中小企業が事業再生を成功させる5つのポイント

中小企業が事業再生を進めるうえで、課題となるポイントはどういったところなのだろう。

当社も世の中によくある中小企業の1つで、ここ数年業況が悪化していて事業再生に本腰で取り組まないといけないのだけれど、取り組む上で念頭に置いておくべきポイントを事前に知っておきたい。

こんなお悩みを抱えた中小企業の経営者の方は、新型コロナ・ウイルスの影響もあってここ最近増えているようで、事業再生に関する問い合わせも以前に増して受けるようになりました。

そこで、この記事では、中小企業が事業再生に取組む上で念頭に置いておくべき5つのポイントをお話していきますね。

本記事は、中堅・中小企業の事業再生に20年以上取り組んで、200社以上の再生案件に関与して、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生に導いてきた事業再生のプロである公認会計士が書きました。

中小企業が事業再生を成功させる5つのポイント

中小企業が事業再生を成功させる5つのポイント

結論から申し上げれば、中小企業が事業再生を成功させるために最も必要なことは、「結果が出るまでやり続けること」です。
なんだ、そんなことかと思われるかもしれませんが、ほとんどの中小企業が事業再生にあたって、クリアすることができない大きな関門なのです。

多くの中小企業が事業再生に取組んでいますが、芳しい結果が出ていないのが現状だと思います。
ビジネス自体の再生には手を付けず、財務の再生だけを実施して当面の資金繰りを良くすることをもって事業再生は成功したと勘違いしている方はとても多いですが、ビジネスそのものの再生においては多くの中小企業の事業再生は失敗に終わっているものがほとんどではないかと思います。

その原因は、事業再生の専門家が財務の再生をもって事業再生だと思い込んでいる日本の悲しき現実にもあるのですが、もっとも大きな原因は、せっかく事業再生に取組んだとしても、中小企業の経営者をはじめとする経営幹部を中心にとして、スタッフまでが結果が出るまでやり続けないことです。

最終的には、中小企業の事業再生の成否を決するものは、この「結果が出るまでやり続けること」に帰結すると思うのですが、これ以外にも念頭に置いておくべきポイントがありますので、順番に説明していこうと思います。

では、これから、中小企業が事業再生に取組む上で、経営者が念頭に置いておくべき5つのポイントを、経営資源を切り口にして順番にお話していきます。

「ヒト」の育成

中小企業の事業再生の成功は「ヒト」にかかっている

組織におけるパレートの法則

中小企業が事業再生に取組んでいく上で、とても重要な役割を果たす経営資源はヒト、すなわち社内のマネジメント層やスタッフに他なりません。
このヒトたちがどのように、またどれくらい動いてくれるかで、事業再生に取組んでから結果が出るまでのスピードは格段に違いますし、結果の出方も大きく差が出ます。

これまでに多くの中小企業の事業再生に関与してきた経験から正直に申し上げますと、この大きなプロジェクトに先頭に立って取り組んでリーダーシップを発揮してくれるスタッフは、ほぼいません。
スタッフと書きましたが、中小企業では、役員や幹部を含めても、ほぼいないのです。

そして、表向きはすごく協力的に見えて、自ら進んで前向きに取り組んでいるように見えても、こういったスタッフの多くはいわゆる公務員タイプで、言われたことはしっかり仕事をこなしますが、自ら進んでアイデアを出したり、これまでにやったことのない対策案の実行を提言してみたりというようなことはまずしません。
こういった公務員タイプのスタッフは、全社員の概ね2割程度でしょうか。

そして残りのスタッフは、言い方が悪くて申し訳ないですが、ご飯を食べるために自分の時間を切り売りしているとしか思われない人で占められているといった感じです。
俗に言うパレートの法則がここでもあてはまるなと、再生実務の最中に再確認をすることが多々あるのです。

プロジェクト・チームという幻想

中小企業においても、事業再生という大きなプロジェクトの中で、多くのスタッフを参加させたプロジェクト・チームを作って、スタッフのモチベーションを上げて事業再生のスピード感をあげるという手法をとるコンサルタントもいますが、私の経験では、この手法はほとんど機能しないと思います。

