事業承継のための保証メニュー【エポック・メイキングです!】

事業承継で親父の会社を継ぐべきかどうか迷っているのだが、その迷っている原因は、親父の会社を事業承継したときについてくる親父の会社の借金の経営者保証だ。
親父が作った借金を今後返済することは仕方ないにしても、経営者保証まで引き受けさせられるのはどうも納得がいかないし、莫大な経営者保証を背負うことは怖くてそう簡単にできるものではない。

事業承継にあたってこの経営者保証を外すいい方法などないのだろうか。
それさえクリア出来たら、東京の会社を退職して実家に戻って親父の会社を継ぐことには何ら問題はないのだけど。

経営者保証がネックとなって事業承継が進まない話は最近よく耳にするところです。
そして、令和2年になって、信用保証協会に画期的な事業承継に関する保証メニューが出たので、この保証制度を使って事業承継を進めるべきですね。

この記事を読むことで、信用保証協会の新しい事業承継の保証制度が理解でき、事業承継が進めやすくなります。

本記事は20年以上に渡って中堅・中小企業の事業再生に関わり、200件超の事業再生案件に関わって、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生に導いてきた事業再生のプロである公認会計士が書きました。

エポック・メイキングな保証が出た!

エポック・メイキングな保証が出た!令和2年は、金融機関の今後の融資の方向性を大きく変える画期的な年となりそうです。

経済産業省が進めている「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」の目玉として、令和2年4月より開始された「事業承継特別保証」は、事業承継時に金融機関による経営者保証の解除を後押しする為の制度です。

事業承継特別保証は、事業承継を更に促進させる事を目的にして、経営者保証(連帯保証と同義)無しでの借入を促進するための先駆けとなるエポック・メイキングな保証制度です。
銀行から融資を受ける時には経営者保証を差し入れることが当たり前であった時代から、経営者保証から決別する新しい時代の始まりになりそうです。

「経営者保証ガイドライン」については下記の記事を参考になさってください。

「事業承継に焦点をあてた経営者保証に関するガイドラインの特則」については下記の記事を参考になさってください。

事業承継特別保証の内容

事業承継特別保証の内容事業承継特別保証とは、事業承継予定、事業承継済の中小企業者の方の資金調達にあたり、一定の要件を満たす中小企業者については経営者を含めて連帯保証人を徴求しない一般保証制度です。
当保証制度の対象者は、下記の(1)または(2)に該当し、かつ(3)の財務要件等を満たす中小企業者の方となります。

(1)信用保証協会の保証申込受付日から3年以内に事業承継を予定する事業承継計画を有する法人。
(2)令和2年1月1日から令和7年3月31日までに事業承継を実施した法人であって、事業承継日から3年を経過していないもの。
(3)次の①から④までに定める全ての要件を満たすこと。
なお、①から③までについては、信用保証協会への申込日の直前の決算によるものとし、④については、信用保証協会への申込日に満たしていることを要するものとされています。

① 資産超過であること
② EBITDA有利子負債倍率(注2)が10倍以内であること
③ 法人・個人の分離がなされていること
④返済緩和している借入金がないこと

すべての会社の経営者保証を信用保証協会が肩代わりするわけには当然いかないので、経営者保証を徴求しなくても貸倒リスクを一定以下に抑える水準として、上記の①~④の要件を設けているようです。

債務超過会社は要件を満たしませんし、EBITDA有利子負債倍率=(借入金+社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)が、10倍以内であること、つまりは有利子負債の償還年数が10年以内であることが求められ、10年を超える場合にはリスクが高いものとして要件を満たさないことになります。

中小企業の場合、法人と個人の分離がなされていないケースが多々ありますが、会社資産と個人資産との峻別を行っていない企業のキャッシュフローは予測しがたい面もあるので、分離がなされていない会社は要件を満たさないことになります。

さらに信用保証協会への申込日に返済条件緩和債権に該当する債権があれば、要件を満たさないことになります。

なお、この保証制度は、経営者保証のある既存のプロパー借入についても借換を可能とするという異例の制度であり、これなどを見ていても、経済産業省が経営者保証のない融資実務慣行の醸成に対していかに本気であるかを伺い知ることが出来ます。

元来、プロパーの借入を保証協会の融資に切り替えること(保証協会の保証付き融資で、プロパー融資を返済すること)は、「旧債振替」と呼ばれ、銀行が負っているリスクを保証協会に付け替える事となってしまうことから、金融実務の世界ではご法度とされていました。

