事業再生の対象となる会社とは?【規模の大小は関係ありません】

グーグル先生に聞いてみたんだけど、事業再生に取り組むための公的機関はいろいろとあるみたいで、昔に比べたら事業再生に取り組める環境は格段に良くなっているらしいな。
うちもアイフルや日本航空みたいに事業再生に取り組んでみたいんだけど、うちみたいな小さい中小企業でも事業再生の対象になるんだろうか。

こんなお悩みを抱えていて事業再生の対象にはならないだろうと勝手に決めつけて、事業再生に踏み出すことを躊躇している経営者の方は多いかもしれませんね。

この記事を読むことで、種々の公的機関で事業再生の対象とされている会社の条件がわかり、事業再生の対象となる会社の要件が理解できます。

本記事は、中堅・中小企業の事業再生に20年以上たずさわり、200社超の会社の事業再生に関与して、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生に導いた事業再生のプロである公認会計士が書きました。

事業再生の対象となる会社とは?

事業再生の対象となる会社とは?結論から申し上げますと、現在では様々な事業再生の支援を後押しする公的機関がありますが、これらの機関が共通して事業再生の対象としている会社の条件は、「一定の正常収益力がありながら過剰債務に苦しんでいる企業のうち、債権者からの支援が見込め、清算価値を上回る回収を見込むことができる企業」です。

債務者企業の規模の大小は、事業再生の対象となる要件とは何ら関係ありません。

では、なぜそのような条件だといえるのかを、事業再生ADR、地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の各々が再生支援先の対象となる条件としている事項を検討して明らかにしましょう。

事業再生ADR

事業再生ADRは、ADR(裁判外紛争解決手続 )手続の一種であり、過剰債務に悩む企業の問題を解決するため、2009年に産業活力再生特別措置法(産活法)の改正により創設され、2015年の産業競争力強化法により引き継がれた制度です。

事業再生ADR手続の利用目的は、事業価値の著しい毀損によって再建に支障が生じないよう会社更生法や民事再生法などの法的手続によらずに、債権者と債務者の合意に基づき、債務 ( 主として金融債務 ) について、猶予・減免等をすることにより、経営困難な状況にある企業を対象として再建することです。

事業再生ADRが対象としている企業は以下の通りです。
(太字部分:一般社団法人事業再生実務家協会「 特定認証ADRに基づく事業再生手続規則 」 第22条による)

①過剰債務を主因として経営困難な状況に陥っており、自力による再生が困難であること。

まず1つ目に、「過剰債務を主因として経営困難な状況に陥っていること」と「自力再生が困難であること」を事業再生の対象となる条件に掲げています。

「過剰債務を主因として経営困難な状況に陥っていること」とは、過剰債務がなければ経営困難な状況には陥っていないことであるので、本業の儲けを示す営業利益段階でプラスであること、もしくは事業再生によって営業利益が黒字化する見込みが高いことが対象の支援先に求められます。
従って、単に「経営困難な状況に陥っている」だけでは、事業再生ADRの対象にはならないということになります。

「自力再生が困難であること」とは、債務者企業がどれだけ頑張って自助努力をして営業利益の確保を試みても、有利子負債の元本の返済と利払いに超長期を要してしまう場合をいうものと解されます。
つまり債務者企業の正常収益力では、現段階で負担している有利子負債が過剰すぎて実質的に返済不能な状況をいいます。

また、リスケという金融支援を受けることができれば有利子負債の返済は全額可能であっても、金融機関が多数あって債務者企業だけでは金融債権者の利害調整が不可能と判断される場合も、自力再生が困難な状況にあると解されるものと考えられ、事業再生の対象となりえます。

このような事例として、アイフル株式会社の事業再生ADRの活用事例がありますので、下記の記事を参考になさってください。

②技術、ブランド、商圏、人材等の事業基盤を有し、事業に収益性や将来性があるなど事業価値があり、重要な事業部門で営業利益を計上しているなど、債権者からの支援によって事業再生の可能性があること。

次に2つ目に、事業価値があって一定の営業利益を確保していることを事業再生の支援対象となる条件としてあげています。

ここで重要なことは、「・・・営業利益を計上しているなど」としているように必ずしも営業利益の計上を直近の決算等で求めているわけではなく、たとえば営業損益段階で赤字であっても、市場の再定義、戦略の転換、ポジショニングの変更、商品やサービスのカテゴリー・チェンジ等々を通じて営業段階での黒字化が見込めるのであれば、事業再生ADRの対象となるということです。

