会社分割を実施したっていう友達がいて、会社分割って初めて聞いたから会社分割をネットで調べていたんだけど、どの記事もわかりにくくて理解不能。
特に会社分割の適格要件がさっぱりわからない。
誰か整理してわかりやすく説明してほしい。
会社分割自体が耳慣れない言葉ですし、さらにその適格要件なんてめちゃくちゃマニアックな言葉ですので、一般の人からしたら理解不能で当たり前です。
でも場合分けして整理したら、会社分割の適格要件はそれほど難しいものではありません。
会社分割の適格要件をできたら、非適格の会社分割も理解できることになりますので、実務で会社分割を使いやすくなりますね。
この記事を読むことで、会社分割の適格要件が理解できるようになり、適格要件を理解できたということは、反対の非適格の会社分割も理解できたことになりますので、会社分割制度全体への理解が進みます。
本記事は、中堅・中小企業の事業再生にたずさわって20年以上、マーケティングと管理会計と組織再編の力で200社以上の会社を再生に導いた事業再生のプロである公認会計士が書きました。
適格分割とは何か?
組織再編において、税制適格となる要件は各々の組織再編手法(合併、会社分割、株式交換、株式移転、現物出資)において詳細な要件が定められていますが、基本的な考え方は同然ながら同じです。
それは一言で言えば、移転する資産に対する支配関係が組織再編後も継続するか否かということです。
移転する資産に対する支配が、組織再編の前後で継続していれば適格組織再編となり、移転する資産に対する支配が組織再編の前後で継続していないと判断されれば、非適格組織再編になるということです。
組織再編に伴って資産・負債が移転するのが通例ですが、その場合には、会社分割に限らず、税務上は時価で取引をすることが原則になります。
ただし例外的に時価での取引ではなく、簿価で取引がなされたと考えてよい場合の要件が定められており、その要件を満たせば、例外的に簿価取引が認められ課税されることはありません。厳密には、「課税が繰り延べられる」という言い方をします。
この要件を税制適格要件といい、この要件を満たす会社分割を税制適格分割、または単に適格分割といいます。
反対に、これらの要件を満たさない場合には原則通り時価での取引が強制され、適格要件を満たさない会社分割を税制非適格分割、または単に非適格分割といいます。
会社分割の種類
会社分割はいくつかの視点から2つに区分することができます。
承継させる権利義務が全部か一部だけなのかという観点からは、会社の事業にかかわる権利義務の全てを承継させる全部分割、その一部だけを切り出して承継させる部分分割に分けることができます。
次に、承継させる会社が従前より存在しているのかどうかという観点からは、従前から存在している既存の会社を受け皿会社として使う吸収分割、既存の会社が存在しない場合に、切り出した資産と負債の差額から資本金を設けて新しい会社を設立する新設分割とに分けることができます。
さらに、承継した事業の価値に見合う分割対価を誰に支払うのかという観点からは、分割対価を分割会社(元の会社)に支払う分社型分割、分割会社の株主に支払う分割型分割とに分けることができます。
加えて、法人税の課税の観点からは、会社分割によって発生する簿価と時価の差額を損益として認識するかしないかによって、原則通り損益を認識して課税する税制非適格分割、資産負債の承継を簿価で行うことによって損益を発生させず、損益を繰り延べることとして課税しない税制適格分割との分けることができます。
本記事では、税制適格分割と、税制非適格分割の説明を行います。
上記で示した他の区分方法については下記の記事を参照ください。
会社分割っていったいどんな組織再編の手法なのだろう。また、経営のどのような場面で役に立つのだろう。そして、それを実施することでどのようなメリットを得ることができて、どんなデメリットがあるのだろう。こんな悩みをお持ちの経営者の方は必見です。
税制適格分割
ここでは、分割型分割と分社型分割に分けて、適格分割の要件を支配関係のパターンごとに解説していきます。
分割型分割の適格要件
企業グループ内 |
共同事業(50%以下) |
スピンオフ |
||
完全支配関係(100%) | 支配関係(50%超) | |||
新設要件 | 〇 | |||
分割対価要件 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
按分型要件 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
株式継続保有要件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
主要資産等引継要件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
従業員引継要件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
移転事業継続要件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
移転事業事業関連性要件 | 〇 | |||
事業規模又は経営参画要件 | 〇 | |||
中枢継続要件 | 〇 | |||
非支配関係継続要件 | 〇 |
完全支配関係にある場合(100%保有)
完全支配関係とは、法人の発行済株式のうち、除外株式を除く全部を直接または間接に保有することにより、当該法人が完全に支配されている際の両社の関係をいいます。
ここで除外株式とは自己株式等を指します。
①分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
ここで、「株式等」とは分割承継法人の完全親法人の株式を指します。
②按分型要件
「分割型分割にあっては、分割法人の株主の分割法人株式保有割合に応じて交付されるものに限る。」とされており、分割型分割の場合には、分割法人の株式の保有割合とは異なる交付(非按分型といいます)を行った場合にはこの要件を満たさず非適格分割となります。