旧債振替は、信用保証協会の設立趣旨と全く合致しないため、信用保証協会が旧債振替を認めることはなく、万が一これが発覚した場合には、信用保証協会は銀行が代位弁済を請求してきたとしてもこれを否認することができるのです。
最悪の場合には、それ以降、信用保証協会での取引が出来なくなるなどの厳しい対応を迫られることがあります。

(注):保証協会の設立趣旨は、「協会は、中小企業者等に対する金融の円滑化を図ることを目的として設立されたものである。(信用保証協会法1条)」となっています。

このような旧債振替禁止という背景の中で、経営者保証のある既存のプロパー借入についても借換を可能とする対応については、経済産業省の本気度が見えてくるのです。

保証限度額は2.8億円(うち無担保8,000万円)、保証期間は一括返済の場合は1年以内、分割返済の場合は10年以内(据置期間1年以内)で、保証料率は責任共有保証料率で0.45~1.90%(無担保)です。

また、経営者保証コーディネーターの確認を受けた場合には、保証料率は0.20%~1.15%となります。
また連帯保証人は不要であり、担保は必要に応じて徴求されます。
(注):経営者保証コーディネーターとは、経済産業省の委託を受けた事業承継ネットワーク事務局に常駐する専門家で、事業承継時の経営者保証解除に係る支援業務を行う者をいいます。

申込時には、信用保証協会所定の申込資料の他、以下の資料が必要とされています。
(1)事業承継計画書
(2)財務要件等確認書
(3)借換債務等確認書(既往借入金を借り換える場合)
(4)他行借換依頼書兼確認書(既往借入金を借り換える場合で、申込金融機関以外からの借入金を含む場合)
(5)事業承継時判断材料チェックシート(経営者保証コーディネーターによる確認を受け、上記0.20%から1.15%の信用保証料率の適用を受ける場合)

このように、令和2年4月から開始された事業承継特別保証は、経営者保証を不要とする一般保証制度ですが、事業承継は、後継者が株式や事業資産を買い取ること等のために何かと承継資金が必要になってきます。

そこで、信用保証協会は、その他にも種々の特別保証制度を用意して、一般保証である事業承継特別保証とは別枠で資金の調達をしやすくしています。
なお、これら特別保証は、一般保証である事業承継特別保証とは異なって、法人の代表者の保証は必要です。

以下で、これらの特別保証の内容を詳しく見ていきましょう。

特別保証としての事業承継関連のメニュー

特別保証としての事業承継関連の保証メニュー

事業承継サポート保証

後継者への事業承継を目的として、事業会社の株式・事業用資産を取得するために新設された持株会社(初年度の決算が未了である会社に限ります。)が、事業承継計画の実施に必要な設備資金(事業会社株式取得又は事業用資産購入資金)を保証する特別保証制度です。

以下の全ての要件を満たす中小企業者(持株会社)が対象となります。
(1)事業会社の発行済議決権株式総数の3分の2以上を持株会社が保有する旨の事業承継計画を策定していること。
(2)持株会社は、事業会社の事業活動を支配することを目的としていること。
(3)持株会社の発行済議決権株式総数の3分の2以上を後継者が保有していること。
(4)承継の対象となる事業会社が中小企業信用保険法施行令第1条第1項に定める業種に属する事業を行っていること。
(5)承継の対象となる事業会社において、株式所有の分散、または株式評価の高騰等の要因により、事業承継計画に基づく事業承継の必要が生じていること。

資金使途は、後継者への事業承継を目的とした事業承継計画の実施に必要な資金(持株会社が被後継者の保有する事業会社の発行済議決権株式総数の3分の2以上を一括で取得する資金および附帯費用)に限定されています。
※後継者が既に事業会社の発行済議決権株式を取得しており、今回持株会社が取得する株式と合計して3分の2以上になる場合には、3分の2に満たない一括取得を可能とします。

保証限度額は2億8千万円で、保証期間は20年以内(据置期間2年以内含む)で、連帯保証人は原則代表者のみ、担保は必要に応じて徴求されます。

保証申込には、事業承継計画書、税理士が作成した株式評価算定書、持株会社および事業会社の株主名簿等が必要となります。
また、融資実行後には、資金使途の確認のため、株式譲渡契約書の写し、事業承継計画実行後の事業会社の株式名簿の写しの提出が求められます。

