ニーズとウォンツという2つの言葉がマーケティングにはあるけれども、いったいどんな違いがあるのか理解できていない。
なんだかすごく基本的なことのような気がするけれども、基本こそ大事だと思うから、ビジネスで使えるようにわかりやすく教えてほしい。
このようなお悩みをお持ちの、学びと実践を大切にする経営者の方はとても多いように思われます。
この記事を読むことで、ニーズとウォンツという区別しにくい2つの言葉の定義をしっかり押さえることができ、その結果、お客様の求めていることの本質が理解できるようになって、ビジネスに効果的なアイデア発想ができるようになります。
本記事は中堅・中小企業の事業再生に取り組んで20年以上、200社超の再生案件に関与して、マーケティングと管理会計と組織再編の力で再生へと導いてきた、企業再生のプロフェッショナルである公認会計士が書きました。
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ニーズとウォンツの違いは何か?
ニーズ(needs)もウォンツ(wants)も日本語では「欲しい」と訳します。
しかしながら、マーケティングではニーズとウォンツは、原義通り別個のものとして使い分けることになっています。
ニーズとは、人間が生活していく中で必要となる充足状態が不足している状態をいいます。
つまり、ニーズの原義は、あくまでも「不足している状態=事実」です。
「不足状態」にあるから、それを埋めようとして「欲求」が生じるわけですが、世の中的にはこの「欲求」も含めてニーズと呼ぶことがとても多いのです。
他のウェブサイトを閲覧していただくとわかるように、ニーズ=欲求と定義しているものが多いですが、それはここで書いたように二義的な意味であって、原義は「不足状態」にある事実(ファクト)なのです。
一方、ウォンツとは、ニーズを満たす特定の具体的な物が欲しいという欲求をいいます。
何らかの「ニーズ=不足状態」という事実があって、その状態を解消しようとする欲求が働き、その解消のための何らかの具体的手段を求めることになりますが、その手段となるものがウォンツということになります。
レトリックの世界には提喩(シネクドキ)という喩(たとえ)があり、そこでは、抽象と具体を行ったり来たりすることで思考を深めたり、表現を豊かにすることが求められますが、ニーズとウォンツはまさにこの提喩における抽象と具体の関係にあります。
図で示すと以下のようになります。
たとえば、「のどが渇いた」状態は、欠乏状態にありますからニーズを表します。
そして、この欠乏状態が、「のどを潤したい」という欲求を生じさせます。
その結果、「水を飲みたい」という具体的な欲求が生まれることになりますが、これがウォンツです。
いくつか事例を挙げてみると、ニーズとウォンツは以下のようになります。
上票の左側にある「不足状態=ニーズ」を解消するために、右側にある具体的なモノ・サービスを購入するという関係にあります。
ここに挙げたものはほんの一例であって、世の中にはこのような関係にあるニーズとウォンツの関係は無限に存在しています。
さて、上表の中に「ニーズ:本棚に穴を開けたい→ウォンツ:木工用ドリルが欲しい」という事例がありますが、これは、かの有名な「ドリルの穴理論」から取ったものです。
次項では、この理論について簡単に説明しておきましょう。
ドリルの穴理論
その昔、ハーバード大学の教授であったセオドア・レビット教授が、その著書「マーケティング発想法(1968年出版)」の中で、次のように書いています。
昨年、4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人々が4分の1インチ・ドリルを欲したからでなく、4分の1インチ・ドリルの穴を欲したからである。
この格言は非常に示唆に富んでいます。
顧客が感じている問題は実は表層的なものにしか過ぎなくて、本当の問題はもっと深いものである可能性が高いということです。
お客様が、「4分の1インチ・ドリルをください。」と言っても、その言葉の裏側にある目的・理由を聞かないことには、最適なソリューションは提供できないのです。
