経営顧問がなぜ流行るのか?【事実:従来型は役に立たない。】

祖父の代から続いてきた当社も創業80年を迎え、この節目の年に私が3代目の社長に就任したのだが、この旧態依然とした経営の方法をこのまま続けていても本当にいいのだろうか?

自分でも十分自覚できていないのだが、時代は大きく変わっていて、お客様の気質だってここ数年で大きく変わっているはずだろう。

当社の売上もここ5年ほどは減少傾向にあるし、お店に出ていても若い年齢層のお客様なんてほとんどいなくて、爺さんや婆さんの年代がやたらと目に付く。

昔から当社をご贔屓にしてもらっているのだから、もちろんこういったお客様を大切にしないといけないんだけど、これらの年配のお客様だっていずれは亡くなってしまうわけだから、その後はどうなるんだろう。

経営について多方面に気付きを与えてくれる経営顧問みたいな人についてもらったほうがいいのかもしれないな。
自分ではわかった気になっているけど、経営顧問のような人が見れば、私なんかど素人もいいところかもしれない。

そういった人はどこで探せばいいのだろう。
いい人がいれば、話を聞いてみたいものだ。

こんな悩みを抱えた2代目、3代目の若手経営者は最近とても増えていますね。
私のもとへもこの手の相談は最近確実に増えてきました。

そこで、この記事では、経営顧問を探していらっしゃる経営者が増えている理由を私の経験からお話しして見ようと思います。

この記事を読むことで、こんな時代には経営顧問が必須になってきた背景が理解できるようになり、その必要性を実感できることと思います。

本記事は、中堅・中小企業の事業再生にたずさわって20年以上、200社以上の再生案件に関わって、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生に導いた事業再生のプロである公認会計士が書きました。

経営顧問がなぜ流行るのか?

経営顧問がなぜ流行るのか?

経営顧問の問い合わせをされる方の特徴

最近私のもとへも経営顧問の問い合わせが少しずつ増えています。
事業再生や事業承継をいった特定の課題に対するコンサルティングの依頼ではなく、今後の経営の相談相手としての経営顧問の依頼です。

もちろん、そういった会社の中には、経営課題が事業再生であったり、事業承継であったりする企業もありますが、どちらかというと中堅・中小企業の規模ではあるものの、一定の収益力も確保していて、外見上は何ら問題がないように見える企業が多いのです。

経営顧問を探していらっしゃる会社は業種も様々で、売上規模や収益レベルもばらばらで、設立後間もないベンチャー企業から数百年の歴史を誇る老舗まで幅が広いのですが、経営顧問をお探しのこういった方のお話を聞いていくと、どの方にも共通していることが3つあることに気が付きます。

その1つは、論理的に考えた結果で様々な経営の施策を実施しているのではなく、「なんとなく」という感覚で経営のかじ取りをしているということです。
そして、2つにはマーケティング的な思考に欠けているということです。

最後の3つ目は、その2つの欠落を上手く言語化できないまでも、薄々自分で感じていらっしゃるということです。

経営における思い付きや直観の働きはとても大事なことだと思っています。
経営の全てが論理で回るなどとは考えてもいません。

しかし、思い付きや直観で感じたことを、なぜ自分はそのように感じたのかということを徹底的に自分の頭の中で問い直すことはとても大事なことです。

自分が思いついたことを補強してくれる事実など外部に探しに行ってもないことのほうが多いはずです。
もしそんな補強事実が外部に情報として転がっていたならば、あなたの思い付きは大した新しさなどないアイデアということでしょう。

自分の思い付きに対して、なぜ自分はそんな風に感じ、思い至ったのかということを自分の頭の中で徹底的に考える作業には、論理的にモノゴトを考える力と、マーケティング的な思考が必須なのです。

そんな大切な思考の欠落を自分で気付いて、経営顧問をお願いできませんかと問い合わせてくるだけでも非常に稀有な存在ですし、謙虚に経営顧問の話を聞いて経営の実践の参考にするという姿勢もなかなかできることではありません。