③株式継続保有要件
「分割前に完全支配関係にあり、分割後に支配株主と分割承継法人との完全支配関係の継続が見込まれていること。」とされており、分割の前後で完全支配関係が維持されない場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
支配関係にある場合(50%超保有)
支配関係とは、法人の発行済株式の50%超を、直接または間接に保有することにより、当該法人が支配されている際の両社の関係をいいます。
但し、自己株式は除きます。
①分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
②按分型要件
「分割型分割にあっては、分割法人の株主の分割法人株式保有割合に応じて交付されるものに限る。」とされており、分割型分割の場合には、分割法人の株式の保有割合とは異なる交付(非按分型といいます)を行った場合にはこの要件を満たさず非適格分割となります。
③株式継続保有要件
「分割前に支配関係にあり、分割後に支配株主と分割承継法人との支配関係の継続が見込まれていること。」とされており、分割の前後で支配関係が維持されない場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
上記の3つの要件は「完全支配関係にある場合(100%保有)の場合」と同じですが、さらに以下の3つの要件も同時に満たすことが適格要件として必要とされます。
④主要資産等引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転するものであること。」とされており、移転した事業にかかわっている主な資産と負債が分割承継法人に移転していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
⑤従業者引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。」とされ、大方の従業員の引継ぎがなされていないと、この要件を外れ非適格分割となります。
⑥移転事業継続要件
「分割法人の分割直前の分割事業が分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。」とされ、移転事業が分割承継法人においても継続して営まれないのであれば、この要件を外れ、非適格分割となります。
支配関係がない法人間の場合(50%以下)
このケースは共同で事業を行うための組織再編であることを想定して、共同事業要件と呼ばれます。
①分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
②按分型要件
「分割型分割にあっては、分割法人の株主の分割法人株式保有割合に応じて交付されるものに限る。」とされており、分割型分割の場合には、分割法人の株式の保有割合とは異なる交付(非按分型といいます)を行った場合にはこの要件を満たさず非適格分割となります。
③株式継続保有要件
「分割前に支配関係にあり、分割後に支配株主と分割承継法人との支配関係の継続が見込まれていること。」とされており、分割の前後で支配関係が維持されない場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
④主要資産等引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転するものであること。」とされており、移転した事業にかかわっている主な資産と負債が分割承継法人に移転していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
⑤従業者引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。」とされ、大方の従業員の引継ぎがなされていないと、この要件を外れ非適格分割となります。
⑥移転事業継続要件
「分割法人の分割直前の分割事業が分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。」とされ、移転事業が分割承継法人においても継続して営まれないのであれば、この要件を外れ、非適格分割となります。
上記の6つの要件は「支配関係にある場合(50%超保有)の場合」と同じですが、さらに以下の2つの要件も同時に満たすことが適格要件として必要とされます。
⑦移転事業関連性要件
「分割法人の分割事業と分割承継法人の分割前のいずれかの事業とが相互に関連するものであること。」とされており、分割法人から切り出される事業と、分割承継法人との分割前のいずれかの事業とが関連性を有していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
⑧選択要件「下記の、事業規模要件または双方経営参画要件のいずれか一方を満たすこと。」とされ、双方ともに満たさない場合には、非適格分割となります。
- 事業規模要件
「分割事業と分割承継法人の関連する事業の、売上高又は従業員数のいずれかの差が、概ね5倍を超えないこと。」とされています。
- 双方経営参画要件
「分割前の、分割法人の特定役員のうち1名以上と、分割承継法人の特定役員のうち1名以上とが、それぞれ分割後の分割承継法人の特定役員になることが見込まれていること。」とされています。
ここで、特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、専務取締役もしくは常務取締役又はこれらに準ずる者で、法人の経営に従事している者をいいます。
スピンオフ分割の場合
このケースは、支配株主が存在しない会社が分割型分割を実施した場合であり、平成29年度税制改正で新設されたものです。
①新設要件
「分割会社が行っていた事業を、新たに設立する法人にて独立して行うための分割であること。」とされており、新設分割でない分割の場合には、この要件を外れ非適格となります。。