このお客様に対して、「ドリルを何に使われますか?」と聞いたところ、「部屋の角の空間が空いているのがもったいないから、そこに本棚でも作ろうかと思ってね。」と答えたとします。
このお客様が抱えているのは、「本来なら何らかのモノが置かれているべき部屋の角に、現状は何も置かれていない。」という問題であり、この問題を解消するために本棚という具体的なモノを自分で作ろうと考えているわけです。
部屋の隅の空間を解消したいというニーズを満たすためには、それは本棚でなくても構わないわけで、このお客様ともう少し話し込んだ結果、「このお客様は、仕事で相当ストレスを感じていらっしゃる。」と考えたならば、観葉植物を置くことをお勧めできるかもしれません。
ウォークイン・クローゼットがいっぱいならば、ミニ洋服掛けを提案できるかもしれません。
その方が置かれている状況や文脈によって、解決策としてのウォンツは変わってくるわけですね。
ウォンツの先に必ず存在するニーズを見据えることができたならば、あなたのビジネスはもっと世の中に方から支持されることは間違いないということを示唆してくれている奥深い格言が、レビット教授の「ドリルの穴理論」なのです。
ニーズとウォンツの事例
さきほど「のどが渇いた」というニーズに対するウォンツとして「水を飲みたい」と書きましたが、ここは人によっては「お茶を飲みたい」となるかもしれませんし、「コカ・コーラを飲みたい」となるかもしれません。
さらには、「春水堂のタピオカドリンク」となる人だっているでしょう。
つまり、1つのニーズに対応するウォンツは複数あるということです。(ここ、とっても大事です。)
いくつかの事例を挙げてみると、ニーズとウォンツの関係は以下のようになります。
「ぐっすり眠りたい」というニーズに対して、この困りごとを解決する具体策にはベッドもあれば、枕もありますし、さらには遮光カーテンも考えられます。
「きれいな人だと思われたい」というニーズに対して、この困りごとを解決する具体策には肌のシミ取りもあれば、体脂肪を落とすこともありますし、さらには美容整形も考えられます。
「空腹を満たしたい」というニーズに対して、この困りごとを解決する具体策にはコンビニのおにぎりもあれば、吉野家の牛丼もありますし、さらには愛妻の手料理も考えられます。
このように、ニーズとウォンツが1対1で対応するわけではなく、1つのニーズに対して複数のウォンツが考えられることが一般的です。
では、反対に1つのウォンツに対して複数のニーズを考えることは可能でしょうか。
いくつかの事例を下に挙げてみました。
「身体にあった枕を注文したい」というウォンツに対して、この具体策を生じせしめたニーズには、「深い睡眠を確保して長生きしたい」や「夜中に起きて嫁に迷惑をかけたくない」だけでなく、「夢の中で遊びたい」も考えることができます。
「体脂肪を落としたい」というウォンツに対して、この具体策を生じせしめたニーズには、「きれいな人だと思われたい」や「いつまでも健康でいたい」だけでなく、「嫁さんに見直されたい」も考えることができます。
「吉野家で牛丼をがっつきたい」というウォンツに対して、この具体策を生じせしめたニーズには、「空腹を満たしたい」や「節約したい」だけでなく、「三次会を楽しい時間にしたい」も考えることができます。
このように具体的なウォンツが生じた場面や文脈が異なれば、そのウォンツの原因となったニーズも複数考えることができます。
以上からわかるように、1つのニーズに対しては複数のウォンツを対応させることが可能ですし、反対に、1つのウォンツに対して複数のニーズを対応させることが可能になります。
1つのニーズに対して複数のウォンツを対応させることが可能であることは、ウォンツとして現在主流である特定の具体策にとって代わる潜在的な解決策としてのウォンツの存在が示されているということです。
つまり、まだ日の目を見ていないクリエイティブな解決策としてのアイデアは眠ったままである可能性があるということを示唆しています。
反対に、1つのウォンツに対して複数のニーズを対応させることが可能であることは、具体的な解決策の役割を担っているウォンツが提供している価値が、場面や文脈において変化していることの証左です。
