ポジショニングとは何か?【頭の中におけるユニークな位置取り】

ポジショニングが大切であるとはよく耳にする言葉であり、なんとなくは理解できているつもりなんだけど、実際に自社について実施せよと言われると、具体的にどのように考えればいいのかさえわからない。

自社でも取り組むことができるのならば、ぜひ取り組んでみたいと思うので、わかりやすく教えてほしい。

このようなお悩みをお持ちの、学びと実践を大切にする経営者の方はとても多いように思われます。

この記事を読むことで、マーケティング戦略を考える際に必須のポジショニングとはいったい何なのか、どのように自社のビジネスに落とし込むのかが理解でき、ビジネスに役立つマーケティング戦略の立案ができる可能性が高まります。

本記事は中堅・中小企業の事業再生に取り組んで20年以上、200社超の再生案件に関与して、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生へと導いてきた、企業再生のプロフェッショナルである公認会計士が書きました。

ポジショニングとは何か?

ポジショニングとは何か?ポジショニングとは、ターゲティングした生活者の頭の中に、他のブランドにはない自社独自の役割を築いて、競争にさらされることなく、指名買いをし続けてもらえる状況を作り出すことをいいます。

ポジショニングの良くある定義に、「他社とは異なる差別化されたイメージを築くこと」などのように「差別化」という言葉を遣うものが多いようですが、そもそも「差別化」という言葉は「競争」を前提にする言葉なので、「差別化」という言葉を遣ったポジショニングの定義は正確には正しい物とは言えません。

つまり、ポジショニングを行う目的は、競合する他社のブランドと比較して優位に立つことではなく、生活者から見て「代替の効かない」オリジナルでユニークな存在になることなのです。

ポジショニングの考え方の背景には、孫子の兵法における「戦わずして勝つ」ことが背景としてあります。
戦略の要諦は、競争をして勝つことになるのではなく、いかに競争することなく勝つかにあるということです。

そして、「実体としての商品」は企業が創るものですが、「ブランド」は生活者の「認識」の内側で作られるものです。

つまり、ポジショニング戦略とは、自社ブランドに対する感情移入を形創り、ほかに替えられない独自の存在として「指名買いし続けてもらえる状況」を創り出すことなのです。

言い換えると、ポジショニングとは、「〇〇〇といえば、□□□」といったように、あるカテゴリー(〇〇〇)を考えた時に、瞬時に(□□□)と思い出してもらえるように、カテゴリー内での第一純粋想起を目指すものであり、その記憶が良いものとなるように様々な施策を通じて生活者の良いイメージの記憶形成に働きかえる活動を伴いますが、この一連の活動がブランディングと呼ばれるものになります。

「お洒落なラグジュアリーバッグといえばルイ・ヴィトン」、「安くて早くて美味いファーストフードといえば吉野家」などはその良い事例ですが、こういったブランドは、代替の効かないユニークな存在としてポジショニングが成功しているのです。

ポジショニングとSTP

ポジショニングとSTPフィリップ・コトラ―先生が体系づけたセグメンテーション(Segmentation:市場の細分化)→ターゲティング(Targeting:標的市場の決定)→ポジショニング(Positioning:頭の中での位置取り)のSTPフレームワークの最後を締めるのがポジショニングであり、次のマーケティング・ミックス(4P)への架け橋となる、マーケティング戦略の中枢を担う非常に重要なフェーズになります。

マーケティング戦略におけるポジショニング対象市場を自社のブランドにとって意味のある複数の軸で細分化するセグメンテーションの後を受けて、ある特定のセグメントに含まれる顧客にターゲティングした後に、彼らの頭の中にどのようなユニークな存在として自社ブランドを位置づけるのかを考えるフェーズがポジショニングになります。

ポジショニングの定義の中に、「生活者の頭の中に独自の役割を築くこと」とあるように、商品やサービスの売れ行きを決定づけるのは、「競合ブランドと比較して、より優れた商品であるかどうか」ではなく、「生活者にとって魅力的な製品だと認識できるかどうか」であるということです。

商品を提供する側の企業からすれば、最高品質・最高機能を追求し、こういったスペックが高ければ売れるはずだと思い込んでしまうことが多いのですが、生活者が自社ブランドを頭の中でどのようなポジションに位置付けているかという視点が欠けていると、多大な努力を注いでも報いられない結果になってしまいます。