そして、圧倒的な知見を有する経営顧問を脇に置いて、何時でも相談できる経営の体制を敷いておくことはこれからの時代、ますます必要になることは間違いありません。

その理由は、外部の経営環境の変化と、人間の認知能力の問題にあるのですが、以下にその理由を簡潔に書いておきます。

外部環境の変化

経営者の方が、経営顧問の必要性を感じられている背景の1つには、間違いなく経営環境の大激変があります。
こういった経営環境の大きな変化を上手く言語化できないまでも、肌で感じ取って、従来通りのやり方ではまずいと薄々感じられて、経営顧問を探していらっしゃるようです。

経営環境の変化はいくつかの要素が組み合わさっています。

1つ目には人口減少、少子高齢化、長寿時代の到来が経営に与える影響を考えるべきです。

人口減少、少子高齢化・長寿化が進む中で、全体のパイが縮小する中で、母集団が最も大きい高齢者の消費性向が衰えるであろうということ、従来は消費意欲が旺盛で会った若い世代が、価値観の変化でモノを買わなくなっているということが、デモグラフィックで見たマーケティング上の大きな課題となっています。

2つ目に人工知能の進化が経営に与える影響を考える必要があります。

人工知能の関する技術の発展によって、人間の仕事の多くは間違いなく人工知能に代替されるでしょうが、その結果、人間の所得水準の変化、バラツキが変化し、人々の消費性向も現在とは大きく変化することが予想されます。

3つ目に情報洪水が経営に与える影響を考えないといけません。

日本は2005年から世界に先駆けて情報洪水の時代に突入していて、デジタル空間を中心に私たちの周りの流通情報量は劇的に増加している一方、私たち人間の脳が消費できる情報量はほぼ一定で大きな変化はありません。

このような中で、従来は貴重であった情報の価値が大きく低下し、これまではありがたく拝見していたCMなども現在ではうっとうしいと感じる生活者のほうが圧倒的に多くなっています。
その結果、現在では広告は嫌われるものとなってしまっており、広告の匂いがするだけで生活者は情報をスルーする傾向にあります。
つまりは伝えること自体がとても難しい時代になったということです。

これからのコミュニケーションのあり方は、従来のままでは通用しないということでしょう。
生活者にしっかり伝わるようにコミュニケーション自体をデザインしなくてはならない時代なのです。

4つ目に、日本は世界的に見ても珍しい超成熟化市場であるという点です。

日本の市場は大半のカテゴリーで成熟化していて、提供される商品やサービスはとても品質が高くてリーズナブルです。
コンビニで買うペットボトルのお茶はどれも美味しいように、大半のカテゴリーで非常に高いレベルで品質・機能が安定している日本は世界的に見ても非常に稀有な国です。

このような市場では、品質や機能での差別化はほぼ不可能です。

このような市場でいかに戦略をたてて、独自のポジショニングを築くのか、以下に売り方で差別化を図るのかを考える必要があります。
売り方はまさに先ほどのマーケティング・コミュニケーションの分野に関わりますが、そこでは、商品やサービスの何を伝えるのかを考えること、それをどのように伝えるのかを考えることが必要になります。

最後に5つ目として、デジタル・ツールが必須になってきたことがあげられます。

デジタル化というと、なんだか大げさな言い方ですが、高価なデジタル機器を導入しましょうというレベルの高い話ではなく、せめてWebサイトをしっかり準備をして、あなたの提供する商品やサービスに関連する情報を探している潜在的な顧客に対してアプローチすることができるコンテンツ・マーケティングくらいは取り組んでいきましょうということです。

デジタル化というと、投資額がバカにならない割に効果は少ないと誤解されている中堅・中小企業経営者の方は多いのですが、むしろ資金力が比較的乏しい中堅・中小企業が大企業と同じ土俵で戦える武器として考えるべきなのです。