②分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。また、分割承継法人の完全親法人の株式の場合も要件を外れることとなります。
③按分型要件
「分割型分割にあっては、分割法人の株主の分割法人株式保有割合に応じて交付されるものに限る。」とされており、分割型分割の場合には、分割法人の株式の保有割合とは異なる交付(非按分型といいます)を行った場合にはこの要件を満たさず非適格分割となります。
④継続非支配要件
「分割直前に分割法人と株主との間に支配関係がなく、分割後に継続して分割承継法人と株主との間に支配関係がないことが見込まれていること。」とされていますが、これは、上場会社のように支配株主がいない会社を想定しています。分割後の誰かが支配する場合はこの要件を外れ、非適格分割となります。
⑤主要資産等引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転するものであること。」とされており、移転した事業にかかわっている主な資産と負債が分割承継法人に移転していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
⑥従業者引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。」とされ、大方の従業員の引継ぎがなされていないと、この要件を外れ非適格分割となります。
⑦移転事業継続要件
「分割法人の分割直前の分割事業が分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。」とされ、移転事業が分割承継法人においても継続して営まれないのであれば、この要件を外れ、非適格分割となります。
⑧中枢継続要件
「分割法人の役員または重要な使用人が分割方形法人の特定役員になることが見込まれていること(1名でも就任すれば充足)。」とされ、この要件を外れると非適格分割となります。
従来の事業のトップが引き続き経営中枢を担うことで、分割前と分割後の事業の連続性を保つことを担保する内容になっています。
なお、対象となるのは分割前の役員だけでなく、事業本部長などの重要な使用人(分割対象事業を担当している者に限定されると考えられる。)も含まれ、つまり、事業部の最高責任者がビジネスを率いて別会社を設立することを想定しています。
ただし、事業本部長が分割承継法人でも事業本部長に就任する場合はこの要件を満たさないことになり、分割後は特定役員に就任することが要件として、分割承継法人ではトップの経営層の一角を担うことを条件としています。
分社型分割の適格要件
企業グループ内 |
共同事業(50%以下) |
スピンオフ |
||
完全支配関係(100%) | 支配関係(50%超) | |||
新設要件 | ||||
分割対価要件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
按分型要件 | ||||
株式継続保有要件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
主要資産等引継要件 | 〇 | 〇 | ||
従業員引継要件 | 〇 | 〇 | ||
移転事業継続要件 | 〇 | 〇 | ||
移転事業事業関連性要件 | 〇 | |||
事業規模又は経営参画要件 | 〇 | |||
中枢継続要件 | ||||
非支配関係継続要件 |
完全支配関係にある場合(100%保有)
完全支配関係とは、法人の発行済株式のうち、除外株式を除く全部を直接または間接に保有することにより、当該法人が完全に支配されている際の両社の関係をいいます。
ここで除外株式とは自己株式等を指します。
①分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。ここで、「株式等」とは分割承継法人の完全親法人の株式を指します。
②株式継続保有要件
「分割前に完全支配関係にあり、分割後に支配株主と分割承継法人との完全支配関係の継続が見込まれていること。」とされており、分割の前後で完全支配関係が維持されない場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
支配関係にある場合(50%超保有)
支配関係とは、法人の発行済株式の50%超を、直接または間接に保有することにより、当該法人が支配されている際の両社の関係をいいます。
但し、自己株式は除きます。
①分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
②株式継続保有要件
「分割前に支配関係にあり、分割後に支配株主と分割承継法人との支配関係の継続が見込まれていること。」とされており、分割の前後で支配関係が維持されない場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
上記の2つの要件は「完全支配関係にある場合(100%保有)の場合」と同じですが、さらに以下の3つの要件も同時に満たすことが適格要件として必要とされます。
③主要資産等引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転するものであること。」とされており、移転した事業にかかわっている主な資産と負債が分割承継法人に移転していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
④従業者引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。」とされ、大方の従業員の引継ぎがなされていないと、この要件を外れ非適格分割となります。
⑤移転事業継続要件
「分割法人の分割直前の分割事業が分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。」とされ、移転事業が分割承継法人においても継続して営まれないのであれば、この要件を外れ、非適格分割となります。