つまり、具体的解決策としてのモノやサービスは、まだ我々が気付いていない潜在的な価値を持っている可能性があるということです。
最近では、「新しい意味」というような言い方をすることがあります。
このように、ニーズとウォンツの対応関係の複数性が持つ意味は、ビジネスにとっては非常に大きいので、ニーズ(抽象)とウォンツ(具体)を行ったり来たりできる提喩的思考は、これからの時代には必須ということができるかと思います。
ロジカル・シンキングとの関係
ニーズが、人間が生活していく中で必要となる充足状態が不足している状態をいい、一方、ウォンツとは、ニーズを満たす特定の具体的な物が欲しいという欲望をいいます。
言い換えると、ニーズは「充足状態」と「未充足状態」の間に生じているギャップのことであり、ウォンツはこのギャップを解消するための具体策ということになります。
この関係を図示すると下記のようになります。
この図からわかるように、ニーズとウォンツとの関係は、ロジカル・シンキングにおける「問題」と「具体策」の関係のアナロジーと言えるわけです。
ロジカル・シンキングでは、問題を認知しても、いきなり具体的な解決策を考えることは避けることを教えられます。
それは、いきなり具体的な解決策に飛びつくHOW思考だよと教えられて、問題の所在と、課題の設定を意識づけることを口うるさく指導されます。
そして、ニーズとウォンツの関係を、ロジカル・シンキングのおける「問題」と「具体策」の関係のアナロジーと捉えると、ニーズとウォンツで考える癖をつけてしまうことは、実はとても危険であることが理解できると思います。
ニーズとウォンツの思考フレームは、まさにHOW思考そのものだからです。
上記の事例で、「ぐっすり眠りたい」というニーズに対応するウォンツは複数考えられるわけですが、この具体的解決策としてのウォンツをアイデアとして生み出した背景には、無意識のうちに、「寝具などのモノを使って睡眠を確保する」という解決に向けての大きな方向性の枠組みを自分の中に持ち得ていたからです。
なぜそんな枠組みを持ったかと言えば、「眠る」という言葉から比較的連想しやすいという我々の思考の癖が存在するからです。
このような「解決に向けての大きな方向性」のことを課題と呼びますが、ニーズとウォンツの枠組みで考えてしまうと、「課題の設定」という問題解決の可能性を広げる極めて重要なフェーズをすっ飛ばしてしまう可能性が極めて高くなるのです。
上で示した具体的解決策としてのウォンツの事例は、「寝具などのモノを使って睡眠を確保する」という無意識化に存在した課題に従って発想されたものですが、ニーズから課題設定というフェーズを意識することで、例えば別の課題設定として「ぐっすり眠るためにエネルギーを消費する」というものを考えることができます。
もし、この課題を設定することができたら、具体的解決策としてのウォンツには、「夜にジョギングを行う」、「水泳教室に通う」などが出てくることになり、ニーズという問題解決の可能性を広げることが可能になるのです。
前項で指摘したように、マーケティングのニーズとウォンツの具体と抽象の思考フレームは極めて重要なものなのですが、ロジカル・シンキングの課題設定のフェーズを重ね合わせることで、より強力な思考の枠組みとなるのですね。
潜在ニーズと消費者インサイトの関係
「消費者インサイトとは、何らかの行動の変化を生じさせる、消費者自身が気付いていない新しい視点の提示」をいいます。
ここで、新しい視点には、消費者自身が気付いていない深層心理に潜む感情や欲求=ホンネであることもあるし、消費者自身が気付いていなかったモノゴトの新しい見方であることもあります。
どちらの提示を受けても、消費者がハッとして、行動変容を生じさせるのであれば、それはインサイトを突いたことになります。
一方、生活者の持つニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズの2つに分かれます。
顕在ニーズとは意識が顕在化している、つまりは自分の頭の中で言語化できているニーズをいい、反対に潜在ニーズとは、潜在意識の中にあるニーズで、いまだ言語化ができていないニーズをいいます。