要は、営業段階での黒字化できる程度のキャッシュフローが見込めないと、事業再生ADRという私的整理によった場合の金融債権者の回収額が、破産させた場合の回収額(清算価値)を上回れないという結果になってしまうので、清算価値を上回れる程度の金融債権者の回収額が見込めることを事業再生の対象となる条件として求めているわけです。

また、そもそも営業段階で黒字化できないとなると、提供している商品やサービスを世の中の生活者が求めていないと言えるわけで、そういった企業は社会に対する価値提供はできていないと考えられ、再生支援の対象としては望ましくはないことになるでしょう。
なのでそういった会社は、事業再生の対象とはせずに早急に市場から退出してもらって、市場の新陳代謝を促すという意図もあるわけです。

③会社更生、民事再生などの法的整理手続の申立てにより信用力が低下し、事業価値が著しく毀損されるなど、事業再生に支障が生じるおそれのあること。

さらに3つ目に、法的整理によって事業再生に支障が生じるおそれがあることを事業再生の対象となる条件としてあげています。

会社更生法や民事再生法によって法的整理を選択した場合には、金融債権者のみならず、一般の商取引債権者(仕入先等)も債権カットの対象となってしまいます。

したがって、法的整理によった場合には、仕入業者等の一般商取引債権者の有する債権もカットの対象となり、場合によっては連鎖倒産を引き起こす可能性もあり、またその一般商取引債権者が、債務者企業にとって事業の継続には欠かせない部材の供給先であったりすれば、債務者企業は事業の継続が困難になってしまいます。

また、そのようなケースでなくても、債権カットを受けた取引先と今後も継続して取引を希望しない取引業者が出てくることも予想されますし、運よく取引を継続してもらえたとしても、今後の取引は従前どおりの掛け取引ではなく、現金払いを要求されるかもしれません。

さらには債権カットに見合う分を今後の取引額に加算する業者だっているかもしれません。

いずれにしても、一般商取引の債権者を金融債権者と同等に債権カットの対象先として扱うことは、事業の価値を棄損する可能性が極めて高くなります。

また、一般商取引の債権者への裁判所からの通知によって債務者企業が窮境に陥っていることがわかりますから、その情報が世の中に流れることで債務者企業が風評被害の対象となって、ブランドや名声に傷がつくリスクは極めて高くなります。

一般の民間企業や第3セクターの企業であれば、おおむね全ての企業はこの条件には合致するものと考えられ、事業再生支援の対象先となりえます。

④本手続による事業再生によって、債権者が破産手続によるよりも多い回収を見込める可能性があること。

加えて4つ目に、経済合理性を事業再生の対象となる条件としてあげています。

経済合理性とは、事業再生ADRという私的整理の枠内による事業再生を実施した結果、金融債権者の回収額が、債務者企業を破産させた場合の回収額よりも大きいことを求めるもので、私的整理によったほうが破産を選んだ場合よりも経済的に合理性があること意味します。

金融債権者は、事業再生ADRによったほうが回収額が多いからこそ、つまり損失の額が少ないからこそ事業再生ADRを選択するわけで、万が一事業再生ADRによったほうが回収額が少ないのであれば、事業再生ADRを選択した金融債権者の関係者は、背任罪を問われる可能性があり、会社に損害を与えたとして株主代表訴訟の対象とされる可能性もあることになります。

また、一定の収益力を持ちながら過剰債務に苦しんでいる企業であっても事業再生ADRの対象とできない企業としては、金融債権者の有する債権が担保等によりカバーされている割合が高いケースが考えられます。
こういったケースでは、破産による回収額を事業再生ADRによった場合の回収額が上回ることが難しくなることもありえます。

⑤手続実施者選任予定者の意見及び助言に基づき、法令適合性、公正・妥当性及び経済的合理性があると認められる事業再生計画案の概要を策定する可能性があること。

最後として5つ目に、事業再生計画の法令適合性、公正・妥当性、経済合理性を事業再生の対象となる条件としてあげています。

手続実施者選任予定者とは、事業再生ADRの実施主体である一般社団法人事業再生実務家協会によって公平、公正に選ばれる事業再生の専門家である弁護士、公認会計士をいいます。

彼らは債務者企業が自ら実施する財務デユ―デリジェンス、事業デユ―デリジェンス、および作成される再建計画書について指導と助言を与えますが、この助言に基づいて事業再生計画書を作成することを求めています。