支配関係がない法人間の場合(50%以下)
このケースは共同で事業を行うための組織再編であることを想定して、共同事業要件と呼ばれます。
①分割対価要件
「分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産が交付されないこと。」とされており、分割の対価として分割承継法人株式等以外の資産、たとえば現金が交付されるような場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
②株式継続保有要件
「分割前に支配関係にあり、分割後に支配株主と分割承継法人との支配関係の継続が見込まれていること。」とされており、分割の前後で支配関係が維持されない場合には、この要件を満たさず非適格分割となります。
③主要資産等引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転するものであること。」とされており、移転した事業にかかわっている主な資産と負債が分割承継法人に移転していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
④従業者引継要件
「分割法人の分割直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が分割後に分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。」とされ、大方の従業員の引継ぎがなされていないと、この要件を外れ非適格分割となります。
⑤移転事業継続要件
「分割法人の分割直前の分割事業が分割後に分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。」とされ、移転事業が分割承継法人においても継続して営まれないのであれば、この要件を外れ非適格分割となります。
上記の5つの要件は「支配関係にある場合(50%超保有)の場合」と同じですが、さらに以下の2つの要件も同時に満たすことが適格要件として必要とされます。
⑥移転事業関連性要件
「分割法人の分割事業と分割承継法人の分割前のいずれかの事業とが相互に関連するものであること。」とされており、分割法人から切り出される事業と、分割承継法人との分割前のいずれかの事業とが関連性を有していない場合には、この要件を外れ非適格分割となります。
⑦選択要件「下記の、事業規模要件または双方経営参画要件のいずれか一方を満たすこと。」とされ、双方ともに満たさない場合には、非適格分割となります。
- 事業規模要件
「分割事業と分割承継法人の関連する事業の、売上高又は従業員数のいずれかの差が、概ね5倍を超えないこと。」とされています。
- 双方経営参画要件
「分割前の、分割法人の特定役員のうち1名以上と、分割承継法人の特定役員のうち1名以上とが、それぞれ分割後の分割承継法人の特定役員になることが見込まれていること。」とされています。
ここで、特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、専務取締役もしくは常務取締役又はこれらに準ずる者で、法人の経営に従事している者をいいます。
分社型分割の場合には、これまで見てきたように分割型分割で見られた按分型要件はありません。
また、スピンオフ分割は平成29年税制改正で新たに設けられた制度ですが、分割型分割のケースにおける新制度ですので、分社型分割のケースにはスピンオフ分割は存在しないことになります。
税制非適格分割
ここでは、分割型分割と分社型分割における適格要件を、株式の保有状況別に見てきましたが、これらの要件を1つでも満たさないと非適格会社分割として、原則通り時価取引が強制されることとなり、そこで生じた損益は課税所得を構成することとなります。
適格要件を満たさない会社分割は、非適格分割となって、組織再編によって移転する資産・負債は時価取引が強制され、簿価と時価の差額から分割損益が認識されます。
分割損失が生じる場合には、課税はありませんが、分割利益が生じる場合には課税が実際生じることとなります。
一般的には、課税を避けて税制適格の会社分割スキームを描くことが多いのですが、あえて税制非適格の会社分割スキームを描くことができると、資産超過差額等の償却メリットが取れて税効果を発揮できる再編スキームを描くことも可能になります。
このように、組織再編の適格要件の検討は非常に複雑であり、実際の事案はここで説明したようなシンプルなものではなく非常に複雑なものとなるのが通例です。
したがって、課税リスクを避けるためにも、会社分割を実施するにあたっては、組織再編に精通している税理士や会計士の先生にご相談されることをお勧めします。
適格要件を満たすと思っていたところ、実は満たさなくて課税されてしまったみたいなことにならないように十分ご注意ください。
第2会社方式を使った事業再生については、下記の記事を参考になさってください。
第二会社方式という言葉を事業再生の中でよく耳にするのだが、いったいどんな意味があるのだろう。会社分割とは全く別のものを指しているのだろうか。そろそろ自社の再生に取り組む必要があるので、言葉の定義を知っておきたい。こんなお悩みに回答します。
第二会社方式は優れた方法だとよく言われるが、問題点もきっとあるはずなのだがあまり知られていないようだ。第二会社方式を使って事業再生を進めていくにあたり、どんな問題点があるのかを事前にしっかりと知っておきたい。こんなお悩みにお答えします。
事業再生に取組むにあたって相談するべき専門家の選び方については、下記の記事を参考になさってください。
事業再生に取り組むにあたって誰に相談すればいいのだろう。再生支援協議会に行くと会計士や税理士を紹介してもらえるそうだけど、それで本当に事業再生は成功するのかな?こんなお悩みをお抱えの経営者の方は必見です。誰に相談するべきかがわかります。