ポジショニングは、その後に続くマーケティング・ミックス(4P)の方針に大きな影響を及ぼします。

ポジショニングを決定する際の軸の選択によって、無数のポジショニング・マップが考えられ、さらに各々のポジショニング・マップの中でどのポジションを選択するかによって、ポジショニングは無限に考えられることになります。
そして、その多くの可能性の中からそのポジショニングを選択するかによって、その後に続くマーケティング・ミックスの決定は制約を受けることになるということです。

たとえば、会社帰りのサラリーマンをターゲットとした居酒屋をオープンしようとした時に、「会社帰りのサラリーマンがターゲット」というだけでは、具体的にどのようなマーケティング・ミックス(4P)の施策を採用するべきかは決定することができません。

とにかく廉価でそこそこ美味しい居酒屋のイメージを打ち出すのか、こじゃれた内装でデートにも使えそうな雰囲気を目指すのか、田舎の母の味を懐かしむ店にするのかなど、顧客にどんな店だと思ってもらって記憶にとどめてもらうのかを決定しないことには、具体的な店の名前や、店舗の設計と内装、お料理メニュー、価格、スタッフに求める資質、対外的なコミュニケ―ション設計などが決まってこないことになります。

このように、ターゲットの決定の後を受けて、具体的なマーケティング・ミックスに繋げる重要な役割を果たすものがポジショニングなのです。

セグメンテ―ションについては、下記の記事を参考にされてください。

ターゲティングについては、下記の記事を参考にされてください。

ポジショニングの成功条件

ポジショニングの成功条件ポジショニングを適切に行ってマーケティングの戦略を成功させるためには、グロービス経営大学院によると4つのポイントがあると言われています。

①ポジショニングのターゲットサイズが適切か。
ポジショニングを行う前に対象市場を細分化(セグメンテーション)し、そのうち特定のセグメントにターゲティングを行って、そのターゲットの頭の中に自社ブランドを代替不可能な独特のものと位置付けるのがポジショニングですが、ターゲティングした特定セグメントの市場規模が、事業を継続するのに十分な収益の獲得ができるかどうかということです。

十分な規模がないターゲットにいくら上手にポジショニングしても、ビジネスは成功しないことになります。

②売り手の考えるポジショニングが、顧客に正確に伝わるか
ポジショニングはターゲットの頭の中に自社ブランドを代替不可能な独特の存在として位置づけることですが、位置づけるためには、自社ブランドのユニークな価値がターゲットにまずは伝わっていないといけません。いくら上手にポジショニングを考えても、その価値を上手に伝えることはポジショニングのためには必須の要件になります。

③売り手の考えるポジショニングに、顧客が共感するか
素晴らしいポジショニングを企図して、その価値を上手にターゲットに伝えることができたとしても、その価値にターゲット顧客が共感してくれないことには、頭の中に記憶としてユニークなポジションを位置づけることは不可能です。
したがって、顧客が自社ブランドの立ち位置から得られる価値に共感してくれることも、ポジショニングのためには必須になるのです。

④売り手である企業自体のポジショニング(企業理念、ポリシーなど)と、製品のポジショニングに整合性があるか
自社ブランドの製品やサービスのポジショニングを上手に行うことができたとしても、当該ブランドを提供する企業自体のポジショニングと整合していなければ、世の中の生活者の頭の中における位置取りには混乱が生じて、代替不可能なユニークな存在としてポジショニングすることができなくなってしまいます。

したがって、企業自体のポジショニングと提供する商品やサービスのポジショニングの整合性はとても大事な要素となります。

(出典:グロービス経営大学院)

ポジショニングの方法

ポジショニングの方法自社ブランドをユニークな存在としてターゲット顧客の頭に位置付けるためには、通常ポジショニング・マップという2軸で囲まれたマトリクスを考えます。

そして、この2軸に何を用いるかなのですが、ただ単に製品やサービスの持つ属性やこれに関連する生活者インサイトを使っても全く意味がありません。
こういった単なる属性や生活者インサイトを使ったポジショニング・マップは結構世の中に存在すると思うのですが、そのようなマトリクスは、ポジショニングとしては役に立たないのです。

ブランドの独自のポジショニングから得られる価値を重視して顧客は購買行動へと移るのですから、ポジショニングを確定するために使われる軸は、顧客の購買行動と強い関連性がなければなりません。