事業再生のフェーズに至って、現場の人員もぎりぎりで仕事を回していることが多い中小企業で、そのような中で、プロジェクト・チームの仕事へ人を回さなければならない現場の長からすれば、「プロジェクト・チームってなんなんだよ!仕事の邪魔ばっかりしやがって!」みたいな感じで、全社的に事業再生に協力したくないというような態度を醸成してしまいがちです。

また、プロジェクト・チーム自体が機能するためには、そのメンバーに基本的に考える力があることが前提になります。

大企業などの優秀な人材が多く集まっているような組織でのプロジェクト・チームは機能すると思います。
選ばれるメンバーは所属する各々の部署でもエース級の人たちであることが多いですし、そもそも大企業に採用されている方々なので、プロジェクトに必要な知識や情報量も多いことが予想されるからです。

数多くある問題の中から適切な課題を設定して、これまでにないような具体的な対策を立案する力などは備わっていることも多いでしょう。

考える力などというものは単独で存在するものなどではなくて、その背後には様々な知識や情報のインプットがあるはずなのです。
このインプットを日々無意識なレベルで行っているからこそ、ここぞという時に考えることができるわけです。

一方、私の経験から申し上げれば、中小企業でプロジェクト・チームを作ってもまず機能しません。
これは自分の頭で考える力が備わった人材がほぼいないからであり、彼らは若い頃からの日々の膨大な知識や情報のインプットという作業を自ら行っていないし、会社からそのような訓練を受けたこともないはずですから仕方がないことではあるのです。

月に数冊の読書をするとか、ビジネス系のウェブ・メディアを定期購読しているとかという方には、事業再生の案件でお伺いする中小企業ではほぼ見かけません。
反対に本など読んだことがないという方が圧倒的に多いのが、日本の中小企業の現実なのです。

さて、このように、中小企業の事業再生の現場で、プロジェクト・チームを作っても、メンバーを出さないといけない部署の上席者からは、事業再生への取組自体を疑問視され協力してもらえないことも多々ありますし、その問題が解消されたとしても、プロジェクト・チームを構成するメンバーの資質の問題から、プロジェクト・チームは機能しないことがとても多いのです。

このようなことから、中小企業の再生実務の現場で教科書的にプロジェクト・チームを作ることは多くのケースで機能しないことは念頭に置いておくべきでしょう。
事業の傷み具合が激しくて、早期に窮境からの脱出することのプライオリティが高いような案件の場合は尚更です。

事業再生プロジェクトでスタッフは成長しない

また、事業再生という会社の危機的な状況の場面でこそ、人は成長するものだという信念のもと、プロジェクト・チームを作って、選ばれたメンバーの成長を期待する経営者の方もいますが、これも期待通りにはまずいきません。
そもそも考える基礎的な力が備わっていないのに、事業再生という難易度の高いプロジェクトの中で考えるということがまず不可能だからです。

私は、中小企業の再生実務の現場で、プロジェクト・チームなどは機能しないことは重々承知しているので、私の場合は、基本的に社長と私の2人で全てを決めてしまって、トップダウンで戦略の立案、マーケティング施策の実施等を行って、スタッフを現場でとにかく動かせることに注力します。

プロジェクト・チームなどという新たな組織を作るよりも、既存の組織体、たとえば支店長会議や営業会議などの既存の合議体を上手く活用しつつ、事業再生に対する抵抗を避けながら、彼らに気持ちよく動いてもらえるような配慮を徹底的に行います。

中小企業の再生実務の現場で、スタッフの成長を期待して、アイデアなどを求めても十中八九新しいものが出てくることはありません。
答えのないビジネスの問題に取り組むには相応の訓練が必要であり、入社以来そういったビジネスでの頭の使い方の訓練の機会を与えられたことがない中小企業のスタッフたちにとって、それは極めてハードルが高いことなのです。

事業再生の機会をスタッフの成長の機会と短絡的に捉えることはせずに、再生の目途がある程度ついてから、ビジネス上の問題を把握して適切な課題を設定できる力を身に付けることができるような、また、マーケティング思考で常に考えることができるようなスタッフの教育機会を定期的に設けるべきなのです。

「企業は人なり」です。
自ら考えて新たな課題を設定できるスタッフが多く存在するような企業に変わることができれば、再び再生のフェーズに落ち込むこともないでしょう。

このように、中小企業の事業再生の当たっては、スタッフ等の活躍を過度に期待するべきではなく、マネジメントが中心になって再生実務を進め、再生の目途が立ったならば、将来の会社のためにスタッフへの教育投資を開始することはとても大切なことです。