デジタル・マーケティングに取り組んでいるか否かが、中堅・中小企業の勝ち組・負け組の分水嶺になると思います。

経営環境の変化についての詳細は、下記の記事を参考になさってください。

人間の認知能力の限界

先ほどお話した、5つの外部の経営環境の変化も、経営顧問をそばに置いておく理由なのですが、それら外部環境の変化と並んで大切なことがあります。
それは人間のモノゴトに対する認知能力には限界があるということです。

1つには、人間には見えてないことが多すぎるということです。

そもそも人間は周りのことすべてが見えているわけではありません。
我々の脳は必要な情報だけを取捨選択して収集するようにできています。
その結果、私たちに見えているものは、自分にとって関心のあることだけということになり、意識的に注意を向けた情報が自分の世界の全てになるということです。

あなたの会社では日々様々なことが起こっていて情報となって発信されています。
ところが、あなたに見えているものはその情報全てではなく、その中であなたにとって関心のある情報だけということになります。

会社に経営者にとって検討するべき情報も多く流通しているわけですが、それらが何ら検討されることなくスルーされているのです。
とても怖いことだと思いませんか。

私も含め、人間は自分に見えている世界が全てだと錯覚しがちですが、現実はその反対で、実は見えていないことがとても多いのです。

そして、2つ目には見えているものについても自分独自のフィルターがかかっているということです。

私たちは生まれてから多くの経験をし、それらの経験やあなたが獲得した知識をベースにして、世の中の物事に対するあなた独自の一定の視点というものができあがっています。
つまり、世界の全ての物事はその人独自の視点で解釈されているということです。

長期に渡って自分の扱っている商品やサービスを見続けていると、ある一定の視点からしかそれらを見ることができなくなりますが、これも我々の脳の仕業で、そのように見えたほうが脳は情報を処理しやすく負担が小さいからなのです。

でも、あなたのその視点以外にも、他に多くの視点があるはずです。
複数の視点であなたの扱っている商品やサービス、もっというとあなたのビジネス自体を見ることができているでしょうか。

ここに書いたような、外部の経営環境の変化や、人間の生まれついての認知能力の限界というものに薄々気づいて、社内の知識・知恵の活用だけでは最早どうにもならないと悟って、外部の経営顧問を探す方が増えていらっしゃるのです。

3つのタイプ

3つのタイプ経営顧問には様々なタイプがあります。

まずは、上場企業の役員や部長クラスの経験者で、その業界に精通して顔が広く専門的な情報が入りやすいポジションにいらっしゃる経営顧問です。
昔のアメリカのコンサルティング業界でいうところのグレイヘアコンサルタントが、このタイプの経営顧問ですね。

このタイプの経営顧問はさらに技術系の方と営業系の方に分けることができます。
中には技術者で製品開発をガンガンこなしながら、自分で作り出したものを自分で世界中に売り歩いたなどというすごい経歴の経営顧問もいらっしゃいますが、そのような技術も営業もこなせる経営顧問は極めて稀有な存在です。

次に、弁護士や公認会計士などの士業の方で、各々の専門的な見地から経営に対して助言を行うタイプの経営顧問です。
社会的な信用が高いとされるこれらの専門家を、経営顧問として重用される経営者の方もまだまだ多いものと思われ、このタイプの経営顧問もまだまだ多いようです。

最後に、マーケティング思考を身に付けていて、デジタル・ツールにも精通しており、従来型の経営顧問とは違った視点でモノゴトを捉えられる、新しいタイプの経営顧問です。
マーケティングは経験がものをいいますので、ある程度の年齢を超えないと自在にマーケティング思考を操ることはできないですし、反対に、デジタル・ツールは、日々新しいものが発明されているような時代ですので、一般的に若い方のほうが造詣が深いものです。

したがって、デジタル・ツールに精通してマーケティング思考を自在に操れる人となると極めて少数になりますから、このタイプの経営顧問を選ぶ時は、どちらかを重視することで折り合いを付けないといけません。