商品の単なる属性やこれに関連する生活者インサイトを軸に採用してみても、その属性やインサイトが購買行動の原因とならなければ、人を動かすポジショニングとして機能しないことになるからです。

消費者インサイトについては、下記の記事を参考にされてください。

顧客が多くの商品やサービスの中から、最終的にある商品やサービスを選択する時に決め手となる要因を、KBF (Key Buying Factor:購買決定要因)とよびます。

例えば、スーパーの納豆売場の前に立つと多くのブランドの納豆が陳列されていますが、納豆を買う時に最終的に決め手となる要因は、匂わない、小粒である、国産大豆を使用、出汁付、価格がリーズナブル等々が考えられます。

そして事前に決定しているターゲットのKBFは何かを考えて、購買に最も影響を与える要因を2つピックアップしてポジショニング・マップに使う2軸とするのです。

売る側からすれば、自社ブランドの商品の特徴をたくさんあげて、その全てをターゲット顧客に訴求したいのはもっともですが、多くのポイントを訴求されても顧客は覚えて記憶することができないので、KBFとしてピックアップするのは2つだけとして問題はないのです。

人間の認知能力には限界があって、1人の顧客がある製品について強く認識できる特徴は2つまでと言われています。
それ以上だと、ユニークな存在と感じることができず、反対に総花的に聞こえてしまい、「自社の製品がよいと勝手に言っているだけ」という印象を与えてしまうのです。

また「多くの特徴があることは何となく理解したが、しかし結局は何が優れているかわからないよ。」というように、多くの特徴の存在が、個々の特徴を打ち消してしまって、特徴が何なのかが理解しにくくなるのです。

したがって、ポジショニングを考えるに当たっては、最も訴求したい要素を思い切って2つまで絞り込まなくてはならないのです。

たとえば、スマホであれば、「軽い」「リーズナブルな価格」「デザインがよい」「カメラの画素数が多い」「液晶がきれい」「メモリーが大きい」「CMに好きな女優起用」……と、いくつも挙げたくなるのがメーカー側の心理です。

しかし多くの優れたスペックや体験価値を訴求しても、総花的に聞こえてしまい、特徴のないスマホに見えてしまって、生活者の頭の中に独自の存在としてポジショニングすることは出来なくなってしまいます。

そこで価格をKBF1つに選んで、圧倒的な安さと必要最低限の機能でポジショニングしているスマホブランドが中国のシャオミ(Xiaomi)になります。

ポジショニング・マップの軸の選定に関する注意点

ポジショニング・マップの軸の選定に関する注意点ポジショニング・マップを作成する際には、2つの軸をKBFによって決定することが大切なのは先に書いた通りですが、この軸を選定する時には下記の3つの事項に注意しましょう。

相関が強い2軸を選ばないこと

たとえば、ポジショニング・マップの2軸として、価格と品質を取る人が多くいますが、価格の高低と、品質の高低には、一定の相関関係があり、この二つを2軸として設定しても、自社の目指すべきポジションは見えてきません。

この2つの要素を軸としてポジショニング・マップを作成し、各々のブランドをマッピングすると、全てのブランドは右上がりの直線上にプロットされてしまうことになります。
なぜなら、品質が上がるごとに価格が上がるという傾向は多くのカテゴリー商品で普通に見られることで、つまりは価格と品質は相関関係にあることが理由です。

相関関係とは、一方が上がれば(下れば)、他方も上がる(下がる)という関係をいいます。(この場合は正の相関関係)
このようなポジショニング・マップを作っても、通常はその直線から離れたポジションを取ることは現実的に不可能であり、直線から離れたポジションを取るブランドは現実的に存在しないことになるからです。

したがって、2軸を選定する際には、二つの要素が互いに独立した関係であるかを意識することが必要です。

しかしながら、あえて相関係数の高い2軸を使って業界のポジショニング・マップを作って、マップ上の空白地帯にあえてポジショニングできないかどうかを考えて見ることは、大きく視点を変えて業界の常識に挑戦することにもつながりますので、全く価値がない訳ではなく、何らかの空白ポジションを見つけることができたら、業界の大きなイノベーションに繋がります。

相関係数の高いポジショニング・マップでは、先程も書いたように各々のブランドは右上がりの直線状にプロットされ、この直線から離れたポジショニングは現実的には取りえないことが多いのですが、その常識を疑ってみることも時には有効なこともあるということです。