社員教育については、下記の記事を参考になさってください。

「モノ」のズレの発見

中小企業の事業再生は「モノ」のズレの発見にある

ここでいうモノとは、中小企業が顧客に対して提供している商品やサービスのことを指します。
中小企業が事業再生のフェーズに落ち込んだ場合、事業の棄損の程度にもよりますが、基本的に提供している商品やサービスが、世の中の生活者のニーズとズレていることが原因となって売上が低迷し、業績が悪化しているケースが圧倒的に多いです。

そして、事業再生のフェーズにある中小企業の経営者のほとんどがこのことに気付いていません。

問題は、提供している商品やサービスのコンセプトが今の時代に求められているニーズとはずれてしまっていることなのですが、このズレ自体は可視化してみることができるものではないので、目に見える他の問題点を会社の窮境の原因として特定してしまうことが多くなります。

料理屋であれば板長が退職して味が落ちたとか、サービススタッフの接客レベルが低下したとか、不景気で価格が高くて客が減ったとか、目に見える事象を原因として特定してしまいがちで、提供しているお料理のコンセプト自体が時代のニーズから乖離してしまっていることに気付かなかったりします。
気付いていても認めたくないから、気付かないふりをするケースもあり、老舗と言われる歴史ある企業などにはこういうケースがとても多いですね。

世の中のニーズと言いましたが、そのニーズの正体は、世の中の生活者の深層心理を反映したものなので、その生活者の深層心理に横たわるインサイトを把握することが必要になります。

インサイトとは、生活者自身が自分でも気付いていないくらいの深層心理に横たわるホンネや欲求を指す言葉ですが、生活者自身も気付いてない無意識の世界にある、まだ言語化もされていない欲求なので、生活者自身に「あなたは何が欲しいですか?」と聞いても、言葉で答えることができるようなものではありません。
インサイトを把握するための調査の手法は様々考えられていますが、どの手法を用いようとも最終的には自分の頭で、インサイトを特定することが必要になるわけです。

こういったインサイトを掴んで、自社の商品やサービスにあてはめてみると、そこで初めて自社の商品やサービスのコンセプトがズレているなと気付くことができます。
気付いたならばそこで、コンセプト開発をやり直して、インサイトに寄り添うような提供価値としてのコンセプトを再定義すればいいわけです。

長い間、同じ商品を売り続けていると、気付かないうちに世の中のニーズが変化して、商品が時代に合わなくなっていきます。
経済や政治や社会や技術などの外部環境が変われば、人の気持ちも変わることは当然のことなので、社会のニーズと商品コンセプトとの乖離は必然なのです。

必然だからこそ定期的に、そのズレの確認を行わないといけませんが、「商品コンセプトと社会のニーズのズレ」などという知見は多くの中小企業にはありませんから、その乖離に気付くことはなく、その乖離は放置され、次第に拡大し、顧客数の減少、顧客離れを通じた売上の減少に繋がり、事業再生のフェーズに突入してしまうというわけです。

事業再生のフェーズに至ってしまった中小企業が、まず疑うべきことは、「商品コンセプトと社会のニーズのズレ」です。

ここに問題があるような場合に、固定費をカットするとか、オペレーション効率を上げて固定費の影響を薄めるとかってことをやってしまうコンサルタントは多いですが、そもそも課題の設定自体を間違っていますよね。

事業再生におけるマーケティングの重要性については、下記の記事を参考にされてください。

事業再生の論点については、下記の記事を参考にされてください。

「カネ」に邪魔されない

中小企業の事業再生は「カネ」が邪魔をする2009年12月に施行された金融円滑化法(正式名称:中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)までは、金融検査マニュアル(当時)の厳格な運用を求める金融行政の下、債務者区分の低い債務者に対して新しい融資がなされることはありませんでした。
貸し出したらすぐに不良債権化して貸倒引当金を積まなければならない融資なんてありえなかったわけです。

ところが金融円滑化法の施行により、債務者の求めに応じてリスケ等の支援を行った場合には、不良債権として扱わないこととなりました。

また、円滑化法の終了後は、経営改善計画書の策定を行っている場合に、当該計画が一定の要件を満たす計画である場合には、破綻懸念先から要注意先まで債務者区分がアップするようなウルトラCも盛り込まれ、債務者に資金繰りを何としても支えようという金融行政の強い意志が制度に反映されたのでした。