経営承継関連保証

事業承継に伴い、事業活動の継続に支障が生じている会社または個人の中小企業者を支援する特別保証制度です。

事業承継に伴い、事業活動の継続に⽀障が⽣じているとして、経済産業⼤⾂の認定を 受けた会社または個⼈の中⼩企業者が対象となります。
そして、平成30年4月1日現在、経営承継円滑化法の認定権限が経済産業大臣から都道府県知事に委任されており、申請窓口は各都道府県となります。

対象資金は、下記の5つとされています。

  1. 議決権株式の取得資金(法人のみ)
  2. 事業用資産等の取得資金
  3. 事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金(個人のみ)
  4. 他の共同相続人に対して負担する債務の返済資金又は事業用資産等の返還義務を免れるための価格弁償資金(個人のみ)
  5. 運転資金(上記1.~4.以外の事由による認定の場合)

保証限度額は2.8億円(うち無担保8,000万円)、保証期間は運転資金10年以内、設備資金15年以内(いずれも据置期間1年以内)で、保証料率は責任共有保証料率で0.45~1.90%(無担保)です。

また連帯保証人は法人の場合は原則として代表者のみ、個人の場合は原則不要、担保は必要に応じて徴求されます。

特定経営承継関連保証

中小企業における経営者の死亡又は退任等を原因として、後継者が経営を承継にするのに伴なって、株式や事業用資産の取得などの多額の費用を要する事由が生じたことによって、事業活動の継続に支障が生じることがあります。
そのような場合に、中小企業者の代表者が経営の承継に伴って、当該中小企業者以外の者から株式等を取得するための資金、その他の当該代表者が必要とする資金に係る融資について保証を行うことで、経営の承継の円滑化を図り、中小企業の事業活動が継続できることを目的とする特別保証制度です。

次の1.から6.のいずれかに該当し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による経済産業大臣の認定を受けた中小企業者(以下、「認定中小企業者」という。)の代表者が保証の対象となります。

  1. 認定中小企業者の代表者が、当該認定中小企業者以外の者が有する株式等を取得する必要があること。
  2. 認定中小企業者の代表者が、当該認定中小企業者以外の者が有する事業用資産等を取得する必要があること。
  3. 認定中小企業者の代表者が、株式等若しくは事業用資産等に係る相続税又は贈与税を納付することが見込まれること。
  4. 認定中小企業者の代表者が、当該認定中小企業者の株式等又は事業用資産等をもってする分割に代えて当該代表者が他の共同相続人に対して債務を負担する旨の遺産の分割をしたこと。
  5. 認定中小企業者の代表者が有する当該認定中小企業者の株式等又は事業用資産等に対して遺留分の減殺を受けた場合における当該株式等又は当該事業用資産等の返済義務を逃れるための価格弁償をすること。
  6. その他諸費用が生じたこと。

また、対象資金は下記のようになっています。

  1. 資格要件の1.の事由による場合
    当該認定中小企業者等以外の者が有する株式等を、当該認定中小企業者等の代表者(代表者であった者を含む。)の死亡又は退任に起因する経営の承継に伴い取得するための資金
  2. 資格要件の2.の事由による場合
    当該認定中小企業者等以外の者が有する事業用資産等を、当該認定中小企業者等の代表者(代表者であった者を含む。)の死亡又は退任に起因する経営の承継に伴い取得するための資金
  3. 資格要件の3.の事由による場合
    当該認定中小企業者等の代表者(代表者であった者を含む。)の死亡又は退任に起因して、当該経営を承継した代表者が、相続若しくは遺贈又は贈与により取得した当該認定中小企業者等の株式等若しくは事業用資産等に係る相続税又は贈与税を納付するための資金
  4. 資格要件の4.又は5.の事由による場合
    当該認定中小企業者等の代表者(代表者であった者を含む。)の死亡に起因する経営の承継に伴い、次に掲げるいずれかを内容とする判決が確定し、裁判上若しくは裁判外の和解があり、又は家事事件手続法により審判が確定し、若しくは調停が成立したことにより経営を承継した代表者が負担した債務を支払うために必要な資金
  • 当該認定中小企業者等の株式等又は事業用資産等をもってする分割に代えて当該経営を承継した代表者が他の共同相続人に対して債務を負担する旨の遺産の分割
  • 当該経営を承継した代表者が有する当該認定中小企業者等の株式等又は事業用資産等に対して遺留分の減殺を受けた場合における当該株式等又は事業用資産等の返還義務を免れるための価格弁償
  1. 1.から4.に掲げるもののほか、当該認定中小企業者の事業活動の継続に特に必要な資金