たとえば、食洗機に対するニーズで、「忙しい時間をやりくりして家事をこなす賢い主婦と呼ばれたい。」という欲求を自分の頭の中で言葉にして理解しているならば、このニーズは顕在ニーズとなります。
また、「食洗機なんか使って家事の手抜きをする悪い主婦だなんて呼ばないでほしい。」という欲求を自分の頭の中では何ら意識していなくて、言語化できていないならば、このニーズは潜在ニーズとなります。
消費者インサイトと関係のあるニーズは、潜在ニーズであって、どちらも消費者の深層心理に潜む欲求という点では共通しています。
しかし、潜在ニーズは単なる深層心理に潜む欲求であって、そのままでは消費者のその欲求が何かしら当社のビジネスに良い影響を及ぼすものであるとは限りません。
消費者の深層心理に横たわる欲求のうち、そこを刺激することで当社のビジネスに何らからの良い影響を与えてくれるものが消費者インサイトであって、潜在ニーズと消費者インサイトはこの点で大きく異なるわけです。
先ほどの、「食洗機なんか使って家事の手抜きをする悪い主婦だなんて呼ばないでほしい。」という消費者の深層心理に潜む潜在ニーズを刺激することで、当社の食洗機ビジネスに何らかの良い影響を及ぼすことができたら、それは単なる潜在ニーズではなくて消費者インサイトと呼ばれることになります。
たとえば、「食洗機なんか使って家事の手抜きをする悪い主婦だなんて呼ばないでほしい。」という潜在ニーズに対して、「より長く子供と過ごす時間を作ることができる良いママのための食洗器です。」という提案をすることで、食洗機を買うことを躊躇していたターゲット層が、食洗機を買い求めるようになったならば、この潜在ニーズは消費者インサイトと呼ぶことができるわけです。
なぜならば、消費者にとって「食洗機は、子供と過ごす時間の長い良いママのための時短商品」という新たな視点の提案をして、消費者の深層心理を揺さぶって、購買行動へとつなげる行動変容を起こしたからです。
潜在ニーズを発見しても、それを消費者インサイトへと昇華できるかどうかは、あなたのマーケティング力が最も試される瞬間だといっても過言ではないでしょう。
消費者インサイトについては、下記の記事を参考になさってください。
消費者インサイトというものがマーケティングの世界にはあって、それを理解して実務に落とし込めたら、ビジネスが大きく躍進することもあるらしい。自社でもぜひ取り組んでみたいと思うので、わかりやすく教えてほしい。経営者のこんな悩みに回答します。
インサイト・マーケティングとの関係
消費者インサイトを利用したマーケティングを、インサイト・マーケティングと呼びますが、ターゲット層の深層心理を刺激する新たな視点をたくさん見つけた中で、もっともビジネスの成果につながりそうなインサイトを、キー・インサイトと呼びます。
そして、キー・インサイトで表現される消費者の深層心理に対して、ブランドからの価値提案をバリュー・プロポジションと呼びます。
「〇〇〇な気持ちでいるならば、当社からご提案します。△△△な商品はいかがですか?」というような感じで、深層心理に横たわるホット・ポイントに寄り添う形で新しい価値の提案を行うわけです。
たとえば、先ほどの例で言えば、「食洗機なんか使って家事の手抜きをする悪い主婦だなんて呼ばないでほしい。」がキー・インサイトであり、この気持ちに寄り添う形で、「より長く子供と過ごす時間を作ることができる良いママのための食洗器です。」というブランドからの新しい価値の提案をバリュー・プロポジションと言うわけです。
インサイト・マーケティングにおけるキー・インサイトとバリュー・プロポジションは、各々ニーズとウォンツに該当します。
抽象的な欲求であるニーズ(キー・インサイト)に対して、具体的なウォンツである価値提案(バリュー・プロポジション)を行い、消費者の気持ちを動かして、購買へと行動変容を誘うのです。
つまり、 抽象的な欲求であるニーズ(キー・インサイト)に対して、具体的な解決策として当社の製品はいかがですかという提案を行っているわけで、世の中に様々なウォンツとしての具体的解決策がある中で、当社の製品を選んでくださいというコミュニケーションを行っているわけなのです。
ニーズ・ウォンツとセグメンテーション