金融円滑化法は2度の延長の後、2013年3月に終了しましたが、円滑化法の考え方はその後金融検査マニュアルや監督指針にも盛り込まれ、金融行政の基本的な指針となりました。
そして、2019年3月に金融検査マニュアルが廃止されましたが、円滑化法の考え方はマニュアルの廃止後も踏襲されるものであるとの金融庁の発表があり、現在でもその考え方を背景として金融行政は実施されています。

円滑化法以降のこのような金融行政の中で、中小企業へは必要な資金が供給されやすくなっており、さらに、この度の新型コロナ・ウイルスの影響によって売上の大幅な減少に見舞われた中小企業も多くありましたが、保証協会や日本政策金融公庫の実質無利子制度を利用して、ほとんどの中小企業へ資金供給がなされ足元の資金繰りには一安心といった状態になっていること思います。

このように、中小企業に対するきめ細かい施策を多数打ち出している金融行政のおかげで、中小企業が資金繰りの問題で破綻するようなケースは、経営者本人が諦めない限り、円滑化法施行以前と比較して格段に少なくなっています。

円滑化法以降、中小企業へ必要な資金供給がなされやすくなったことは事実ですが、円滑化法施行前の世界ならば破綻せざるを得なかった企業もゾンビのごとく生きながらえ、市場の新陳代謝という経済社会の自然の摂理を歪めてしまっているという弊害も生んでいます。

さて、重要な経営資源の1つとされるカネの問題で奔走する必要がないこのような時代には、資金繰りに奔走することがなくなるため、自社で発生している多くの問題に気付かなくなります。

たとえ、気付いていたとしてもその問題の重要さを手元資金の厚みが覆い隠してしまい、自社はまだまだ大丈夫というような錯覚の罠に嵌り込むことがとても多くなります。

このように、資金調達環境がよく手元資金が厚いような状況の下では、本来であれば、自社の構造改革を時代に合うように進めなくてはいけないはずなのに、そのような行動に移すインセンティブが大きく阻害されてしまうのです。

手許資金が厚くなったと言っても、それは自社の事業収益からもたらされたものではなく、資金調達環境が良くなったことに起因するもので、貴社のビジネスの収益性が高くなったわけではありません。

中小企業の経営者は、その手元資金は借入金という負債を増加させることで得られたものであって、実質無利子であっても元金の返済はいずれ大きな負担となって会社の資金繰りを圧迫するものだということを重々理解して、客観的に自社のビジネスの現状を把握することを忘れてはならないのです。

中小企業の場合、潤沢な手元資金は会社で発生している多くの問題を覆い隠してしまうということは、念頭に置いておくべきでしょう。

金融円滑化法、金融検査マニュアルについては、下記の記事を参考になさってください。


「情報」の取得

中小企業の事業再生は「情報」の取得にある中小企業は様々な点で情報を取得する能力が、大企業に比べて圧倒的に劣ります。

これは、組織内に抱えている人員の数が圧倒的に違うことと、人材の多様性のレベルから生じてしまうことなので、大きな組織が優位に立つことは仕方がないことなのですが、この差はビジネスの展開の仕方にも大きく影響をもたらします。

たとえば、ウェブを使ったウェブ・マーケティングという認知・集客・販売の手法がありますが、大企業の場合、ウェブ・マーケティング等に詳しい専門的な人材を雇用することができ、マーケティング部の中にウェブ・マーケティング課を設けることも可能でしょう。
一方、中小企業の場合、そもそも経営者を始めとして経営幹部にデジタルに関する知見がほぼない、つまりはこれらの情報を能動的に取りに行くことはないので、ウェブ・マーケティングに本格的に取り組むこともほぼないですし、経営者が興味を持ってウェブ・マーケティングに取組もうとしても、専門のスタッフを雇用するとか、専門部署を立ち上げるといったことは難しいでしょう。

私が中小企業の事業再生で関与した企業のほぼ100%が、ウェブ・マーケティングを実施していませんでした。
びっくりするような話ですが、事実なのです。

2000年代前半に作ったカタログのような古いウェブ・サイトを更新することもなく放置している会社が圧倒的に多いのですが、導入にあたってウェブ制作会社の「ウェブ・サイトが営業代行してくれて、営業マンの人件費が浮きます。」という殺し文句に乗せられてウェブ・サイトを外注したけれども、ウェブ制作会社の多くはウェブ・サイトを製作するだけで、ウェブ・マーケティングの知見がないので、作ったまま放置されることになります。