またその計画書は、法令適合性、公正・妥当性および経済合理性があることも求めています。
このうち経済合理性は4つ目の条件で検討した内容です。

法令適合性と、公正・妥当性については、これらを満たす計画書が作成されるのは常識的に考えれば当たり前のことですが、資金繰りに逼迫した状態で駆け込み的に事業再生ADRを活用しようとしても、時間的制約から公正性、妥当性を有する計画書を作成できないことから、こういった駆け込み的企業を事業再生の対象から除外することを念頭に設けられた条件であるようです。

以上をまとめると、事業再生ADRの手続きの対象とされる企業は、「一定の正常収益力がありながら過剰債務に苦しんでいる企業のうち、債権者からの支援が見込め、清算価値を上回る回収を見込むことができて、公正、妥当な再建計画書を策定できる企業」であるということができます。

地域経済活性化支援機構(REVIC)

REVICは事業再生の支援の対象となる事業者を以下の3つの例外を除くすべての事業者としています。

第1に、資本金の額又は出資の総額が5億円を超え、かつ、常時使用する従業員の数が1千人を超える大規模な事業者は、原則として支援対象から除外されます(例外あり)。
第2に、地方三公社(地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社)は支援対象から除外されています。
第3に、第3セクターのうち、以下の条件を満たす事業者は支援対象から除外されています。

  • 国又は地方公共団体が1/4以上を出資している法人(ただし、株式会社の場合、1/4以上の議決権を保有しない場合は除く。)
  • 国又は地方公共団体からの派遣職員等が役員の1/2超を占める法人
  • 国又は地方公共団体からの補助金、委託費等が収入の2/3以上を占める法人
  • 国又は地方公共団体がその子法人等と合わせて1/4以上を出資している法人(ただし、株式会社の場合、1/4以上の議決権を保有しない場合は除く。)

業種については、全ての業種を支援対象先としており、病院や学校等も支援対象としています。
また地域についても全ての地域を支援対象とし、地方圏に限らず、東京や大阪等の都市圏の企業も支援対象としています。
さらに会社形態についても、株式会社だけでなく、持分会社、個人事業主、非営利法人、さらには、社団法人、財団法人のような公益法人のほか、医療法人、社会福祉法人、学校法人等も広く支援対象としています。

REVICは、事業再生の支援の対象とするか否かの決定基準として以下の事項をあげています。

①有用な経営資源を有していること。

まず、有用な経営資源の「有用な」は何を意味しているのかを考えないといけません。

各々の企業は経営資源の取得・蓄積に努めて何らかの価値を提供して対価を得ているわけですが、少なくとも営業利益を獲得できるだけの経営資源でなくてはなりません。
そのためには少なくとも競合他社が持ち合わせている経営資源と同レベルの経営資源でなくてはならず、その業界でこの経営資源は必須だよというものがあって、それさえ持ち合わせていないのであれば、概ね営業段階で利益を確保することは難しいものと思われます。

したがって、「有用」の最低限のものは、競合他社が持ち合わせているレベルの経営資源のことをいうものと解されます。

さらには、競合他社が持ち合わせていない自社独自の経営資源があって、それによって独自のポジションを築くことができていれば、文句なく「有用」であるということができます。

以上から、少なくとも競合他社が有する経営資源と同程度の経営資源を社内蓄積していることが事業再生の対象となる条件になるといえます。

②過大な債務を負っていること。

過大な債務の存在が債務者企業を窮境に追い込んでいるという意味であり、本業はある程度順調に一定の利益を確保できている、あるいは現状は本業で利益を確保できていないが、事業の再生を施すことによって、本業の利益を確保できる可能性がある企業を事業再生の対象とするということです。

また、「過大」であるかどうかの判定は、債務者企業の正常収益力からなされるものであって、一義的に数字で決めることはできません。
過大ではない債務を抱えている企業は対象外となりますし、単に窮境に陥っているだけの債務のない企業も事業再生の対象にはなりません。

③例えば、主要債権者との連名による申込みであること等、申込みに当たり事業再生の見込みがあると認められること。

過大な債務を負っていることが条件②で挙げられていますが、その過大な債務について主要債権者(金融債権者)との間で事前に調整が行われていることを事業再生の対象とするということと解されます。

主要債権者との間で債務の免除、リスケジュール等、債務者企業の正常収益力を前提とした金融支援の方向性についてある程度の調整がなされた上で、主要債権との連名でREVICに申し込む必要があるということです。