対象市場をセグメンテーションして、そのうちの特定のセグメントにターゲティングしますが、そのターゲット層を、購買までの距離間で区分して、さらに4つのセグメントに分けることが可能です。
その4つのセグメントを作る切り口が、ニーズとウォンツになります。
縦軸にウォンツ、横軸にニーズを取り、それぞれ顕在と潜在とに区分すると、下記のようなマトリクスが得られます。
①今すぐ客(ニーズもウォンツも高い顧客)
「今すぐ客」は、自分の未充足の欲求を埋める必要性があることと、その解決策としての具体的商品が当社の製品であることも理解している顧客になります。
この「今すぐ客」に対しては、当社の製品またはサービスが、顧客抱えている問題・悩みを解決するのに最適なものであることをわかりやすく訴求し、申し込みまでのステップをわかりやすく説明する必要があります。
ダイレクト・マーケティングなどのプロモーションを行って、顕在顧客の刈り取りを行う場合には、この「今すぐ客」を中心にターゲティングして広告クリエイティブを作る必要があります。
②お悩み客(ニーズは高いがウォンツは低い顧客)
「お悩み客」は、自分の未充足の欲求を埋める必要性があることは理解しているが、その解決策としての具体的商品がどのブランドの商品が最適であるかを迷っている状態の顧客をいいます。
「お悩み客」は抽象的なニーズはあるので、ニーズとなっている問題や悩みを解決する手段が当社のサービスであることを伝えることが大切になります。
③そのうち客(ニーズは低いが、ウォンツは高い顧客)
「そのうち客」は、当社の商品またはサービスを欲しい気持ちは持つものの、そもそものニーズを感じていない状態にある顧客をいいます。
「そのうち客」は、当社の製品やサービスに対する関心はあるものの、そもそも自分の抱えている問題の重要性に気付いておらずニーズが弱いため、なぜ自社のサービスに興味を持ったのかを理解し、ニーズを高める施策を行う必要があります。
④まだまだ客(ニーズもウォンツも低い顧客)
「まだまだ客」は、商品やサービスに対するニーズもウォンツも現在は感じていない状態にある顧客なので、将来的に興味を持ってもらえるような長期的な施策を行うことが求められます。
これら、4つのセグメントのうち、もっとも購買に近い距離にいるのは、①今すぐ客であり、この層を中心にしてダイレクト・マーケティングを実施すると、短期間のうちにこの層が刈り取られてしまって、その後はいくらダイレクト・レスポンス広告を出稿したとしても全く反応がなくなってしまうことになります。
したがって、①の今すぐ客以外の3つのセグメントの顧客を育成して、最終的に①今すぐ客へと上方遷移させることを考えなくてはなりません。
この育成に対して効果を発揮するのがコンテンツ・マーケティングです。
購買までの距離感が最も近いターゲットを除く顧客に対して、各々のフェーズを引き上げる役目を持つコンテンツを各々準備して、それを読ませることで、自分のニーズに気付かせたり、具体的解決策提策はこのブランドが最もいいねとウォンツに気付かせたりして、顧客をより購買に近い位置にまで遷移させる働きをするのがウェブ上で展開するコンテンツ・マーティングなのです。
このように、ターゲット顧客を購買までの距離感で4つのセグメントに分けて、各々のセルにいる顧客を上方遷移させることが、ニーズをウォンツというセグメント軸を持つことで可能になるのです。
セグメンテーションについては、下記の記事を参考になさってください。
セグメンテーションは大事であるとよく耳にするけれども、そもそも対象市場をわざわざ小さな市場へと細分化する必要性などあるのだろうか?また、具体的にセグメンテーションする方法も、そのポイントとともに教えてほしい。経営者のこんな悩みに答えます。
ダイレクト・マーケティングについては、下記の記事を参考になさってください。
ダイレクト・マーケティングって、わかったような気になってるけれど、よく考えたらその内容も理解できていないし、定義すらできないことにお気づきの経営者は多いのではないでしょうか。本記事では、ダイレクト・マーケティングの本質的な意味に迫ります。
ダイレクト・レスポンス広告については、下記の記事を参考になさってください。