たとえば、格安イタリアン料理を提供する「俺のイタリアン」。

飲食店を選ぶ際のKBFとして、縦軸にお店全体の満足度、横軸に料理の満足度を考えます。
お店全体の満足度はお店全体にかけている総コストと相関係数が高く、料理の満足度は食材原価と相関係数が高いので、縦軸を総コスト、横軸を料理原価に書き換えてみましょう。

するとレストラン業界のポジショニング・マップは下図のようになり、各々のブランドのお店は右上がりの直線上付近にマッピングされることとなります。

俺のイタリアンの独自のポジションこういった中で、「俺のイタリアン」は、業界の常識を外れた食材原価を高めて独自のポジションを築くことに成功しました。

KBF(購買決定要因)を意識すること

ポジショニング・マップで使用する2つの軸は、価格が安い、容量が軽いといった単なる製品やサービスの持つ属性や、持つことによって仕事ができる人間と思われたいなどの単なる生活者インサイトでは役に立ちません。

ブランドのユニークなポジショニングから得られる価値に着目して、ターゲット顧客は最終的に購買へと導かれるのですから、ポジショニングを確定するために使われる2つの軸は、顧客の購買行動との関連性が強いものである必要があります。

ポジショニングを定めることによって、ターゲット顧客を購買へと導くためには、彼らの頭の中に自社ブランドを位置づけるための2軸は、購買決定要因(KBF)であることが求められる理由です。

ポジショニング・マップの策定過程では、ついつい、自社ブランドと競合ブランドを比較して、「自社ブランドがいかに差別化を図るか」にだけ傾注してしまうことがよくあります。

どれだけ多くの差別化要素を持ち出して、自社ブランドが優れている差別化要素をポジショニング・マップの2軸として選択しても、それらが消費者ニーズ、つまりは購買決定要因(KBF)とはかけ離れた要素であれば、それがいくらユニークなポジショニングであっても、ターゲット顧客はその位置取りに気付くことはないので、購買へと誘導できないことになります。

自社にとって競合優位性のある軸であること

ポジショニング・マップを策定する2つの軸は購買決定要因(KBF)を使うべきことは上に書いた通りですが、さらに、その2つの軸は、自社の強みが実現できる軸であることが望ましいものとなります。

2つの軸に購買決定要因(KBF)を選んだとしても、それが自社ブランドにとって弱点である場合には、その2軸で出来上がるポジショニング・マップ上での自社ブランドの位置取りは、競合ブランドの後塵を拝するものとなってしまって、ターゲット顧客の頭の中にユニークな存在としての位置づけをすることが非常に困難になってしまいます。

したがって、ポジショニング・マップの2つの軸を選択する際には、ターゲット顧客の購買決定要因(KBF)に自社にとっての競合優位性を加味しながら選ぶことが求められます。

一方、自社ブランドの弱点となっている購買決定要因(KBF)をポジショニング・マップの2軸として選択せざるを得ないような場合には、その弱点を克服する活動を行って、望ましいポジショニングに移動することを戦略に取り込まなくてはなりません。

斬新な軸を見出すこと

ポジショニング・マップを策定するにあたって、2つの軸を選択する際には、ターゲット顧客の購買決定要因(KBF)に自社にとっての競合優位性を加味すべきことは上に書いた通りですが、自社ブランドを独自な存在としてターゲット顧客の頭の中に位置づけるためには、まだ業界では認知されていないものの顧客の潜在ニーズの存在が想定される「新しい購買決定要因(KBF)」を考えることはとても有効です。

こういった新しい軸を見出すことによって、自社ブランドのポジショニングを一気に転換することをリ・ポジショニングと呼びます。

リ・ポジショニングについては、以下の記事を参考になさってください。

リ・ポジショニングと関連の深いコンセプトについては、以下の記事を参考になさってください。

ポジショニングの事例

ポジショニングの事例

ファスト・ファッション

ポジショニング・マップを作る2軸として価格と機能性を採用し、ファスト・ファッションの代表ブランド3つである、ユニクロ、ZARAH&Mをマッピングすると下記のようになります。

ファスト・ファッションのポジショニング・マップファスト・ファッションブランドで一括りで考えていると、3つのブランドが競争を行っていると勘違いしてしまいそうですが、ポジショニング・マップを作ることで、各々のブランドは棲み分けを行っていて、同じファスト・ファッションと言えども、同じポジションでガチンコに競争するのは避けていることがわかります。