経営承継準備関連保証

中小企業者が、経営を承継しようとする者を確保することが困難であることなどの理由によって、事業活動の継続に支障が生じている他の中小企業者の経営の承継を行う場合に、その事業承継に不可欠な株式や事業用資産の譲受けを行うために必要な融資に対する保証を行うことにより、経営の承継の円滑化を図り、中小企業の事業活動が継続できることを目的とする特別保証制度です。

この制度の利用には都道府県知事が発行する経営承継円滑化法の認定が必要になります。

次の1.又は2.に該当し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による経済産業大臣の認定を受けた中小企業者が対象となります。

  1. 会社である中小企業者(金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式又は同法第67条の11第1項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を発行している株式会社を除く。)であって、次の①又は②の事由が生じていると認められること。

①他の中小企業者の役員(当該他の中小企業者が会社である場合に限る。以下2.①において同じ。)又は親族(他の中小企業者が会社である場合にあっては、当該他の中小企業者の代表者の親族を含む。以下2.①において同じ。)の中から当該他の中小企業者の経営を承継しようとする者を確保することが困難であることにより、当該他の中小企業者の事業活動の継続に支障が生じている場合であって、 当該他の中小企業者の経営の承継を行うため、当該承継に不可欠な資産の譲受けを行うものであること。

②他の中小企業者が、当該他の中小企業者(他の中小企業者が会社である場合にあってはその代表者。以下2.②において同じ。)の健康状態、年齢その他の事情により、継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であることにより、当該他の中小企業者の事業活動の継続に支障が生じている場合であって、当該他の中小企業者の経営の承継を行うため、当該承継に不可欠な資産の譲受けを行うものであること。

  1. 個人である中小企業者であって、次の①又は②の事由が生じていると認められること。
    ①他の中小企業者の役員又は親族の中から当該他の中小企業者の経営を承継しようとする者を確保することが困難であることにより、当該他の中小企業者の事業活動の継続に支障が生じている場合であって、当該他の中小企業者の経営の承継を行うため、当該承継に不可欠な資産の譲受けを行うものであること。

    ②他の中小企業者が、当該他の中小企業者の健康状態、年齢その他の事情により、継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であることにより、当該他の中小企業者の事業活動の継続に支障が生じている場合であって、当該他の中小企業者の経営の承継を行うため、当該承継に不可欠な資産の譲受けを行うものであること。

    また、対象資金は下記のとおりです。

    他の中小企業者の経営の承継に不可欠な資産であって、以下に掲げるものを取得するために必要な資金。
    ①他の中小企業者が有する事業用資産等
    ②他の中小企業者(会社に限る。)の株式等(当該株式等を取得することにより、当該中小企業者が、当該他の中小企業者の総株主等議決権数の100分の50を超える議決権の数を有することとなる場合に限る。)

    保証限度額は2.8億円(うち無担保8,000万円)、保証期間は運転資金10年以内、設備資金15年以内(いずれも据置期間1年以内)で、保証料率は責任共有保証料率で0.45~1.90%(無担保)です。

    また連帯保証人は原則として認定中小企業者以外の保証人は徴求しないとされており、担保は必要に応じて徴求されます。

    申込時には、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の規定による都道府県知事の認定書(申請書の写しを含む)の写し及び認定申請の提出書類の写しを添付することが求められます。

    特定経営承継準備関連保証

    事業を営んでいない個人が、経営を承継しようとする者を確保することが困難であること等により事業活動の継続に支障が生じている他の中小企業者の経営の承継を行うことに伴い、当該承継に不可欠な株式等や事業用資産等の譲受けを行うための融資に対する保証を行うことにより、経営の承継の円滑化を図り、もって中小企業の事業活動の継続に資することを目的とする特別保証制度です。

    次の1.又は2.に該当し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による経済産業大臣の認定を受けた事業を営んでいない個人。