ダイレクト・レスポンス広告は、ダイレクト・マーケティングで使う広告ってことはなんとなく理解できるのだけども、具体的にどんな特徴をもった広告を指すのか、よくわからないので詳しく教えてほしい。経営者の多くが抱えているこんなお悩みを解決します。
事業再生とニーズ・ウォンツ
再生のフェーズにある企業においても、消費者ニーズという言葉は盛んに用いられています。
しかし、この言葉を用いている本人は、ニーズ=欲求程度の意味でしか使っていないので、そのニーズを消費者インサイトに昇華させたり、ニーズから具体的解決策としての新しいウォンツを導いたり、さらには、市場で支持されている競合ブランドの製品やサービスから、まだ一般的にはなっていない潜在ニーズを見つけ出したりすることまではできない企業がほぼすべてです。
消費者ニーズは、単なる事実としての不足状態であり、またはその欠乏状態からくる欲求を表しますが、どのようなカテゴリーの商品やサービスであっても、それに対する消費者ニーズは永遠に不変なものなどではなく、環境の変化を影響を受けて変化することが宿命づけられているものです。
したがって、世に出てから数十年が経過しているような事業や、その事業が提供している製品やサービスに対する消費者ニーズは、当初から比べれば大きく変化していた当たり前なのであって、それにも関わらず、当初から商品のコンセプトが何ら変わらないままのモノであれば、当然ですが、だんだん売れなくなって事業を継続することも困難になるものなのです。
コンセプトについては、下記の記事を参考にされてください。
コンセプトってビジネスの現場でよく耳にするし、自分もよく遣っている言葉だけれども、その意味ってちゃんと理解できてないな。マーケティング研究者や実務家でもコンセプトという言葉の定義は違うようだから、誰か明快にこの言葉の意味を教えてほしい。
現代において、いわゆる破綻懸念先に位置づけられているような企業は、ほとんどすべてがこの消費者ニーズと商品コンセプトがズレてしまって、顧客はその商品やサービスに何ら価値を感じなくなってしまっています。
特に、老舗と言われる企業においては、従来からの既存顧客の高齢化による購買意欲の低下と、若者層の新規顧客の獲得が困難となって、ビジネス自体がじり貧となっていることがとても多いように思います。
若者のニーズを分析して消費者インサイトへと昇華させ、ウォンツとしての具体的解決策となる商品やサービスのコンセプトの見直しを行うことが、事業の再生に向けて取り組まなくてはならないポイントになります。
銀行の主導によって、経費削減や支店や営業所の統廃合を実施しても、縮小均衡を招くだけで抜本的な改革にはなりません。
財務の再生ばかりに時間を取られることなく、商品コンセプトの見直しを通じた事業コンセプトの見直しにまで踏みこむことでしか、本格的に事業を再生する道筋が描けないことがほとんどなのです。
事業を再生させたいと本気で願うならば、間違った取り組みに時間をかけることは避けて、やるべきことを地道にやり抜くことに傾注しましょう。
中小企業が事業再生を成功させるポイントについては、下記の記事を参考になさってください。
中小企業が事業再生に取り組む時に、経営者が念頭に置いておくべきポイントって何だろう。中小企業が事業再生のフェーズから抜け出すために必要なことって色々言われているけど、その道のプロの人からしたら、どんなポイントを押さえるべきなんだろう。
破綻懸念先のランクアップ方法については、下記の記事を参考になさってください。
破綻懸念先の企業は、一体どうやって収益性を高めていけばいいのだろう。この10年間ずっと売上は減少するばかりで、コストカットなど限界まで来ているし、これ以上何をやればいいのだろう。何かいい方法があったら教えてほしい。こんな悩みに回答します。
事業再生を相談するべき専門家の選び方については、下記の記事を参考になさってください。
事業再生に取り組むにあたって誰に相談すればいいのだろう。再生支援協議会に行くと会計士や税理士を紹介してもらえるそうだけど、それで本当に事業再生は成功するのかな?こんなお悩みをお抱えの経営者の方は必見です。誰に相談するべきかがわかります。