コンテンツもほぼないままのウェブ・サイトなど、Google検索で上位表示されるわけもないので、問い合わせすら一つもないというウェブ・サイトは世の中にごまんとあります。
こういった痛い経験も、中小企業の経営者をウェブ・マーケティングへの本格的取組から遠ざけているものと私は考えています。

中小企業は、大企業のように潤沢に広告予算を使って世の中の認知をとることができないので、この認知の壁をいかに突破するかを予算のない中で考えないといけないわけですが、そもそも中小企業には「認知の壁」というような概念さえ存在しないので、情報を効果的に世の中に回すというような発想が出てくるわけがないのです。

そういった意味で、ウェブ・サイトを準備して、検索者の検索意図にあったコンテンツを作り続けることは、中小企業のビジネスにおいては必須な訳なのですが、本格的にウェブ・マーケティングに取り組んでいる中小企業は極めて少数派です。

事業再生のフェーズに至った中小企業については、私の経験が示すように、ウェブ・マーケティングへの本格的取組を行っている会社はほぼゼロだと思います。

中小企業の課題の一つはウェブ・マーケティングへの本格的取組であることは間違いないので、情報取得において劣位にある中小企業は意識してウェブ・マーケティングに関する情報の取得に努めましょう。

5つ目のポイント

中小企業が事業再生を成功させる5つ目のポイントこれまでに、中小企業が事業再生に取組みにあたって念頭に置いておくべき重要なポイントを、4つの経営資源の観点から書いてきました。
中小企業の経営者が、ここに書いたことを念頭に置いて事業再生に取組めば、必ず何らかの結果は出ることと思います。

でもそれには、絶対に守るべき1つのルールがあります。
それは、「結果が出るまでやり続けること」です。

中小企業の多くが自分たちで事業再生に取組んでも、スケジュール通りに順調に再生の道を辿るケースは少ないのですが、その理由は実にシンプルで、「途中で取組をやめてしまうから」です。

私が関与してきた多くの中小企業の再生案件において、収益力の向上のために様々な取り組みを行ってきましたが、うまくいかない理由の大半は、中小企業の経営者をはじめとする経営幹部、スタッフが途中で改革案の実行をやめてしまうという極めてシンプルな事実でした。

何らかの課題に対して効果的だと思われる対策案を立案しても、その段階では頭の中で考えた「収益の確保と因果関係が強いと思われる」仮説としての対策案に過ぎません。
でも実施する側からすれば、その対策案は「唯一無二の絶対的な対策案」と思い込んでいる節があって、それが上手くいかなかったらもうやり様がないと放り出してしまう傾向がとても強いのです。
どんな素晴らしい企画に見えても、実際に実行することでしか、「収益との因果関係」を確認することはできないのです。

何らかの対策を打っても効かない場合には、効かない原因を考えて、条件を変えて同一の対策案を実行する、対策案自体を変えて実行する等々の試行錯誤はビジネスにはつきものです。

松下電器産業の創業者の松下幸之助さんも、「成功とは成功するまでやり続けることであり、失敗とは成功するまでやり続けないことである。」とおしゃっているように、「結果が出るまでやり続けること」が中小企業の事業再生が成功する要諦なのです。

さて、中小企業の経営者が中心となって、事業再生を「結果が出るまでやり続けること」で、その結果、成功させることは可能でしょうが、おそらく途方もない時間がかかります。
試行錯誤は大事ですが、試行の数があまりにも膨大になって再生まで時間がかかり過ぎて、その間にさらに業況が悪化するという負のスパイラルに落ち込んでしまいます。

中小企業の経営者が、再生のスピードを上げて収益力を早期に高めることを望むのであれば、中小企業の事業再生の経験が豊富な事業再生の専門家にアドバイザーを依頼するべきでしょう。
指導を受けるのにコストはかかりますが、結局は安くつくものなのです。

事業再生のアドバイザーについては、下記の記事を参考になさってください。

事業再生のコンサルティングの内容については、下記の記事を参考になさってください。

事業再生に取組むにあたってアドバイザーの選び方については、下記の記事を参考になさってください。