    1. 他の中小企業者の役員(当該他の中小企業者が会社である場合に限る。)又は親族(他の中小企業者が会社である場合にあっては、当該他の中小企業者の代表者の親族を含む。)の中から当該他の中小企業者の経営を承継しようとする者を確保することが困難であることにより、当該他の中小企業者の事業活動の継続に支障が生じている場合であって、当該他の中小企業者の経営の承継を行うため、当該承継に不可欠な資産の譲受けを行うものであると認められること。
    2. 他の中小企業者が、当該他の中小企業者(他の中小企業者が会社である場合にあってはその代表者。)の健康状態、年齢その他の事情により、継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であることにより、当該他の中小企業者の事業活動の継続に支障が生じている場合であって、他の中小企業者の経営の承継を行うため、当該承継に不可欠な資産の譲受けを行うものであると認められること。

    また、対象資金は下記のとおりです。

    他の中小企業者の経営の承継に不可欠な資産であって、以下に掲げるものを取得するために必要な資金とする。

    ①他の中小企業者が有する事業用資産等
    ②他の中小企業者(会社に限る。)の株式等(当該株式等を取得することにより、認定を受けた事業を営んでいない個人が、当該他の中小企業者の総株主等議決権数の100分の50を超える議決権の数を有することとなる場合に限る。)

    保証限度額は2.8億円(うち無担保8,000万円)、保証期間は運転資金10年以内、設備資金15年以内(いずれも据置期間1年以内)で、保証料率は責任共有保証料率で1.15%(無担保)です。

    また連帯保証人は原則として認定中小企業者以外の保証人は徴求しないとされており、担保は必要に応じて徴求されます。

    申込時には、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の規定による都道府県知事の認定書(申請書の写しを含む)の写し及び認定申請の提出書類の写しを添付することが求められます。

    事業承継特別保証はすごい!

    事業承継特別保証はすごい!ここまで見てきたように、事業承継関連の保証メニューはたくさんあります。

    その中でも、令和2年4月から開始された一般保証である事業承継特別保証は、経営者保証を不要とする画期的な一般保証制度であり、これまでの銀行の融資実務を大きく変えるエポックメイキングな制度の導入といえるものです。
    これを契機として、今後開発される保証メニューはこういった経営者保証を不要とするものが増えていくのだろうと推察されます。

    日本で中小企業の事業承継が遅々として進まない大きな原因の一つに、経営者保証の存在がありました。
    事業を承継すると当たり前のように先代の負っていた経営者保証もついてくるという悪しき慣習が、後継者の事業承継意欲を削いできていたことは明らかな事実です。

    こういった、悪しき慣習をやめて、事業承継時には経営者保証を廃止することで、全体の融資に占める経営者保証付きの融資の割合がどんどん低下していくことが今後進んでいくのでしょう。

    また、事業承継には株式の取得資金等の承継資金が多額にかかることも事実であり、事業承継特別保証という一般保証だけでは資金が不足することも考えられます。

    そのような場合には、一般保証とは別枠で多様な事業承継に関する特別保証のメニューが用意されています。
    これら特別保証については、現在のところ経営者保証は徴求されますが、一般保証だけでは不足する承継資金を確保するためには有効です。

    これらを上手に組み合わせて事業承継に必要な承継資金の確保を行いましょう。

    事業承継と再生

    事業承継と事業再生事業を承継するにあたっては、先代からそのままの事業構造を引き継ぐのも大いに結構ですが、一方で、中小企業の場合には事業構造が時代に取り残されてしまっていて、顧客のニーズに応えていくことが難しくなってしまっていることが現代では多々あります。

    何代にも渡って事業を承継してきた名門のブランド事業であっても、ブランドが醸し出す雰囲気が「古臭い」などのネガティブな要素を含んでいるならば、そのネガティブなイメージを払しょくするように事業構造の転換が必要になります。

    ここでいう事業構造とは、世の中にニーズとそのニーズに裏打ちされた生活者インサイトと、商品やサービスの提供するコンセプトの合致度を指しています。
    また、そういった関係から生じる生活者のマインドの中のポジショニングも含まれます。

    事業承継にあたってはこういったものを見直して、世の中に真に求められているものを提供するという原点にいったん回帰することはとても重要なことです。
    このようなことから、事業承継にあたっては、事業再生を同時に考える必要があるのですね。

    信用保証協会は事業承継に関する保証メニューのみならず、事業再生に関する保証メニューもたくさん用意しています。
    事業承継に関するメニューと事業再生に関するメニューを使い分けて、承継資金を確保することもとても意義のあることでしょう。

    事業再生に関する信用保証協会のメニューの詳細については下記の記事を参考になさってください。

    信用保証協会に詳細については下記の記事を参考になさってください。

    事業再生の専門家の選び方については下記の記事を参考になさってください。