々の売上を作る努力をされて事業再生に取り組んでらっしゃる会社経営者も多くいらっしゃることと思います。

この記事を読むことで、コロナ禍で何をするべきかが理解でき、コロナ後に備えてやるべきことをやる覚悟ができるようになります。

本記事は、中堅・中小企業の事業再生にたずさわって20年以上、マーケティングと管理会計と組織再編の力で200社以上の会社を再生に導いた事業再生のプロである公認会計士が書きました。

コロナ禍で事業再生をどうする?

コロナ禍で事業再生をどうする?結論から申し上げますと、コロナ禍において効く特効薬のようなビジネス的な処方箋などないわけで、事業そのものの構造を変えていく事業再生の本旨からすれば、コロナが収束するまでの間、無利息の融資などで資金繰りを繋ぎ、コロナが収束した後には、生まれ変わったかのような企業になるべく準備をすることしかありません。

コロナが猛威を奮っている間に右往左往して、とにかく今までの通りのビジネスのやり方で、目の前の売上を確保したい気持ちは痛いほどわかるわけですが、事業再生の観点からは、そこに経営資源を100%注いでしまうと、コロナが去った後もこれまでと同じような古いビジネスのやり方を繰り返すしかなく、事業の構造そのものを変えていくことはできません。

こんなことを書くと、日々の売上の確保に四苦八苦されている経営者の方からお叱りを受けるかもしれませんが、コロナ禍を事業の構造転換を図る良い機会だと捉え、自社の強みを再確認し、そこをいかに伸ばしていくのか、市場にはどんな機会があって、そこに乗っかるにはどうしたらいいのか、また、自社の弱点の中で克服するべきポイントは何かを考える時間として遣うべきでしょう。

本業集中はリスクが高い

本業集中はリスクが高いコロナが猛威を奮い始めて1年近くになろうとしていますが、多くの業界でお客様が減って売上が大きく落ち込むという悪影響が出ており、事業再生に取り組まねばと日々思いを募らせている経営者の方は多いものと思われます。

無利息の融資や助成金の活用で資金繰りの手当てはなんとかできたものの、コロナが収束する兆しが見えない中、不安だけが先行して事業再生については何も手に付かないという状況の経営者も多いのかもしれません。

新型コロナ対策融資と補助金については、下記の記事を参考になさってください。


コロナが猛威を奮う中で事業再生はどうあるべきかということをずっと考えているわけですが、もちろん、企業を存続させるために足元の資金繰りをしっかりと固めることがまずは優先事項であることは間違いないのですが、その上でこのコロナ禍の中での事業再生としてやらなくてはならないことは、コロナ後の自社の戦略の設定でしょう。

コロナはいずれ収束することは間違いないでしょうが、ワクチンが普及して世の中が依然と同じように活動し出したとしても、ビジネスの売上の水準やその構造が従前と同じに戻るとは到底思えません。

特に老舗と呼ばれる業態で、顧客の高齢化という問題をコロナ前から抱えていた企業などは、コロナが収束した時に、その高齢化した顧客が本当に戻ってくるのかという問題は切実だと思います。
コロナ前から、顧客の高齢化に対しては何らかの手を打って若い世代への訴求を優先して実施するべきという提言を多くの老舗企業に対してしましたが、実際に取り組んでいる老舗企業はありませんでした。

そして、コロナが収束した時にこれまでの顧客が100%戻ってこないのという状況は想定しておくべきであって、中小企業がこれまで本業と考えていた事業が、本業として機能しなくなることが多くなるのではないかと危惧しています。

コロナによって価値観が大きく変わった人は多くいるのではないでしょうか。
お店に通うことが当たり前になっていた人が、ネット通販で十分事足りるということがわかったり、毎週通っていた割烹など行かなくても、おうちで美味しい手料理を作ることに目覚めてしまったり、コロナを境に消費傾向が大きく変わって価値観も変貌を遂げた人が私の周りにも多く存在しています。