こういった調整が主たる金融債権者(メイン銀行)との間で事前に行われていることを事業再生の対象の条件としています。

④再生支援決定から5年以内に「生産性向上基準」及び「財務健全化基準」を満たすこと。

REVICの再生支援が決まった後5年以内に、以下に示す「生産性向上基準」及び「財務健全化基準」を満たしていることを事業再生の対象先としています。

  • 「生産性向上基準」: 以下のいずれかを満たすことが必要。
  • 自己資本当期純利益率が2%ポイント以上向上
  • 有形固定資産回転率が5%以上向上
  • 従業員1人当たり付加価値額が6%以上向上
  • 上記に相当する生産性の向上を示す他の指標の改善
  • 「財務健全化基準」: 以下のいずれも満たすことが必要。
  • 有利子負債(資本性借入金がある場合は当該借入金を控除)のキャッシュフローに対する比率が10倍以内(キャッシュフロー=留保利益+減価償却費+引当金増減)
  • 経常収入が経常支出を上回ること

生産性向上基準は、REVICが支援決定する際に、事業の再生を施すことによって、本業の利益を増加させる見込みがあることを求めており、言い換えれば有用な経営資源を有しておりその活用によって利益の増加が見込まれる企業であることを事業再生の対象先として求めているということです。
こういった利益の増加が見込めない企業は事業再生の対象とはなりえないということになります。

財務健全化基準は、負担するべき有利子負債の上限を決めている条件であり、特定の債務者企業の正常収益力を前提として、そこから計算される負担することが妥当な有利子負債の水準まで、主要債権者を初めとする金融債権者の金融支援が得られることを事業再生の対象先として求めているものです。
こういった一定レベルにまで有利子負債の削減について主要債権者との間で調整ができない企業は事業再生の対象とはなりえないということになります。

REVICは国民の税金を投入して有期限で活動を行う官民ファンドの一種であるので、活動期限の終了時に損失を出すことは避けねばなりません。
損失を出したということになれば、国民の負担で企業を救済したことになってしまうからであり、この辺りは非常にセンシティブな問題が招じやすいので、事業再生支援先としての対象となる数値基準にはどうしても厳しくなってしまう傾向があります。

⑤機構が債権買取り、資金の貸付け、債務の保証又は出資を行う場合、支援決定から5年以内に申込事業者に係る債権又は株式等の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれること。

REVICは金融債権者から債権を買い取る機能や、出資を行う機能など他の機関とは異なる独自の機能を有していますが、そういった機能を発揮した場合に、支援決定から5年以内に買い取った債権や出資した出資金を他の第三者に譲渡できて、REVIC自体がEXITできることを事業再生の対象先に求めているものです。

REVIC自体は時限立法で成立した会社なので(2018年に5年間の延長が決定されている)、半永久的に債権や出資金を保有することができないということです。
こういったREVICのEXITについて主要債権者との間で調整ができていない企業は再生支援の対象とはなりえても、再建の買取や出資行為は行えないということになります。

⑥機構が出資を行う場合、必要不可欠性、出資比率に応じたガバナンスの発揮、スポンサー等の協調投資等の見込み、回収の見込み等を満たすこと。

REVICが出資を行う場合には、REVICが出資を行うことが必要であって不可欠であること、出資比率に応じて議決権を通じたガバナンスを発揮すること、REVIC以外の民間スポンサーがともに投資する可能性の有無、投資の5年以内の回収(EXIT)の見込みを事業再生の対象先に求めています。

国民の税金を使っての出資となりますので、出資の回収ができないとなると国民負担になるということから、流動性の低い中小企業等への出資については慎重に臨みますということでしょう。
こういったREVICの公共性の観点からの措置に合意できない場合には、REVICからの出資の対象先とはなれないということになります。

⑦労働組合等と話し合いを行うこと。

この条件が明記された背景には、REVICの前身である「企業再生支援機構(2009年10月~2013年3月」が日本航空(以下、JAL)の再生支援を実施した際に、2010年の大晦日にパイロット、客室乗務員を大量に解雇したことで、国際労総機関(ILO)から3度の勧告を受けたことが影響しているものと思われます。

官民ファンドの場合、時限立法ということもあって、事業再生の中で人員整理を行わなければ、上記の条件4や5が実現できない場合には、やむなく人員リストラに踏み込まざるを得ないこともあり、その場合には整理解雇の4要件を満たすための前提となる労働組合との話し合いを慎重に行うように求めているものと解されます。