ユニクロは価格が非常にリーズナブルで機能的であり、ブランドのコンセプトである「合理的な服」を体現するポジショニングをとっており、ベーシックなデザインを採用して安価なことから老若男女を問わず広く支持されています。
ZARA
H&Mは海外のSPAブランドという点では共通していますが、価格帯が異なるためH&MZARAに比べてユーザー層が若い傾向が見られます。

ビールのポジショニング・マップ

ビール業界のポジショニング・マップビールの味を、「苦味があるのか、それとも爽やかなのか」という軸と、「コクがあるのか、それともキレがあるのか」という軸を使ってマトリクス上に表現してポジショニング・マップを作成しています。

ビールを愛飲する人の多くが、この2つの要因で購買を決定していると思われるからです。

この軸の表現の仕方を見ればわかりますが、軸の両端に置く言葉は何も対義語である必要はありません。
コクとキレが反対の概念を表す対義語でもありませんし、苦みと爽やかさも反対の概念を表す対義語ではありません。

先程の事例の軸要素は価格でしたが、価格は高いと安いという正反対の対義語の概念で表現したのとは違っています。

こういった対義関係にない概念を軸の両端の表現に置くことができると、2軸のマトリクスが4軸のマトリクスとして使うことができ、競合ブランドの優位性を考慮したポジショニングが詳細に検討できることになります。

アサヒ・スーパードライは、それまでどの競合ブランドもポジショニングを取らずに空白のままだった「爽やかでキレがある」領域にポジショニングを確立し、ビール業界の序列を大きく変動させる結果をもたらしたことは有名な話です。

事業再生におけるポジショニング

事業再生におけるポジショニング事業再生のフェーズに落ち込んでしまった中堅・中小企業、特に破綻懸念先に区分されているような企業の場合には、コスト・カットやオペレーションの改善を実施する改善型のコンサルティングを実施しても本質的な解決には至りません。

破綻懸念先のフェーズにある企業の場合、世の中の生活者のニーズと提供している商品やサービスのコンセプトにズレが生じてしまっているので、現在のポジショニングのままでビジネスを継続しても、そのポジショニングからはターゲット顧客が得られる価値などはないために、売れなくなってしまってビジネス自体が成り立たない状態になっているのです。

このような場合には、従来からのポジショニングを変更する必要があるわけですが、こういった事業再生のフェーズに落ち込んでいる企業の経営者を始めとして社内のスタッフ全員が、残念ながら、生活者ニーズと商品コンセプトのズレには全く気付くことができていないので、ポジショニングを変更するというようなアイデアを思いつくことができないでいます。

昔はパソコンの購買の決定の基準としてCPUの速度を優先する人が多かったので、CPU速度をポジショニング・マップの軸に採用して、ポジショニングを考えることは正しかったわけですが、現在ではどのブランドのパソコンでもCPUは高速化していますので、CPUの処理速度が購買決定要因になどなっていないように、多くのカテゴリーにおいて、購買決定要因が昔とは違ってしまっていることがとても多くなっています。

にもかかわらず、「商品の品質も値段も昔から変えていないのに、売れなくなっちゃったんだよね。」という経営者は、購買決定要因が変化したことに気付いていないのです。

購買決定要因が変化したということは、自社ブランドの商品のポジショニングが変わって提供価値も変化させなければいけないのに、そこを怠ってしまっているから、若い世代の新規顧客の取り込みがうまくいかず、売上が減少して、再生のフェーズに落ち込んでしまったわけなのです。

こういった売上減少の原因を構造化して、そこに対して抜本的な対策を打つのが事業再生なのですから、コスト・カットなどでお茶を濁して、ビジネスの縮小均衡を図っても、その手当は中長期的には間違いであることも多いのでご注意ください。

本気で事業の再生を図りたいのであれば、誰にサポートを依頼するかはとても重要なので、マーケティングの素養があり、ポジショニングの再検討を実施できる専門家の方を探してサポートを得ることが肝要です。

中小企業が事業再生を成功させるポイントについては、下記の記事を参考にされてください。

破綻懸念先のランクアップ方法については、下記の記事を参考にされてください。

事業再生を相談するべき専門家の選び方については、下記の記事を参考にされてください。