このような価値観の変貌を遂げた人の全員が元の消費スタイルに戻すこともないような気がしているのです。

コロナ前の事業再生は、本業に経営資源を集中して、多角化してきた収益性の低い事業はすべて事業譲渡または撤退するというのが定石でしたが、コロナが収束した後の世界では本業が本業として機能しなくなることが大いに予想されるので、収益の別の柱を戦略的に考えていくことが事業再生の中心課題となるような気がしています。

コロナ禍の中での事業再生や、コロナ後の事業再生の中心的課題は、これまでの本業回帰の論理思考中心で解決できたようなものではなくなり、新しい収益の柱を考えるという非常に戦略的な要素の強いものへと変貌するものと考えています。

1つの事業で十分な収益が獲得でき、本業という概念がノーマルだった時代は過ぎ去って、不確実性がますます高まっていく世界の中で、リスクを分散して企業の存続の確率をあげるためにも、コロナ後の世界においては、複数の事業を抱えておくことが中小企業においても必要になってくるのではないでしょうか。

1から新しい事業を立ち上げることだけでなく、廃業問題が世の中を席巻して久しいですが、そのような社会問題に貢献する観点からもスモールビジネスをM&Aで買うことも、中小企業の経営者は視野に入れていくべき時代でしょう。

事業再生アドバイザーについては、下記の記事を参考になさってください。

コロナ後の中小企業の存在を左右する経営課題

コロナ後の中小企業の存在を左右する経営課題事業再生の仕事に従事するようになって20年が過ぎましたが、この間に多くの中堅・中小企業の経営を間近で見てきました。
その中で全ての企業に存在していなかったものは何かといえば、財務的盤石さでもなく、スタッフの高い意識レベルでもなく、マーケティング思考でした。

事業再生を専門にはしていますが、優良企業からお声がかかることもあり、業種業態も様々、収益性のレベルも様々な中堅・中小企業を見てきましたが、全ての企業に欠けていたものがマーケティング思考です。

世の中には多くのマーケティング関連の書籍が山のように出版され、書店の棚を多くのマーケティング関連の本が埋めていますので、一人くらいマーケティング的な発想をされる経営者がいても不思議ではないのですが、これまで200社以上の中堅・中小企業を見てきた中で、マーケティング的な思考を社内に根付かせている会社は皆無でした。

今回のコロナ渦で中小企業の経営者が実感されたことの1つにウェブ・マーケティングの重要性があったのではないでしょうか。

ウェブでの販売にある程度注力されていた中小企業でも、全体の売上からすればまだまだウェブ経由の売上は5%程度しかないという会社が多いように思いますが、今回のコロナ渦で、ウェブでの売上が大きく伸びて、リアルの売上の低下を少ないながらも補ってくれたという実感をお持ちの経営者も少なからずおられることと思います。

一方で、ウェブ・マーケティングについて言えば、概ね95%程度の中小企業が本腰を入れていないので、上記のような恩恵にあずかれた中小企業は極めて少なかったと思います。

マーケティング思考というと抽象的過ぎて何に取り組んだらよいかわからないと思いますが、ウェブ・マーケティングにじっくり取り組んでみることはそのきっかけとしてとても良いことだと思います。

やるべきことも明確ですし、やるべきことをきっちりとやり切れば間違いなく成果が出るのがウェブ・マーケティングです。
取り組んだ結果も全て数値で確認できますから、PDCAも回しやすいので、非常に取り組みやすいからです。

これまでウェブ・マーケティングにしっかり取り組んでおけばよかった、という声は今回のコロナ渦中であちこちから聞かれました。

ウェブ・マーケティングを中心とするデジタル・マーケティングは中小企業にこそ必須のツールであり、ここに経営資源を投入できるかどうかが、今後の中小企業の経営のありかたを大きく左右するものです。

コロナ渦中にあって、またコロナ収束後に向けて中小企業の事業再生の大きな課題が、先ほど述べた複数の収益事業の開発と、そのための道具としてのマーケティング、特にウェブ・マーケティングであることは間違いないと思うのです。

事業再生に取組むにあたって相談するべき専門家の選び方については、下記の記事を参考になさってください。

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