以上をまとめると、REVICの再生支援の対象とされる企業は、「一定の正常収益力がありながら過剰債務に苦しんでいる企業のうち、債権者からの支援が見込め、清算価値を上回る回収を見込むことができる企業」であるということができます。
また、REVICが債権の買取等を実施する場合には5年以内にEXITできるという条件を満たさなければ、債権の買取等の対象先にはならないということになります。

中小企業再生支援協議会

協議会事業が対象とする「中小企業者」は、産業競争力強化法第2条第17項に定義 される「中小企業者」の他に、中小企業信用保険法と同様に、常時使用する従業員数が 300人以下の医療法人です。
ただし、地域経済や雇用への影響等を勘案し、個別相談企業ご とに判断するもとされています。

中小企業再生支援協議会が支援対象先とするか否かの決定基準としては、以下の事項をあげています。

①過剰債務、過剰設備等により財務内容の悪化、生産性の低下等が 生じ、経営に支障が生じている、もしくは生じる懸念のあること。

債務者企業の正常収益力に比して過剰な有利子負債を負担している結果、有利子負債の元本返済、利払い等が負担となって経営の継続に疑義が生じていることを事業再生の対象とする条件としています。
過剰な設備については、中小企業は通常借入金によって資金調達を実施したのちに投資を行いますから、過剰な設備とは稼働していない設備を借入金で調達後投資したわけなので、結局は過剰な有利子負債の負担と同義であると考えられます。

② 再生の対象となる事業に収益性や将来性があるなど事業価値があり、関係者の支援により再生の可能性があること。
なお、債権放棄等(実質的な債権放棄及び債務の株式化(DES) を含む。)の要請を含む再生計画の策定を支援する場合は、相談企業は上記に加え次の要件を満たす中小企業者を対象とする。

事業再生ADRの「技術、ブランド、商圏、人材等の事業基盤を有し、事業に収益性や将来性があるなど事業価値があり、重要な事業部門で営業利益を計上しているなど、債権者からの支援によって事業再生の可能性があること。」とほぼ同義ですので、こちらを参照ください。

③過剰債務を主因として経営困難な状況に陥っており、自力による 再生が困難であること。

事業再生ADRの「①過剰債務を主因として経営困難な状況に陥っており、自力による再生が困難であること。」と同義ですので、こちらを参照ください。

④ 法的整理を申し立てることにより相談企業の信用力が低下し、事業価値が著しく毀損するなど、再生に支障が生じるおそれがあること。

事業再生ADRの「③会社更生、民事再生などの法的整理手続の申立てにより信用力が低下し、事業価値が著しく毀損されるなど、事業再生に支障が生じるおそれのあること。」と同義ですので、こちらを参照ください。

⑤ 法的整理の手続きによるよりも多い回収を得られる見込みがある など、対象債権者にとっても経済合理性があること。

事業再生ADRの「④本手続による事業再生によって、債権者が破産手続によるよりも多い回収を見込める可能性があること。」と同義ですので、こちらを参照ください。

以上をまとめると、中小企業再生支援協議会の再生支援の対象とされる企業は、「一定の正常収益力がありながら過剰債務に苦しんでいる企業のうち、債権者からの支援が見込め、清算価値を上回る回収を見込むことができる企業」であるということができます。

認定支援機関については、下記の記事を参考になさってください。

再生支援に規模の大小は関係ない

再生支援に規模の大小は関係ない以上、事業再生ADR、REVIC、中小企業再生支援協議会が事業再生支援の対象としている企業を細かく見てきましたが、どの制度であっても、「一定の正常収益力がありながら過剰債務に苦しんでいる企業のうち、債権者からの支援が見込め、清算価値を上回る回収を見込むことができる企業」を事業再生支援の対象としていることがわかると思います。

企業規模の大小を問わず、中小企業であってもこの条件に合致すれば再生支援先として検討して頂ける余地は十分にありますので、中小企業経営者の方は事業再生に取り組むことを検討なさってみてはいかがでしょうか。

事業再生に取組むにあたっては、必ず外部の事業再生の専門家を招聘してアドバイスを受けながら進めることが、事業再生を成功させるための必須の条件となっています。
その際に誰に相談すればいいのかについては、下記の記事を参考になさってください。

中小企業が事業再生を成功させるポイントについては、下記の記事を参考になさってください。

新型コロナを背景とする事業再生については、下記の記事を参考になさってください。