既存のモノの見方を疑うというのは訓練次第で誰でもできるようになりますので、年齢はあまり関係ありません。
若くしてそのような見方を身に付けている人もいますし、年配でも固定的なモノの見方をしかできない方もいます。

これまでの時代は、最初のタイプのグレイヘアコンサルタントタイプの経営顧問や、2つ目の弁護士や公認会計士の専門家の経営顧問を置くことが多かったように思います。

たしかにグレイヘアコンサルタントタイプの経営顧問は、大手の取引先とのマッチングが上手だったりしますので、このタイプの経営顧問は現在でもビジネスをスケールする際には大きな効果をもたらせてくれることは間違いないでしょう。

しかし、このタイプの多くの経営顧問は過去のレガシーに頼って仕事をするタイプなので、これから大きく変わる時代にどのような戦略を描くべきなのかとか、マーケティング的思考で新しいことを考えるのはとても苦手だと思いますし、デジタルなどは全くの門外漢なはずです。

2つ目の弁護士や公認会計士の専門家である経営顧問は、そもそも経営についての知見などお持ちではないので、そのような方を経営顧問として招くのは全くの無駄であると断言します。
会社の対外的信用や見栄えなどで選ぶのであればよろしいかと思いますが、そういった専門家である経営顧問はビジネスの相談相手としては全くの見当外れもいいところでしょう。

弁護士と公認会計士の基本的スキルについては、下記の記事をご参照ください。


さて、これからの時代にふさわしい経営顧問は、3つ目のタイプ、つまり、マーケティング思考を身に付けていて、デジタル・ツールにも精通しており、従来型とは違った視点でモノゴトを捉えられる、新しいタイプの経営顧問です。

中堅・中小企業の最も弱い所は、業種業態に関わらず、マーケティング思考の欠落と、それを支えるデジタル・ツールに関する興味のなさです。
そして論理思考をベースとするクリエイティブ発想の貧弱さです。

経営顧問としてこの辺りを中心に経営者に対して助言を与え、また時には助言を与えるだけでなく、自ら進んで実行することもできるタイプの経営顧問が必要な時代なのです。

先に書きましたが、人間は本来全てのものが見えるわけではありません。
その上、高度経済成長時代のように線形性の考え方で未来が予測できた時代とは異なり、先が読めない時代に突入したことで、経営環境の大きな変節点を迎えているのです。
そのような難局の時代でも経営のかじ取りを行っていかなくてはならない経営者の思考環境を少しでも改善し、視界が開ける役目を果たすのが経営顧問の仕事です。

今の時代の経営顧問は「言葉」と「数字」の双方のアプローチで経営者の視界を広げてさしあげる必要があります。
今まで気づかなかった新しい価値を明確な「言葉」で伝え、万人が理解できる「数字」で理解を促すことができるのが、現代の時代に求められる経営顧問なのです。

現代の経営環境下では必須

現代の経営環境には必須「人間の認知能力の限界」と、「自分独自のモノの見方」という制約があっても、経済が成長過程にあり安定的に売上が増加していた時代ならば、難しいことを考えなくともビジネスは自走して勝手に大きくなっていくことができました。

人口の増加という大きな要因が、そういった制約要因のデメリットを打ち消してくれていたからです。
でももうそんな時代はとうに過ぎ去っています。

ビジネス環境の大転換点にいる私たちが、旧来のビジネスの見方や方法論でビジネスに取り組もうとしても、それは盲目の状態で武器を持たずに巨人を倒しに行くようなものなのです。

様々な視点から質問をして経営者に気付きを与えるような経営顧問がまさに必要とされる時代なのです。
あなたには、マーケティング思考を駆使して、デジタル・ツールも使いこなし、クリエイティブな発想で、「言葉」と「数字」で語ることができて、気付きを与えてくれる、頼れる経営顧問はいるでしょうか?

当社の代表は、新しいタイプの経営顧問としてあなたを様々な面で支えることが可能です。
経営顧問をお探しの経営者の方は、是非一度お問い合わせください。相談は無料です。